バー・デビュー当日の基礎知識

5入店後のコミュニケーション

行ってみよう、と決めたお店が予約を受け付けているかどうか確認しておくといいようです。できるなら候補店に前日や開店時刻前にでも電話予約しておくといいでしょう。ただし予約不可のバーもたくさんあります。
入店したらバーテンダーが席に案内してくれます。席に着いてバーテンダーがおしぼりを手渡してくれたり、コースターを置いてくれたりするタイミングでバー・デビューであることを伝えるといいでしょう。
「バーテンダーを前にして気取ったり、場慣れした様子を装ったりしてもすぐに見抜かれてしまいます。バーは初めて、と最初に伝え、バーテンダーにうまく導いてもらうようにしたほうが賢明です」(達磨氏)
そこから会話が生まれ、食事前か後か、これから何を食べに行こうとしているのか、あるは何を食べてきたか、普段はどんなお酒を飲んでいるか、苦手なお酒はあるか、酸味が強いほうがいいとか、甘みがあるほうがいい、といったことを伝えながら一杯目が決まっていくそうです。
「喉が乾いているからビール、あるいはウイスキー・ハイボールやジントニックをオーダーするのもいいでしょう。それらを飲みながら次の1杯の相談をすることでバーテンダーとのコミュニケーションが取りやすくなります。付け加えると、おすすめはなんですか、と聞くのはよくありません。プロにとってはすべてがおすすめですし、すべての1杯をお客様に最高の状態でサービスするのがバーテンダーです。はじめてのお店では気をつけてください」(達磨氏)
またメニューがあれば、見せていただくといいようです。そのバーのスタンダードカクテルの価格を確認でき、またカクテルの場合はベース別にどんなものがあるかがわかります。味わってみたいカクテルがあれば、バーテンダーに質問することで会話が弾み、次第にバーに馴染んでいくことができます。

6オリーブやライム、
ストローの扱い

オリーブやチェリー、スライスあるいはカットしたレモンやライムなどが飾られたカクテルがあります。
グラスに入ったオリーブやチェリーは食べて構いませんし、食べたほうがいいでしょう。どのタイミングで食べるかは自由だそうです。
「カクテルピンに刺してあるものを食べたとき、その後のカクテルピンはコースターに置くといいでしょう。このときグラスの向こう側、バーテンダー側に置けば(画像参照)、片付けてくださいの合図になります。また種のあるオリーブの場合、食べたときに大体が紙ナプキンを用意してくれます。そこに種を口からだして包めばOKです。用意されていないときは、バーテンダーに軽く合図を送ればすぐに対応してくれます」(達磨氏)
レモンやライムがグラスのなかに入っているカクテルはそのままにして飲んでも構いません。小皿にカットレモンやライムが添えて出されたときは、お好みで果汁をグラスに絞り入れてくださいということです。適度に絞り終えたらグラスの中に入れ込んでもいいですし、小皿に戻してもいいそうです。
またそこにマドラーが添えられていたら、カットされた果実をそれでつぶしながら、自分のお好みの味わいをお楽しみくださいということです。マドラーを使い終わり、グラスの中にあると飲む時に邪魔だな、と思ったらバーテンダーに片付けての合図を送るといいでしょう。
もうひとつ、ストローが2本添えてあるカクテルがあります。2本のうち1本はあくまで予備用だそうです。1本のストローを使い、吸い込みながら飲んでいるときにグラスの中の細かな砕氷、あるいはジュースの果肉などが詰まることがあります。その場合に予備の1本に替えるのです。

7飲む杯数と滞在時間

お酒好きである程度は飲めるという人であっても、初めてのバーでは軽快な酔い心地でスマートに去るほうが印象はいいそうです。滞在時間も1時間前後が目安のようです。 それでも、お客さんが少ない時間帯で、バーテンダーと波長が合って話が弾むこともあるでしょう。そのときには臨機応変に。でも、「初めてのときはほどほどに」と達磨さんはおしゃっています。
帰るときには“チェックお願いします”または“帰ります”と伝えてお勘定をしてもらいましょう。気に入ったならば、笑顔で“また来ます”と伝えるといいそうです。

8常連客となるには

お気に入りのバーが見つかったら、何度か顔を出すようにしましょう。バーテンダーに顔を覚えてもらうことが大切です。
「仕事場に近い、交通の便がいい、夜景が楽しめるなどバーを選ぶ基準はいろいろあると思います。いくら内装が素敵でも馴染めないお店もあります。最終的にはバーテンダーとの波長です。それは交わす会話かもしれませんし、所作や接客の雰囲気かもしれません。波長が合うな、と感じたら通ってみることです」(達磨氏)
そうしているうちに行きつけのバーとなり、常連客となっていくそうです。常連となれば、1人でカウンター席に着いても緊張することはないでしょうし、達磨さんがおっしゃる、「自分を見つめ直す、自分を取り戻す」場となっていくこでしょう。
最後に達磨さんが最も注意して欲しい点として上げられたのが、「すでに顔なじみの常連客同士であれば理解できますが、バーではむやみに隣の席の人に話しかけたりしない」というのが暗黙のルールだそうです。
もし隣の席の方に話しかけられて戸惑うようなことがあれば、バーテンダーにさり気なく合図を送るといいそうです。バーテンダーが対応してくれます。
自分でうまく立ち回ろうとして、相手の調子に合わせたり、返答したりして気遣いで疲れてしまってはせっかくのバータイムが台無しになってしまいます。