2026年6月
宮古島の恵みを詰め込んだ「雪塩」が生まれるまで


SPECIALIST
宮古島の恵みを詰め込んだ
「雪塩」が生まれるまで
株式会社 宮古島の雪塩
営業部 流通営業課 課長
角田匠司
製造部 雪塩工場 課長
堀米剛
沖縄の南方約300㎞、美しいサンゴ礁の海に浮かぶ宮古島。
その澄み切った海の色は「宮古ブルー」と称される。
島の北端にある小さな工場でつくられる「雪塩」は、
驚くほど細やかなパウダー形状と、まろやかな塩味で、発売以来人気を集めてきた。
豊かな海の恵み、人々の熱い想いが重なった「雪塩」の誕生秘話を聞いた。

株式会社 宮古島の雪塩 営業部 流通営業課 課長 角田匠司(右) 製造部 雪塩工場 課長 堀米剛(左)
宮古島の海と琉球石灰岩が育む、海の成分を豊富に含んだ塩
――さきほど、工場併設の「雪塩ミュージアム」で雪塩を触りましたが、本当にサラサラですね。粒子の細かさに驚きました。
角田「雪塩」の粒子は一般的な食塩の4分の1以下です。ふわふわと軽いだけでなく、ミネラルを14種類も含んでいるので、塩味、苦味、甘味、旨味などが複合的に合わさり、まろやかな味に仕上がっています。2000年には「世界で最も多くのミネラル成分を含む塩」としてギネスブックにも認定されました。現在はこのカテゴリーはなくなりましたが、ギネス認定により「雪塩」が一躍有名になったのは間違いありません。

手触りは小麦粉のように滑らか。溶けやすく、馴染みやすく、塩味が少ないので、大手メーカーのスイーツや飲料にも使用されている
――なぜ、そのような世界有数の塩ができるのですか?
角田要因は、雪塩の原料となる宮古島の地下海水にあります。宮古島はサンゴ礁が隆起、堆積してできた島なので、地下にはサンゴ礁からできた琉球石灰岩という地層があります。琉球石灰岩は無数の穴があいていて、そこを海水が通り抜けているのですが、石灰岩が海水の不純物をろ過するだけでなく、石灰岩に含まれる成分も水に溶け込みます。

琉球石灰岩の見本。小さな穴から海水を取り込み、フィルターの役割を果たす
――地下海水とは、初めて聞きました。サンゴの島ならではの宝ですね。
角田その通りです。地下22mから汲み上げた地下海水を濃縮還元し、それをミスト状にして熱した金属板に吹きかけると、わずか2秒で水分が蒸発して雪塩ができます。一般的な製塩工程では、海水のミネラル分の多くは「にがり」として取り除かれますが、私たちは瞬間蒸発製法という珍しい製法で、宮古島の美しい海水をそのまま塩にしているのが大きな特徴です。

濃縮海水を作るRO膜。中東など水が乏しい地域では、海水から淡水を作るために使われる装置だが、雪塩では濃縮海水の方を利用している

蒸気をあげる製塩工場。10人ほどのスタッフで、月間約130トンの塩を製造している
挑戦を重ね、偶然の発見から始まった塩づくり

工場併設の雪塩ミュージアムで、製塩工程の説明をする角田さん
――原料も製法も独特なのですね。瞬間蒸発製法の機械は独自に開発されたのですか。
角田いえ。別の用途の機械を転用したものです。私達の会社は元々、宮古島の活性化のために設立されましたが、塩づくりに至るまでに様々な事業に挑戦しては失敗を繰り返していました。現在の瞬間蒸発製法に使われている機械は元々、廃糖蜜(サトウキビから砂糖を作った後に残る液体)を乾燥させるために使われていました。ですがある日、その機械をテストするため廃糖蜜の代わりに海水を使ったら、粉雪のようなサラサラの塩ができたんです。そのまろやかな味に驚き、これだ!と。
――偶然の産物として雪塩が生まれたのですね。
角田その頃、塩の専売制度が廃止されたこともあり、本格的な塩づくりが始まりました。社内に塩の専門家がいないので、すべてが手探りでしたが、試行錯誤を重ねて塩の粒子が最も細やかになる金属板の温度を見つけ出し、2000年から販売を開始しました。

「高温多湿の工場ですが、火傷防止と衛生面から作業はいつも長袖です」と 堀米さん。工場およびミュージアムの目の前に広がる西の浜ビーチにて
堀米その後も試行錯誤と改善を重ねていきました。2000年代前半はスタッフも少なく、生産量も不安定でしたが、機械のクセに合わせて微調整ができる職人肌のスタッフが増えたおかげで品質と生産量が安定していきました。
――偶然の産物として雪塩が生まれたのですね。
堀米やはり、高い品質を保つためには機械や塩の状態のごくわずかな違いに気が付く注意深さと感性が大事ですね。雪塩は1㎜程度の厚みで溜まっただけで水分量が増えて形状が変わるので、細心の注意を払っています。毎日、同じ状態の塩が出来上がること自体、製塩に携わるスタッフたちの丁寧な仕事の賜物と言えます。
軽やかな塩味が愉しめるミックスナッツ

――6月16日から、マスターズドリームの景品として雪塩を使用したミックスナッツが登場します。食べてみると軽やかな塩味があって、とてもおいしいですね。
角田ありがとうございます。今回のミックスナッツを開発された食品メーカーさんは、何十種類もの塩を試した結果、雪塩を選んでくださったそうです。雪塩は粒子が細かく、食材に付着しやすいですし、塩分が少ないため非常にまろやかな味になり、ナッツ本来の味が引き立つという評価をいただきました。

――このミックスナッツをお供に、マスターズドリームをたくさんの方に愉しんでいただきたいですね。ところで社員の皆さんで、マスターズドリームを飲んでくださったとか。いかがでしたか?
角田とてもおいしかったです。「まろやかな味」「コクがあるのに飲みやすい」というのが共通の意見でした。
堀米喉ごしを愉しむ、軽いタイプのビールではなく、厚みや奥行きのあるビールですよね。ビール単体でもおいしいけど、味の濃い料理や、ちょっと苦味や甘味のある料理にもよく合いそうです。
――マスターズドリームの味わいは、やわらかな苦味、深いコク、ほのかな甘味、心地よい香りなどが幾重にも重なる、「多重奏で、濃密。」な味わいと称されます。素材のおいしさをよりいっそう引き立て、肉や魚など幅広い料理と愉しむことができます。
堀米僕は伊良部(宮古島と伊良部大橋でつながる伊良部島)の豚味噌と合わせたいなと思いました。油味噌(味噌に砂糖や豚脂などを加えた調味料)で豚肉を煮たピリ辛の料理です。以前、ドイツ人観光客に豚味噌が大人気だったので理由を聞いてみたら、ドイツにも似たような料理があるそうです。ドイツはビール大国でしょう?豚味噌は絶対、マスターズドリームに合うと思います。
角田唐揚げとか天ぷらにも合うんじゃないかな。宮古に限らず沖縄は、揚げ物を良く食べるんですけど、沖縄では定番の魚料理「グルクン(タカサゴ)」の揚げ物も合うと思いますよ。天ぷらなら、雪塩を付け塩にすればよりおいしい。

――おいしそうですね。お二人はどんなシーンでマスターズドリームを飲みたいですか?
角田家で肉を焼いて、マスターズドリームを合わせたいですね。ゆっくりと愉しみたい。
堀米休日の午後、ちょっと早めに飲み始めようかというときに、じっくり飲んだら贅沢な一杯になると思います。あと僕は毎年、宮古島のトライアスロンに出ているので、レースが終わった日のご褒美の一杯としても飲みたいですね。
世界の人に宮古島と雪塩を知ってもらいたい

――雪塩にもマスターズドリームにも共通するのは、最高の素材を使い、品質を高めるために試行錯誤を重ねる、現場の方々の実直な姿勢だと感じます。日本のものづくり企業として、今後の夢、展望をお聞かせください。
角田海外の方にも、もっと雪塩を売っていきたい、知ってもらいたいという目標があります。ただ雪塩の輸出を強化していくというよりは、海外の方に宮古島に来ていただけるように仕掛けていきたいという思いの方が強いです。
――それは、なぜでしょう?
角田元々、宮古島を活性化したいという想いで設立された会社ですから、雪塩単体の販売を伸ばすのではなく、宮古島のいろいろなものと繋げて売っていきたいんです。もっとたくさんの方に宮古島に来てもらい雪塩を体験してもらえるよう、現在、工場およびミュージアムは大規模な改装工事を行っています。
――改装後はどんな場所になるのですか?
堀米製塩工程をじっくり見学できるようになるほか、飲食部門も充実させ、高級フレンチレストランもオープンする予定です。改装後は工場の増産体制が整いますので、作り手としては今の品質を維持するのではなく、雪塩の品質をもっと上げていきたい。そのためにはスタッフのレべルも上げていかなくてはと考えています。
――ありがとうございました。


株式会社 宮古島の雪塩 営業部 流通営業課 課長(左)
角田匠司 Takuji Tsunoda
大阪出身。宮古島出身の女性と結婚したことを機に、宮古島に移住し、2004年に入社。2026年3月まで沖縄県外の取引先に向けての営業を担当。4月以降は那覇、宮古島のホテル売店や土産物店への営業を担当している。
株式会社 宮古島の雪塩 製造部 雪塩工場 課長(右)
堀米剛 Tsuyoshi Horigome
東京出身。宮古島への旅行をきっかけに移住を決意。2011年に入社。その後石垣、那覇、東京、大阪への転勤を経て宮古島に戻り、3年前から製造を担当。原料、充填作業のリーダーを務める。



