サントリー ワイン スクエア
2025.11.18記事: 岩田渉(アンバサダー)
皆様、こんにちは!サントリーワイン・ブランドアンバサダーのソムリエ岩田です。
大変ご無沙汰しております。一年もあっという間で、気がつけばクリスマスが目の前に来ていますね。先日、登美の丘ワイナリーの畑と新しい醸造棟の見学に行って来ましたので、その時の感想を今日はこちらでお伝えさせていただきます!
![]()
![]()
訪れたのは10月の中旬、まさに畑では甲州の収穫の真っ最中でした。
一面に紫色のたわわに実った甲州が棚仕立ての畑の中に広がり、まさに実りの秋を感じさせます。
クローン別の甲州も実際に手に取って味見させて頂き、ジューシーで大きい房を持つものから、凝縮感の強い小さな房を持つものまで、これらの様々なディテールを組み合わせながら、2025年のヴィンテージも多様な甲州が醸造家の皆さまの手によって作られると思うと、ワクワクします。
![]()
大型の房
![]()
小型の房
また同じタイミングにてプティ・ヴェルドの収穫も始まっていました。
今や「登美」の赤ワインには欠かせない、この土地のテロワールにとても相性の良い黒ぶどう品種。
年々、そのクオリティが上がっているとテイスティングをする度に感じさせる、非常にポテンシャルの高い品種です。
収穫当日も幾つかぶどうの粒を摘んで味見させて頂きましたが、甘みと酸味がしっかりと詰まった完熟したフルーツの味わいに、種までチョコレートのように香ばしく熟していました。
味見をするその手が止まらないほど、美味しいぶどうからつくられるワイン。
2025年度のヴィンテージもとても楽しみです。
![]()
プティ・ヴェルド
そしてそれらのクオリティの高いぶどうをワインに。
「良いワインは、よいぶどうから」と言いますが、その質の高いぶどうのポテンシャルを最大限にいかに引き立てるか、ワイナリーの役割も大変重要になります。
その中で、この夏にオープンしたFROM FARM醸造棟にも見学に行かせて頂きました!
まさにぶどうのために設計された醸造棟。
ぶどうに無駄な負荷をかけないため、自然の重力を活かした、グラヴィティフローのシステムを採用するとともに、シャンパーニュ地方で採用されている高品質なプレス機も導入されており、それらがさらに品質の高いワインをつくる基盤となります。
そして温度コントロールが可能な小さなサーマルタンクを置くことで、各畑の、それぞれの個性に合った温度帯で繊細な醗酵を可能にし、多種多様な原酒を仕込むことができます。
畑での様々な革新を行っている登美の丘ワイナリーが、この真新しい醸造棟とともにつくっていく2025年のヴィンテージのワインをテイスティングするのが待ち遠しいですね。
「世界に誇るジャパニーズワイン」への道を、着実に歩んでいる姿に、今回も沢山感動しました!
この新しい醸造棟もツアーにて見学可能ですので、皆様も是非足を運んでみてください!
ソムリエ 岩田渉
![]()
FROM FARM 醸造棟 その1
![]()
FROM FARM 醸造棟 その2
登美 甲州 2023
ピュアで繊細で複雑。
透明感のあるフレッシュでもぎたての白桃や洋梨のようなフルーツのアロマとともに、青柚のゼストのフレッシュなアクセントから、和三盆、クレームダマンド、シナモン、レモンブロッサム、というようなさまざまなニュアンスに富む。凝縮感も高く、密度の高いミッドパレットともに、木樽由来のややクリーミーなフレーバーが、上品に、そして滑らかに味わいに溶け込み一体感のあるテクスチャーを生む。軽やかな旨味を思わせるような苦味が味わい全体を引き締める。
登美 赤 2021
完熟したブラックベリーやプラムのようなフルーツのインテンシティがとても高く、そこへバニラビーンズやシナモンといったスィートスパイスから、タバコの葉っぱ、バイオレットリキュール、やや腐葉土のようなアーシーなニュアンスも加わっていく。とても整ったストラクチャーを持ち、きめの細かい洗練された酸と磨かれたようなタンニンが加わり、緻密なバランスを味わいで保っている。多層的なフレーバーのレイヤーもあり、複雑で奥深い。余韻も長く、スケールの大きさをしっかりと表現している。