碧Ao誕生までの記録

vol2

新たな個性をつくる、ブレンダーの挑戦

サントリーのウイスキーづくりが始まって約1世紀、大切に受け継がれてきた「継承と革新」の精神に基づくブレンド技術。
その伝統に福與が新たなチャレンジをして仕上げた『碧Ao』の本質に迫る。

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「個性を重ねる」という
今までにないアプローチ

『碧Ao』のブレンドは、調和を目指していく従来のアプローチとは異なり、まったく新しい挑戦だったと福與は言う。「響ジャパニーズハーモニーでいえば、ブレンドによってそれぞれの原酒が持つ味の境目をなじませていくイメージ。味の境界をなだらかに整えることで最初から最後まで一体感を保ちながら、少しずつ味が変化していくように調整していきます」。ところが『碧Ao』で試みたアプローチは違った。「色にたとえるなら、黄色と青を混ぜて緑にすることをめざすより、黄色なら黄色、青なら青の良さがどことなく出てくるように味わいを調整していきました」。スコッチならスコッチ、バーボンならバーボンという具合に、世界5大ウイスキーそれぞれの魅力がどことなく感じられるよう個性を重ねて仕上げていったのだ。当然ウイスキーの味わいには、強弱をつけたい特長もあらわれる。そこは他の原酒をかけ合わせて調整したりするブレンディングテクニックを駆使しながらチューニングを行っていった。

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自社蒸溜所の原酒だけで
行ったブレンド

『碧Ao』は、世界5大ウイスキーの蒸溜所を自社で所有するサントリーだからこそ実現できた味わいだ。自社だからこそ、信頼できる品質の原酒を選ぶことができる。自社だからこそ、使うことのできるこだわりの原酒がある。アイリッシュはクーリー蒸溜所、スコッチはアードモア蒸溜所とグレンギリー蒸溜所。アメリカンはジムビーム蒸溜所。カナディアンはアルバータ蒸溜所。そして、ジャパニーズは山崎蒸溜所と白州蒸溜所から。あわせて7つの蒸溜所から選定した原酒をブレンドしている。「各国の蒸溜所の原酒は、本来それぞれのブランドが販売するウイスキーのために使われるもの。それらを提供することは各ブランドの供給に影響するかもしれません。通常なら我々でも、山崎のミズナラを提供してほしいというオファーをすんなり受け入れることは稀でしょう」。そこは、グループの強みと国境を越えた協力体制を持つ、ビームサントリーだからこそ実現することができたといえる。

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新たな挑戦のなかで
見出された発見

「正直、最後の最後まで、どう答えを出すか悩みました」。着地点を決め、そこをめざして味わいを寄せていくブレンドではなく、今回はいったん幅を広げてその中から理想の味わいを発見していく作業。これまでに経験したことのない世界5大ウイスキーの個性を重ねるというアプローチのブレンドは、まさに未知のウイスキーを探検していく感覚だったという。「もう一つ大きな発見だったのは、ブレンドしたあとに行う後熟期間での味の変化でした。すこし置いて味の印象が変わるのは他のブレンデッドウイスキーでも認識していましたが、『碧Ao』の場合、しばらくして味わうと驚くほどに味が変化を遂げていたんです」。後熟とは、原酒をブレンドしてから数ヶ月寝かせる工程のことで、原酒同士がほどよく融合してバランスの取れた味わいに仕上がる。後熟期間での味わいの変化について、はっきりとした原因は福與でもつかめないそうだ。「ただ、幸いにもどんどん良くなっているので安心しています。これはうれしい発見ですね」。軽妙に語る福與だが、多くの苦難を乗り越えてきたことは想像に難くない。みなさんは、『碧Ao』誕生の裏に、どんなシーンを思い浮かべるだろうか。