2025年8月
なぜ、そこまでやるのか。
土屋鞄とマスターズドリームが時間をかけて向き合う
その先にあるもの


SPECIALIST
なぜ、そこまでやるのか。
土屋鞄と
マスターズドリームが
時間をかけて向き合う
その先にあるもの
対談
株式会社土屋鞄製造所
代表取締役社長
土屋成範 (写真右)
×
サントリー株式会社
マスターズドリーム
ブランドマネージャー
竹腰周平(写真左)
小さなランドセル工房から始まった土屋鞄製造所。創業から60年を経て、今では大人の鞄や革小物までを手がける革製品ブランドへと成長を遂げている。一つ一つ手間をかけてつくられる鞄には、使い手に寄り添い、時を超えて愛することのできる品格や美しさが宿る。
そんなものづくりに触れるべく、マスターズドリームのブランドマネージャー竹腰周平が土屋鞄製造所・軽井澤工房を訪れた。
土屋鞄のものづくりの根底にあるもの
竹腰初めて工房を見学させていただき、中でも印象に残っているのは使い込まれたミシンの展示でした。その1台から歴史や物語を感じられましたが、あらためて土屋鞄製造所の成り立ちやこれまでの歩みを教えてください。
土屋おかげさまで土屋鞄製造所は今年で創業60周年を迎えます。もともとは、父が鞄の加工を請け負う職人としてスタートしました。
当時はランドセルが売上の約8割を占めていて、あとは学生鞄やビジネスバッグが2割程度でした。しかし、少子化や海外製品の影響で仕事がだんだんと減っていきました。私が入社したのがちょうどその時期で「これからは職人仕事だけでは立ち行かない」と感じ、つくるだけではなく、鞄ブランドを立ち上げてものづくりに取り組んできました。

土屋鞄製造所 軽井澤工房 創業者・土屋國男氏が使用していたミシン

土屋鞄製造所 軽井澤工房 併設の店舗には様々な種類の鞄が並ぶ
竹腰製造の現場を拝見して、想像以上に手仕事の工程が多くて驚きました。それぞれの職人の方が自分の工程にしっかりと向き合っていて、まるでバトンをつなぐように1つの製品が丁寧に仕上げられていく、その流れがとても印象的でした。
こうして手間と時間をかける背景にはどんなこだわりがあるのでしょうか。

土屋鞄製造所 軽井澤工房 一つ一つ丁寧な手仕事でつくられていく
土屋ランドセルは、子どもが6年間ほぼ毎日使いつづけるものですよね。だからこそ、私たちが最も大切にしているのが「丈夫さ」です。実際、子どもたちは6年間、毎日背負って通学し、同じ動作を何万回と繰り返します。そうした使い方にもしっかり耐えられるように、色落ちや変退色の検査、耐久検査に加え、高温多湿の環境で行うジャングルテストなど、社内独自の厳しい基準を設けて検査を重ねていきます。もともとはランドセルのための基準ですが、今ではそのノウハウを大人向けの鞄や他の鞄製品にも取り入れていて、土屋鞄製品の「丈夫さ」の土台となっています。
竹腰具体的にはどのような経験や技術が活かされているのですか?
土屋弊社独自の品質検査に加えて、私たちが大切にしているのが「実際に使って確かめること」です。これはランドセルでも大人向けの鞄でも変わりません。スタッフ自身がサンプルを日常の中で使用し、使い心地や経年変化など、時間の中でしか見えてこない部分まで丁寧に確認しています。たとえば、経年変化を確認するエイジングサンプルを用いて、性別や使い方によって革の“アタリ”(擦れてつやが生まれる箇所)がどのように変化するか、色味がどのように深まっていくかを細かく観察します。実際に手に取り、暮らしの中で使ってみるからこそ、図面やデザインだけでは捉えきれない気づきが生まれます。そうした体感の積み重ねが、ものづくりの確かさや、持ち手に寄り添う設計へとつながっています。
竹腰そうした使う人の目線で検証していく姿勢があるからこそ、長く愛される製品に仕上がるということですね。
土屋なぜそこまで追求するのか。それは、使った“その後”に快適さや愛着を感じていただきたいからです。日々の暮らしの中に自然と寄り添い、時間とともに深まる存在であることが、「長く愛される価値」をつくるベースだと考えています。だからこそ、装飾は控えめに、流行に左右されないシンプルなデザインにこだわります。使い込むことで素材に味わいが生まれ、その人らしい経年変化が持ち主の魅力を引き立ててくれる。「主役は鞄を持つ人」という考え方は、私たちのものづくりの根幹にある想いです。
背景や想いを伝えることで共感をつくりだす
竹腰土屋社長が入社された当時は世の中が「安く、大量に」ものをつくるという時代の流れがあったと思います。そんな中、あえて「手仕事」や「職人の技術」を大切にされたのは、どんな想いがあったからなのでしょうか?
土屋当時考えたのは、「土屋鞄の価値とは何か」ということでした。いろいろと想いを巡らせる中で、一番の財産は、父が長年培ってきた“職人としての技術”なんだと気づきました。実際父は2022年に卓越した技能者として「現代の名工」に選出されています。一方で腕前だけではビジネスが育たないのも事実です。そこで私は、製品の情報をただ発信するのではなく、「父という職人が、どんな人物で、どんな想いや哲学でものづくりをしてきたのか」といった背景を伝えることにしました。すると、お客様から共感の声をいただけるようになり、大きな反響がありました。丁寧なものづくりをすることを大切にしながら、その価値をしっかりと伝え、背景にあるストーリーを知ってもらうことにも力を注いでいく。この繰り返しを、時間をかけて続けていくことが土屋鞄の信頼とブランドの根幹になっていくと確信しています。
竹腰今のお話、とても共感しました。マスターズドリームもブランドとして、ただ「美味しい」と伝えるのではなく、背景にある想いや、つくり手の哲学を伝えることを大切にしています。遠回りに思えるかもしれませんが、それがお客様の心に響いて、購入の後押しになると感じています。

土屋鞄製造所 軽井澤工房 丁寧にミシンをかける職人
マスターズドリームは、一日働いた自分をいたわりながら、じっくりと味わいたい
竹腰先ほどお店の方で、ランドセルを選ぶご家族がいらっしゃいました。お子さんが嬉しそうにランドセルを背負い、その姿をご家族が見守っているその光景に、すごく温かい気持ちになりました。
土屋私が販売スタッフにいつも伝えているのは「ランドセルを売るのではなく、“体験”を届けてほしい」ということです。私たちは鞄をつくる会社ですが、提供したいのは“記憶に残る時間”。ご家族でランドセルを選ぶそのひとときが、素敵な思い出になってくれたら嬉しいなと思っています。
竹腰その想い、とても共感します。私たちのマスターズドリームも、ただ美味しいビールを提供するのではなく、“体験”をお届けしたいという想いでつくっています。今、実際に飲んでいただいていますが、いかがでしょうか?
土屋味わいに奥行きがあって、とても豊かな気持ちになりますね。時間がゆったりと流れるような感覚があります。具体的にどのような“体験”をこのビールを通して届けたいとお考えですか?
竹腰マスターズドリームは「心が震えるほど美味しい」という体験を届けたい、そんな想いから開発がスタートしました。“理想の1杯“を目指して、完成までに10年という時間をかけてつくりあげたビールです。開発のヒントになったのは、ビール大国・チェコのビール文化です。チェコは1人あたりのビール消費量が世界一の国です。朝からビールを愉しむ人もおり、ビールだけで何時間も会話を愉しんでいる人が多い。では、なぜビールだけで何時間も愉しめるのかというと、時間がたってもビールの味が崩れない、骨格がしっかりしているビールなんですね。その美味しさにつながっているチェコの伝統的な製法に学びを得ました。それを持ち帰り、日本のものづくり精神を継承したサントリーの醸造家が技術を革新することによって、ようやく日本人の味覚に合せた理想の味わいが完成しました。

サントリー株式会社 マスターズドリーム ブランドマネージャー 竹腰周平
土屋たしかに、美味しくておかわりしたくなる、また飲みたい!と思わせてくれる味わいですね。私は出張で海外に行く機会が多く、そのたびに現地のビールを愉しむのですが、このビールは世界のビールに肩を並べるものだと感じました。
竹腰ありがとうございます。その言葉が何より嬉しいです。このビールには、チェコ及びその周辺国でしか採れない「ダイヤモンド麦芽」を使っています。希少な麦芽で旨みは強いのですが、麦芽の構造が硬くその魅力を引き出すのがとても難しい素材です。
土屋どうやってその旨味を引き出しているのですか?
竹腰デコクションという煮出し工程を3回繰り返す「トリプルデコクション」という製法を採用しています。3回繰り返すことで麦芽の深いコクと旨みを最大限に引き出すことができています。さらに、熱伝導性の高い「銅製循環型ケトル」という独自の設備をマスターズドリームの開発時に導入し、麦汁を芳ばしく仕上げています。
土屋かなり手間をかけた工程を踏まれているのですね。今日飲ませていただきましたが、泡のきめ細かさや、のど越しの良さが印象的でした。苦味と深みのバランスもちょうどよくて、心地よい余韻が残りますね。私は、仕事が終わったあとに、マスターズドリームを用意して、スモークチーズのようなおつまみと一緒に、その日の自分をいたわりながら、ゆっくりと味わいたいです。

株式会社土屋鞄製造所 土屋成範
竹腰まさに、マスターズドリームは、一人の時間にじっくり自分自身と向き合っていただくことにぴったりな味わいのビールです。私たちは「多重奏で、濃密。」と表現していますが、苦味、コク、甘味、香りが絶妙なバランスで幾重にも重なり広がるのが特長です。たとえば、最初に苦味がきて、麦芽のコク・甘みを感じ、最後に心地よい香りが広がる。のど越しだけではない味わい深いビールとして、じっくりと愉しんでいただけたら嬉しいです。
「時間を味わう」豊かさを届けるオリジナルマルチトレイ
竹腰マスターズドリームは2025年から「JAPAN MONOZUKURI BEER」というタグラインを掲げました。その取り組みの一環として「日本のものづくり」を体現されている方々と対談し、その価値や魅力を一緒になって広く発信していきたいと考えています。そうした想いから、今回、土屋鞄さんにお声を掛けさせていただきました。
土屋ありがとうございます。とても光栄に感じます。こだわりの詰まったマスターズドリームと一緒に「日本のものづくり」というテーマで発信させていただけるのがとても嬉しいです。
竹腰今回のキャンペーンでは、景品として土屋鞄さんに監修していただいたマルチトレイ※が登場します。
「日本クラフトマンシップ」という考えのもとでコラボレーションさせていただきましたが、どのようなこだわりを込めてつくられたのでしょうか?
※2025年8月5日発売 土屋鞄監修オリジナルマルチトレイ1個付 3缶セット (一部店舗では取り扱いのない場合がございます)
土屋土屋鞄として大切にしているものづくりの姿勢をきちんと感じていただけるよう、素材や仕立てには特に気を配りながら監修させていただきました。今回は、できるだけ天然皮革に近い質感の素材を選び、シュリンク加工によって生まれる独特の陰影が、豊かな表情と奥行きを演出していると思います。そして、革の断面を美しく仕上げる「コバ塗り」にも特にこだわりました。専用の塗料を幾層にも重ねて丁寧に仕上げるこの工程は、製品全体の印象を引き締め、上質さを際立たせる大切な要素です。細部にまで心を配ることで、土屋鞄のものづくりの誠実さと、マスターズドリームの上質な世界観を重ね合わせるような仕上がりになりました。

株式会社土屋鞄製造所 土屋成範
竹腰素材選びから革断面の質感にまで徹底してこだわることで、ここまで高級感を出すことができるのですね。
このマルチトレイを使う方にどのような体験をお届けしたいとお考えですか?
土屋今回のマルチトレイでお届けしたいのは「時間を味わう」という豊かさです。マスターズドリームとともに過ごすひとときにこのトレイが寄り添うことで「余韻にひたる」「質を愉しむ」「佇まいを調える」といった複層的な豊かさを感じていただけたら嬉しいです。1日の終わり、グラスを置くその瞬間に革の風合いが静かに馴染み、空間に落ち着きをもたらしてくれる、そんな静かな豊かさが広がっていく体験をお届けしたいです。

土屋鞄監修マルチトレイ
日本のものづくりを世界に届ける
竹腰マスターズドリームのパッケージには「夢」という文字を組み込んでいます。「夢」は未来や目標を表す言葉でもありますが、土屋鞄さんの夢をお伺いできますか?
土屋当社は「人とものと時間を大切にする、日本の“丁寧”を世界へ」というビジョンを掲げています。現在、私たちのブランドは国内での認知にとどまっており、海外では「鞄といえばフランスやイタリア」という印象が根強くあります。しかし、日本の職人が丁寧につくる鞄には、使い手の時間に寄り添い、長く愛されていく力があります。私たちは、そうした“ものに心を込める”という日本の美意識こそ、世界に誇るべきものだと信じています。だからこそ、自分たちの足で海外に出向き、「今、届けるべき価値とは何か」を問い続け、“土屋鞄”から“TSUCHIYA KABAN”へと進化していきたいです。そして、世界中の方々に選ばれる存在になることが、日本のものづくりの価値向上や職人の地位向上につながると考えています。
竹腰ありがとうございます。土屋鞄さんの「夢」に深く共感します。マスターズドリームも世界で評価されることを目指しています。日本のものづくりが世界的にも再評価されつつある今、マスターズドリームもその一翼を担う存在になれたらと思っています。ひとつのビールブランドに過ぎないかもしれませんが、私たちの想いや職人の技が世界へ届いていくことで、「こんなにも美味しいビールが日本にあるんだ、日本のものづくりは素晴らしい。」と思っていただけたら嬉しいです。評価されることで、日本のものづくりの価値は向上しますし、マスターズドリーム出発時の想いである「日本を輝かせたい」に繋がると信じています。
土屋業界は違いますが、私たちは同じ方向にある未来を目指していますね。丁寧なものづくりをして、その想いを届けていく。その積み重ねが、日本のものづくりの価値をさらに高めていくのだと思います。これからも、「日本のものづくり」の力を信じて、挑戦を続けていきましょう。
竹腰これからも、同じ想いを胸に一緒に頑張っていきましょう。
本日はありがとうございました。

土屋成範 Masanori Tsuchiya
株式会社土屋鞄製造所代表取締役社長、株式会社ハリズリー代表取締役社長
1969年、東京都足立区生まれ。ランドセル職人である土屋國男の長男として、創業者の背中を見て育つ。海外生活を経て1994年、家業の土屋鞄製作所(当時)に入社。2000年、インターネット販売に本格参入。2017年より現職。2018年に第35回優秀経営者顕彰最優秀経営者賞(日刊工業新聞社)を受賞。

