SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2009年6月24日

#169 山下 大悟 特別編"HISTORY OF SUNGOLIATH" 歴代キャプテンが語るサンゴリアス史 13代目キャプテン 『しっかり意志を持ってやる』

※「僕はもういいでしょう」と固辞する山下選手に「新キャプテン体制になって、改めて心境を聞いてみたい」とお願いして実現したインタビュー。現状での「歴代キャプテンが語るサンゴリアス史」最終回となります。

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◆短かった

—— 3年間勤めたキャプテンを終えて、今の心境をお願いします。

まぁ、サントリーとして6回タイトルを取るチャンスがあった中で、1度しか取れなかったということで、結果が残せなかったなという感じです。

—— 長かったですか?短かったですか?

短かったですね。

—— 3年間の中で、自分がプレーできなかった最初の1年は、外から見ていると大変だなというふうに思いましたが、いかがでしたか?

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そうですね、いま考えるとあり得ないですよね。周りの人にも迷惑をかけたと思うし、そういう中でたくさんの選手の支えがあって、なんとか出来たという1年でした。出来たと言っていいのかは分かりませんが。

—— 1年してようやくプレーできるようになった時は、気持ち的にすっきりしましたか?

そうですね。大変さという面では両方あると思うんですが、復帰してからの方が、ラグビーが出来ている分、どうにでもなるだろうという感覚でした。大変でしたが、そういうものだと思ってやっていました。

—— チームとしてこれからどういう方向へ進んでいくんだろうという状況の中、新監督、新キャプテンでのスタートでした。6回のうちの1回しかタイトルが取れなかったという話がありましたが、その6回のタイトルを賭けた戦いの場にチームとして全て出場できたということは、新しい体制の成果だったのではないでしょうか?

そう言って頂けるといいのですが、チームのプライドとしては、やっぱりいちばんじゃなくてはいけないというのがありますので、そういう意味で結果が残せなかったですね。やっぱりいちばんじゃなくちゃだめなんです。

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◆勝ちきれない

—— グラウンドに復帰して、タイトルを1つ獲った2年目は、3年間の中でいちばん良かったですか?

どの年も印象に残っています。結果、マイクロソフトカップを獲れたということでは、2年目が良かったんでしょうが、いちばん良かったかどうかとなると、難しいですね。

—— チームがNo.1になるためにどういったところが足りなかったと思いますか?

ラグビーの要素的なことを考えると、いろいろありますけど、チームの精神的な部分とかも含めても、いろいろありますね。勝ちきれないところとか・・・、いろいろありますね。

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—— グラウンドに立てない期間に、外から見ていて得るものはありましたか?

あるだろうなと思っていろいろやっていましたが、実際あんまりないですね。やっぱりグラウンドに立つことがいちばんですね。

—— サントリーとしては、プロと社員選手のバランスなども大事になってくると思いますが、その辺はどうですか?

僕は全然気にしてないですね、まったく気にしていませんでした。今もしてないですね。僕たちはグラウンドに出たらラグビー選手としてラグビーをやるだけなので、社員だとかプロだとか、そういうことは全然関係ないと思っています。

—— キャプテンじゃなくなって、3か月が経ちますが、プレーに専念出来るなどの、メリットは感じますか?

そんなにないですね。キャプテンをやっているときから、自分のプレーを大事に考えていたので、そういうスタンス的なものは変わらないです。ただキャプテンの頃は意識的にではないにしろ、いろいろ考えていた時間はあったんでしょうね。

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◆去年あっての今年

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—— 3年間の中で一番うれしかったことは何ですか?

やっぱりタイトルが獲れた時ですね。それが使命でもありましたからね。あの瞬間は嬉しかったですね。その後すぐに日本選手権で、疲れましたけど(笑)。例えがいいのか分かりませんが、2冠と言いますが、Jリーグで言えば、マイクロソフトカップはJリーグのチャンピオンで、日本選手権は天皇杯のような感じだと思っているので、マイクロを獲ることがいちばんプライオリティが高かったので、あの時は嬉しかったですね。

—— 逆に辛かったことは?

あんまり辛かったことは覚えてないですね。悔しかったことはありますけどね。勝ちきれなかったことですね。去年のマイクロで三洋に勝ちきれなかったのもすごく悔しかったですし、復帰してからもいろんなところを痛めて、なかなか自分の思うようなプレーできなかったことも悔しかったし、振り返るとそういうことですね。

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—— 今はもう大丈夫ですか?

そうですね、去年の最後の方から結構自分で思っているプレーが出来るようになってきているので、良かったですし、今年は去年あっての今年なので、もっと良くなると思います。

—— 負けた三洋に対して、「今年は勝つ」という手応えはどうですか?

充分手応えはありますし、三洋だけじゃなくて、東芝も含めて、今年は勝つ手応えは十分あります。とは言っても、まだ春のこの時期なので、自分がどうやっていきたいか、どうあるべきかということをしっかり持って取り組んでいます。去年の東芝戦、三洋戦に一度も勝てなかったので、いまはそこでサントリーが勝つシチュエーションを想像しながらいつもやっています。

—— 3年間キャプテンを務めて、後輩の佐々木新キャプテンへのアドバイスは?

特にないですよ(笑)。伸び伸びやればいいと思いますよ。

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◆自分に矢印向けて

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—— サントリーラグビー部のカルチャー、良さとは?

どうでしょうね。チームとして大切にしたいことは、僕はプロなんで違うんですが、このチームはやっぱり、みんなそれぞれ会社員として働いているし、ラグビー部の寮とかじゃなく、みんなバラバラに住んでいて、別にベッタリとした仲の良さは必要ないと思うんですが、何かに向かってチームとしてやる時に、1人1人がしっかりとした哲学に似たような、何か目標を持った集団でありたいなと思います。

いろんなことに言えると思うんですが、自分がラグビーをする意味だとか、簡単に言うと、チームがどうだとかではなく、自分がどうしたいかを常に持っている集団でありたいということですね。

—— 大人の集団ということですか?

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大人という言葉が当てはまるとしたらそうなりますが、社会人として、自分がどうしたいか、というのをチームの方針とは別にしっかり持っている集団でありたいということです。難しいので語弊あったり、誤解されるかもしれませんが、そういうことです。人に言われたからこうするとかじゃなくて、自分がしっかり意志を持ってやることですね。僕は怪我をしてからそういうことを思うようになりました。

それは1つ1つのプレーにも当てはまると思いますが、監督やコーチにこう言われたからこうやった、それで駄目だったというふうに人のせいにするんじゃなくて、最終的に自分で判断して、自分でプレーして...、勝って嬉しいのも、負けて嬉しいのも自分ですからね。そういう部分をしっかり持った上で、チームとしてまとまっていきたいと思いますね。難しいですね(笑)。

結局、「なんでラグビーやってるの?」っていうことなんですよ。プロとか社員とか関係なく。本来そうじゃなきゃいけませんよね。だから僕がキャプテンの時も、チームで、とかみんなで、とかそういうことを言ったことはあまりないと思いますよ。もっとみんな自分と向き合って、自分に矢印向けてやっていこうということを言っていたつもりです。

—— 個人としても調子が上がってきてるとなると、日本代表も意識していますか?

代表の方針もあるでしょうし、なるようになるという程度にしか考えていませんね。あんまり考えていないというか、あんまり想像したことはないですね。というよりも、やっぱり東芝や三洋とやって活躍してる自分を想像していますね。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:植田悠太)

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