SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT

【東京2025デフリンピック100日前】 片山結愛選手との対談を通して感じたこと(アンバサダー谷真海)

【東京2025デフリンピック100日前】 片山結愛選手との対談を通して感じたこと(アンバサダー谷真海)

 東京デフリンピックのバドミントン日本代表に選ばれた「サントリー チャレンジド・スポーツ アスリート奨励金」の支援選手でもある片山結愛(ゆめ)さんとの対談を行わせてもらい、デフリンピックの認知度や競技普及は、パラリンピック以上にまだまだという印象でしたが、世界を目指して努力を続けるアスリートを応援したい気持ちがすごく高まりました。

 神奈川県立スポーツセンターのきれいなアリーナの半分を使って行われていた3月末の代表最終選考会。

私が観客席で耳にしていたシャトル(バドミントンの羽根)の音が、選手たちには聞こえません。

ラケットを強く振り抜いてスマッシュを打つか、フェイントを使ってネット際にポトリと落とすか。選手は必死に目で追い、軽快なフットワークと瞬時の反応で息詰まる攻防を展開していました。

「音のないバドミントン」の醍醐味が十分に伝わってきました。

 片山さんは補聴器をつけると、私とも不自由なく会話ができます。対談では自分の言葉で競技への思いや目標を語ってくれました。

「混合ダブルスでの金メダル」。彼女が口にした大きな目標をぜひ実現してほしいなと思いました。

今回は、パラスポーツの世界で有名な越智貴雄カメラマンに試合中の撮影をお願いしました。対談記事でも、その中から素敵な何枚かを掲載しています。

明るく、元気で笑顔も素敵な片山さんが21歳だということを聞いて、パラリンピックアテネ大会に初めて出場した約20年前を思い出しました。

当時の私は22歳。社会人1年目で、いきなりパラリンピック出場という夢をつかむことができました。とはいえ、パラは今ほどの注目度はまだなく、私も自分のことで精一杯でした。

 遠征時は有休を消化し、競技にかかる費用も自己負担が当たり前でした。しかし、大会出場を重ねるにつれて、会社の理解が進み、社会もパラをスポーツとして、選手をアスリートとして注目してくれるようになりました。東京2020の招致実現を機に、大きな企業が支援に乗り出す動きも出てきました。そんな時代の動きを肌で感じながら競技を続けてきました。

 片山さんは、サントリー チャレンジド・スポーツの奨励金を遠征費などにあてていると話してくれました。自費で活動費を捻出するのは大変なことです。奨励金制度という若手アスリートをサポートする取り組みが、アスリートの活動に役立っていることはうれしくもあります。

さきほど、「アリーナの半分を使って」と書きましたが、残りの半分はデフ競技とは関係がない学生たちのハンドボールの試合が行われていました。会場でスポンサー企業の看板を目にすることもありませんでした。片山さんは「東京大会を機に競技の魅力を広めたい」と話していました。

私もパラリンピックやパラアスリートの環境に関心を持つようになり、視野を広げようと大学院にも通いました。片山さんはまだ若いですが、競技の魅力をどうやって伝えていくかという意識も持っているようでした。

東京大会を機に「発信する」という意識を高めていけば、活動の幅がコートの外にも広がると思います。頑張ってほしいです。

競技の現場に行くと、新たな発見もあります。

「音のない世界」でプレーしている選手たちをどうやって応援しようか。片山さんは「うちわにメッセージを書いてくれたら、すごく力になります」と教えてくれました。以前にも別のデフアスリートが同じことを話していました。うちわで応援するスタイルって素敵だと思いませんか。デフスポーツならではの文化として根付いていくといいですね。

 大会開催100日前となりました。選手の皆さんには、開催国のアドバンテージを活かして、いい緊張感をもって最後まで悔いのない準備をしてほしいです。

対談記事はこちらから▼

東京2025デフリンピック「音のない世界」で繰り広げられる白熱の攻防 目標は初出場で金メダル | SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT (サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト)

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