コンプライアンス

サントリーグループでは、お客様や社会からの期待に応え、責任を果たしていくために、コンプライアンスを最優先する組織・風土づくりを進めています。

考え方と方針

企業理念実現のために全従業員共通の基本姿勢を示した「企業倫理綱領」

サントリーグループでは、全従業員が企業理念実現のために大切にしなければならない基本姿勢に基づき行動できるよう、2003年に「サントリーグループ企業倫理綱領」を制定。以来、この綱領に基づき、グループ横断的な視点からコンプライアンス推進体制を整備しています。また、2012年には、社会的責任に関する国際規格ISO26000を参照して内容を改定し、2017年には全世界のサントリーグループ従業員に、より理解しやすい内容へと改定しました。

サントリーグループ企業倫理綱領

推進体制

現場に根ざした推進体制

グループ横断的な視点からコンプライアンスを推進するために、その専門組織として、グループガバナンス本部のもとにコンプライアンス推進部を設置しています。
コンプライアンス推進部では、グループガバナンス本部方針に沿った具体的な諸施策の立案・実施や各職場での実践状況の把握、課題に対する提言・助言のほか、「コンプライアンス・ホットライン(内部通報制度)」を設け、公平・公正、誠実に対応しています。内部通報制度に関しては、公益通報者保護法の改正を受け、「サントリーグループ内部通報制度規程」の一部を改定し、より実効性のある制度運用を行っています。
また、国内外のグループ各社ではそれぞれにコンプライアンスを推進する責任者を配置し、各社の課題に対応した独自の行動指針を策定・周知するなど、主体的な推進活動を行っています。

コンプライアンス推進のしくみ

コンプライアンス推進のしくみ

問題の早期発見・解決のためにホットラインを強化

サントリーグループでは「企業倫理綱領」に反する行為があることを従業員が知った場合、まず上司に報告・相談することを基本としています。しかしそうした報告・相談が適さない場合に問題を早期に発見し解決するために内部通報制度を設けています。

国内においては、グループ全体の共通窓口としてコンプライアンス推進部および社外法律事務所に「コンプライアンス・ホットライン」を設置しており、日本語を母国語としない外国籍の従業員もストレスなく利用できるように、多言語で受付可能な窓口も設置しています。

グローバルについては、グローバルリスクマネジメント体制の一環として、海外グループ会社も包括した全世界共有の通報受付窓口「サントリーグループグローバル・ホットライン」を設置しています。このホットラインは、英語、中国語、スペイン語など多言語に対応しており、さまざまな国の方から報告・相談を受けられるようにしています。また、技術的や経済的な課題が理由で利用できないことを避けるために、スマートフォンを含むWeb、固定電話、郵便などの経由を用いて、あらゆる従業員にとってアクセス可能な受付体制を整えています。

「コンプライアンス・ホットライン」周知ポスター

「コンプライアンス・ホットライン」
周知ポスター

ホットライン窓口の社内における認知状況については、毎年「従業員意識調査」の機会などを通じて測定をしており、常に9割を超える認知率を確保しています。また、グループの経営層と前年比較も含めたその結果を共有し対話する機会を持つことで、窓口の認知率およびユーザビリティの維持と向上に努めています。

2022年の国内グループ各社窓口と海外グループ窓口の通報合計件数は215件でした(内サントリー食品インターナショナルグループへの通報は99件)。件数のうち約6割は労務・人事ならびにマネジメントに関するもので、人権に関する内容も含まれています。

通報の内容について、コンプライアンス違反が疑わしい事案の場合は、サントリーグループ内部通報制度規程に従って当該案件関係者すべてのプライバシー保護に配慮した上で対応を進めています。
その際には、通報者が置かれる事情を尊重し、速やかにコンプライアンス担当者が社内で極秘調査を行うとともに、当該関係者の担当経営幹部を巻き込みながら是正を速やかに求め、対処が成されたことを見届けています。
また、調査結果については、通報者ならびに経営層へそれぞれフィードバックを行い、問題の改善や再発防止策につなげています。

さらには、対処後一定の期間を置いた段階で、フォローアップとして是正の様子を確認することで当該事案のクロージングとするフローで運用しています。

一方で、重点課題である「ハラスメント」への対策については、多くの場合が同僚や関係者との価値観の違いが根底にあることから、その違いを双方が認めあえる風土を目指して「アンコンシャスバイアス」について学ぶ機会を設けることで、寛容的な組織づくりのセミナーを随時展開を開始しています。

通報者等の保護

サントリーグループでは「コンプライアンス・ホットライン」の設置と同時に、就業規則で通報者が報復行為や噂の拡散等による不利益を被るような取り扱いを禁止しています。それらを防止するための方策として、コンプライアンス推進部が調査を行う際には、その開始時に関係者・対象者を特定した上で都度「内部通報制度規程」の確認を行うことで、通報者としての権利を阻害しないように配慮しています。
加えて、調査事案のクロージングに際した通報者へのフォローアップ時には、通報者が不利益を被っていないかを確認しています。
さらには「内部通報制度規程」を日常から積極的に社内周知することで、当該関係者のみならず職場全体として通報者等の保護が成される風土づくりに努めています。

コンプライアンス・ホットライン対応フロー
コンプライアンス・ホットライン対応フロー

取り組み

コンプライアンス実践のための活動

「企業倫理綱領」をグループ全体へ周知

サントリーグループの全役員・従業員が「企業倫理綱領」を理解し、日々の行動のなかで実践していけるよう、サントリーグループの理念体系をまとめた小冊子に「企業倫理綱領」を掲載し、配布しています。この冊子は11ヵ国語に翻訳されています。
毎年年初には、国内サントリーグループ従業員が新たな気持ちで「企業倫理綱領」の内容を再確認し、冊子巻末の「コンプライアンス宣言書」に自らサインをしています。同時に、世の中で起きているコンプライアンス事例や、全社・各社それぞれの課題と認識している内容など、さまざまなテーマで職場ディスカッションを実施し、コンプライアンスの基本についてリマインドし、倫理観の醸成を図っています。
国内サントリーグループ全従業員を対象に実施している従業員意識調査のなかで、業務や職場環境における「企業倫理綱領」の遵守やコンプライアンス実践の状況を確認しています。調査の結果は、経営層に報告され、潜在的なコンプライアンス違反の早期発見に努めるほか、「企業倫理綱領」の有効性を定期的に確認しながら、従業員への教育、活動計画の策定などに活用しています。

継続的な情報発信でコンプライアンス意識の啓発活動

コンプライアンスの理解促進、実践のために、社内イントラネット内の「コンプライアンス・ネット」で定期的に情報を発信しています。
「コンプライアンス・ネット」ではその時々に取り組んでいる活動と連動したテーマ、世の中の事例を通してコンプライアンスの本質を理解するコンテンツなどを発信しており、各社のコンプライアンス推進責任者が中心となって、全従業員へ周知しています。さらに「コンプライアンス・ネット」には、いつでも学習できるようにコンプライアンスの基礎知識やハラスメントチェックなど、セルフラーニング集なども掲載しています。

グループ会社の推進活動を支援

グループ各社はそれぞれの会社の推進責任者が中心となって活動を行っています。コンプライアンス推進部では、各社の課題に応じた施策の提案やツールの提供、集合研修の実施など推進活動を支援しています。また、国内グループ会社へ新たに着任する役員・管理職を対象に、コンプライアンス経営の牽引役としての役割をより深く認識するための研修を実施しています。

インサイダー取引防止体制の整備と社内啓発

グループ会社であるサントリー食品インターナショナル(株)が東京証券取引所市場に上場していることから、サントリーホールディングス(株)およびサントリー食品インターナショナル(株)のリスクコントロール管轄部署が東京証券取引所提供のコンテンツをベースとしたe-ラーニングを実施し、インサイダー取引防止の徹底に取り組んでいます。

「企業倫理綱領」の実践

「企業倫理綱領」ではコンプライアンスを重視することを明記しています。事業活動においては、この企業倫理綱領の考え方のもとにさまざまなコンプライアンス上の課題について、各部門がポリシー・自主基準を設定・運用しています。

公正な事業活動を徹底

サントリーグループは「独占禁止法」をはじめとする各種法令を遵守し、公正な事業活動を行うことを事業の大前提としています。1992年に「独占禁止法遵守指針」を定めて以来、法改正や環境変化に合わせて指針を改定、運用しています。「キャンペーンに関する景表法上の留意事項」「下請法遵守マニュアル」のイントラネットへの掲載や、各部門・グループ会社向けの定期的な説明会の実施など「独占禁止法」および関連法規の周知と遵守徹底を図っています。
また、お取引先やお客様に対する日々の活動において公正さを確保するべく、商品開発、販売、マーケティングの企画段階から専門部署が積極的に関わり、法令遵守の観点から関係部署の対応方針や活動を検証しています。

委員会を設置して酒類の公正取引を推進

「酒類に関する公正な取引のための指針」を踏まえ、酒類に関する法令および社内自主基準等を確実に遵守するため、グループ内に「公正取引推進委員会」を設置し、公正な取引の推進に努めています。

  • 「酒類に関する公正な取引のための指針」は2006年に国税庁から提示された行政指導指針。過当競争などによる不当廉売から、酒類事業者の経営が悪化し、酒税が減少することを防ぐためのものであり、酒類事業者の経営安定のために、公正な取引条件の設定やリベート類の透明化を求めている。独占禁止法を運用する公正取引委員会との連携も定めています。

事業活動の透明性を保つために贈収賄などを禁止

サントリーグループは「企業倫理綱領」のなかで、政治・行政・関連団体や企業など、相手がいかなる法人・個人・団体であっても、過度な接待・贈答を禁止し、法令を遵守した健全で透明な関係を保つことを定めています。
また、腐敗行為に関わる可能性がある従業員を対象として、定期的にe-ラーニングなどによるトレーニングの機会を設けています。

反贈賄活動に関するサントリーグループの基本的な姿勢については「リスクマネジメント」をご覧ください

グローバルコンプライアンスの取り組み

サントリーグループのグローバル展開に伴い、グローバルな推進体制構築、グローバルスタンダードへの対応に取り組んでいます。
2015年にはThe Foreign Corrupt Practices Act(FCPA)などの世界各国の贈賄に対する規制強化に伴い、グローバルスタンダードにあわせた接待・贈答に関するガイドラインを制定し、説明会やe-ラーニングにより周知理解の展開を図りました。
2016年にはグローバル反贈賄ポリシーを制定、接待・贈答に加え、寄付や政治献金などを含めた新たなガイドラインを制定しました。またこの年、グローバルコンプライアンス体制の一環として海外グループも包括した全世界共有の通報受付窓口「サントリーグループグローバルホットライン」を設置し、贈賄や人権侵害に限定せずコンプライアンス違反に関する通報を受け付けています。

中国におけるコンプライアンスセミナー

中国におけるコンプライアンスセミナー

2019年は国内の全従業員を対象にガイドラインの再確認を目的としたe-ラーニングを実施し、ガイドライン遵守の誓約も取得しました。海外においては、国有企業が多く、民間への贈収賄も処罰の対象となる中国(上海)において、現地ならではのコンプライアンスマインド醸成のためのコンテンツ(反贈賄やサイバーセキュリティに関する対応など)を作成し、現地マネジャー層を対象に研修形式のトレーニングを行いました。
2021年には、東南アジア諸国において「サントリーグループグローバルホットライン」のプラットフォームとしての進化を図り、従業員が通報先をホールディングス社(もしくは食品インターナショナル社)、各国の会社から選択可能にすることでより安心して通報できる仕組みを構築し、それを機として各社内における周知・啓発を強化しました。
2022年は「サントリーグループグローバルホットライン」窓口への通報は58件ありました。各ビジネス国において、この窓口に関する周知が徐々に進んできています。なお、児童労働や強制労働に関する通報は発生していません。

コンプライアンス・組織風土の状況把握

コンプライアンス・組織風土の状況および個別課題の有無をグループ全体にわたって把握するため、国内グループ全従業員を対象とした「意識調査」を実施しています。その調査結果から、全社および各部署の個別課題を把握し、グループ全体のコンプライアンス意識醸成のための取り組みを検討します。また各社の経営層や管理職とその課題を共有し、各社各部署の自主的な課題解決のアクションにつなげています。
海外グループ会社においても独自の調査を行い、コンプライアンス経営の実践に役立てています。