サントリー ワイン スクエア

ソムリエの皆さんとのフロムファーム勉強会

2025.05.15記事: 岩田渉(アンバサダー)

皆様、こんにちは!サントリーワイン・ブランドアンバサダーのソムリエ岩田です。
2025年に入り、初めてのレポートとなりますが、すでに厳しい冬も終わりを迎え、あっという間にゴールデンウィークも過ぎ去ってしまい、これからはぶどうにとっても嬉しい暖かい季節になっていきますね。今年はどんなヴィンテージになるのか、これからが楽しみで仕方ありません。

今回は登美の丘ワイナリーのワインの勉強会を行いました

 さて、今回は先日開催されました「サントリー日本ワイン FROM FARM勉強会」に関して紹介させていただきます。私もサントリーの皆様と一緒にお仕事をさせていただくようになって7年目となりますが、この7年の間でも、ものすごい発展を遂げているのがサントリー日本ワインであり、その現状をより多くのソムリエの方々に知っていただきたいという想いから、今回東京と大阪で活躍するソムリエの何名かにお声がけし、この会が開催されることになりました。

収穫を待つ登美の丘の完熟した甲州

 初の試みとなる今回は「登美の丘ワイナリー」に焦点を当て、甲州と登美赤に関して、それらの歴史の紹介やここ最近の発展などに関して、登美の丘ワイナリー 栽培技師長の大山さんを中心に、いろいろとお話をしていただきました。この会はセミナーというよりは、ソムリエとの意見交換会などの意味合いもありましたので、参加者のソムリエからはとても多くの質問などもあり、数多くのポジティブな意見や、逆にサントリー側からもどのようにしたらこれらのワインを提案できるのか、などの意見交換もあり、非常に有意義な時間を過ごすことができました。

 何よりも印象的だったのが、参加者のソムリエの皆の中で、『登美 甲州』への評価が非常に高かったということ。甲州は穏やかで繊細なキャラクターを持つ品種なので、もともと派手なワインをつくったりすることもなく、またシャルドネなどと違い、世界最高峰といえるモデルケースのようなワインが無い中で、そもそも何を持って最高級の甲州と言えるのか?そのような段階からサントリーの皆様の中でも議論を重ね続けてきて、ようやくリリースすることができたワイン。

「透明感もありながら、緻密で奥深い味わい」や「余韻がとても長くエレガント」など、たくさんの世界中のファインワインを扱っているソムリエの皆様からもこのようなコメントがあり、さらには「星付きレストランなどで、ペアリングにて使用したい」というようなコメントもあったように、ガストロノミックなワインとしての評価もいただきました。

勉強会の様子

 また登美の丘の赤品種に関しては、今回「プティ・ヴェルド(冒頭の写真がプティ・ヴェルド)」にフォーカスをしながら、ここ最近の取り組みなどについて紹介するとともに、特に近年の異常気象による赤系品種の色付きの悪さなど、そういった難しい部分をプティ・ヴェルドが救ってくれている現状や、ソムリエでもなかなか試飲する機会が多くはない、プティ・ヴェルド単体のワインのテイスティングなど、登美の丘の赤の歴史とともに、『登美 赤』の変遷を体験することができました。

 その中で最も印象的に残っている大山さんの言葉がありました。

「この10年間で、私たちのプティ・ヴェルドに対するワインづくりのアプローチは変化し、進化してきました。どこかの模倣ではなく、“私たちらしさ”が出来つつあります。この土地で生まれるプティ・ヴェルドへの理解をより深めることが世界に出る勝ち筋だと考えています。」

まさにサントリーらしい、ものづくりの精神が詰まっている言葉であり、そしてオリジナルかつ世界品質を求めるために必要な品種がこの登美の丘という土地ではプティ・ヴェルドであるということを改めて体感することができた機会となり、同席しているソムリエの皆も、その品種のポテンシャルの高さを賞賛しておりました。

 今年は登美の丘のワイナリーには新しい醸造棟ができたりと、ますます今後も躍進していく、登美の丘のワイン。ぜひ皆様も改めてそれらのワインの進化を感じてください!

ソムリエ 岩田渉

テイスティングコメント

ディスカッションのために、まだ製品になる前の候補原酒を皆でテイスティングしました。こちらは私・岩田のテイスティングコメントです。

登美の丘 甲州 2023(候補原酒)
フレッシュでアロマティック。
開いており、とても発散的。柑橘だけでなく、りんごや洋梨のようなフルーツのアロマ。
ピュアでフレッシュの酸が基調となり、味わいのバックボーンを支える。
ジューシーでみずみずしいフルーツのフレーバーがとても心地よく、生き生きとした味わい。
軽やかな苦味がほんのりとアクセントとなり、深みを与えている。

登美 甲州 2023(候補原酒)
より強い凝縮感が第一印象から感じられる。
熟したアプリコットや枇杷、ほんのりと木柚のニュアンス。アロマティックでありながら、スィートスパイスや生アーモンドのニュアンスもあり、香りは複雑で多層的。
フレッシュさと共に密度が高く、数多くのニュアンスが詰まっている。
心地よい苦味が程よく調和し、一体感のある味わいに。余韻がとても長い。マイルドで繋ぎ目のないようなテクスチャーがこのワインの格の高さを表す。

登美 赤 2021(候補原酒)
第一印象から凝縮した果実のアロマのインパクトが強く、黒いフルーツの熟したアロマと共に、スィートスパイスやベイキングスパイスの香りが上品に溶け込んでいる。
味わいに深みがあり、まだタンニンの存在感が非常に強いが年数と共にこなれていき、より滑らかなテクスチャーになっていくと予想される。
余韻も長く、フルーツ由来の甘いフレーバーがしっかりと乗っている。プティ・ヴェルドのややラスティックな個性が心地良く溶け込んでおり、登美らしいオリジナリティを感じさせる。

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