【従業員の行動変容率を改善!】
健康行動を後押ししたのは“きっかけづくり・日常への浸透・継続的なアプローチ”の創出
富山県射水市に拠点を置くアイシン軽金属株式会社は、アルミをベースに自動車用部品や福祉生活・宇宙分野の開発・製造を行う企業です。2022年より、健康推進グループによる従業員向けの「AKスマートプロジェクト」を始動し健康経営®を推進してきました。しかし、「取り組みが健康行動に結びつかない」という課題を抱えていました。
2023年からはサントリープラスを導入し、従来の施策に加えて「歩こうフェス」をはじめとしたさまざまな健康施策を実施。その結果、2024年度には全従業員を対象にした特定保健指導実施率は89.5%、行動変容率(※1)は実行期+維持期において前年比3.6%アップを達成しました。さらに、3年連続で「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」の認定も取得しています。
どのような取り組みで従業員の行動変容を促進し、数値の改善まで結びつけたのか。その具体的な戦略を、健康推進グループの皆さんにうかがいました。
※1 行動変容率:対象者の意識・行動が望ましい方向へ変化した割合。健康診断や保健指導の分野では、生活習慣の改善・定着プロセスを示す「行動変容ステージモデル(無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期)」を用いて、各段階にいる人の割合を指す「行動変容率」が、プログラムの成果指標として用いられている。
池崎 紀美さん
アイシン軽金属株式会社
(人事・総務部 ウェルビーイング推進主査)
今度 悠樹さん
アイシン軽金属株式会社
(安全健康推進部 健康推進主査・保健師)
樋口 由里子さん
アイシン軽金属株式会社
(安全健康推進部 健康推進グループ 健康管理チーム 保健師)
丸池 萌花さん
アイシン軽金属株式会社
(安全健康推進部 健康推進グループ 健康管理チーム 保健師)
健康経営の取り組み当初の課題とは?「どうしたら健康を“ジブンゴト”として感じてもらえるのか?」
― アイシン軽金属における健康経営の歩みは、どのように始まったのでしょうか?
今度さん:
本格的に健康経営に舵を切ったのは、2022年度のことでした。この年の会社方針に、初めて「健康」という言葉が入ったことが全ての始まりです。
当時はコロナ禍の真っ只中で、対面での保健指導が難しく、実施率も低下していました。生活習慣の改善というところでは、行動変容ステージをもとに健康診断の問診票から健康行動の習慣化に関する回答を抽出してみると無関心期が増えて、実行期、維持期にある方々が減っていました。感染症への対応に追われ、生活習慣病などに関するヘルスリテラシーそのものが減少してしまっていました。
そこで、適正体重、朝食、運動、間食、喫煙、飲酒、睡眠という7つの健康指標・生活習慣に焦点を当て、会社全体で健康について考えていくためのプロジェクトを立ち上げました。
― それが「AKスマートプロジェクト」ですね。名称にはどのような想いが込められているのでしょうか?
今度さん:
健康経営という言葉だけだと、どうしても従業員には堅苦しく、自分とは関係のないことのように聞こえてしまいます。そこで、アイシン軽金属の略称である「AK」に、「安全」と「健康」、そして「賢く(スマート)」を掛け合わせて「AKスマートプロジェクト」と命名しました。まずは親しみを持ってもらうことがスタートラインでした。
― プロジェクト始動にあたって、経営層からはどのような要望がありましたか?
池崎さん:
経営層からは当然、具体的な数字での成果を求められました。しかし、人の体や習慣は一朝一夕に変わるものではありません。そこで、単年で結果を出すのは難しいので、2022年度から2025年度までの「3カ年計画」を策定し、中長期的な視点を持たせてほしいとお願いしました。
― 活動を始めてみて、最初に見えてきた課題は何だったのでしょうか?
今度さん:
2022年度の活動を終えた時点で突きつけられた現実は、プロジェクトの取り組みが実際の「健康行動」に結びついていないということでした。従業員への意識調査では、「健康はプライベートなこと。会社に口をはさんでほしくない」といった声も上がりました。
どうしたら“ジブンゴト”として考えてもらえるのか、取り組み内容の再検討が必要だと感じました。
池崎さん:
経営層に説明する数字も大切ですが、現場の従業員が「これなら自分もやってみたい」「楽しい」と思える内容になっていなければ、本質的な行動変容は起きません。そんな時、新たな施策の柱として検討し始めたのがサントリープラスでした。
楽しみながら取り組めるアプリとして2023年からサントリープラスを導入
― サントリープラスを導入された経緯と、決め手となったポイントを教えてください。
今度さん:
前年度に別の健康アプリを導入していたのですが、基本的に「歩数」を計測するだけのものでした。もうちょっと楽しめるものはないかと探していたところに、グループ会社から紹介されたのがサントリープラスでした。
最大の魅力は、歩くこと以外にも多様な「健康タスク」が用意されており、それを達成するとポイントが貯まって自販機の飲料と交換できるという、非常に分かりやすいインセンティブがあったことです。
池崎さん:
当社の工場内には至るところに自販機があります。従業員が喉を潤すために毎日必ず立ち寄る場所が、健康行動の「報酬を受け取る場所」になる。この導線の作り方が秀逸だと感じました。
― 導入当初の従業員の皆さんの反応はいかがでしたか?
今度さん:
2023年5月に導入した当初、実はアプリの登録率はわずか4.3%でした。そこで、「とにかく一度触ってもらう」ための仕掛けを作りました。7月の健康診断に合わせて、飲料クーポンが当たるサントリーさんの「スターターパック」のキャンペーンを実施したんです。健診会場でサントリープラスの説明を書いたカードを配り、未登録の方に片っ端から声をかけました。「飲料クーポンが当たるかもしれないから、今のうちに入れておきませんか」と。
樋口さん:
現場の従業員の中には、スマートフォンの操作が苦手な年配の方もいらっしゃいます。そうした方々には、私たち保健師が直接横について、アプリのインストールから使い方の説明まで丁寧に行いました。
丸池さん:
「飲み物が当たるならやってみようかな」という、ちょっとしたきっかけから登録してくれる方が多かったですね。現場の皆さんが「頑張ったらポイントがもらえるんだ」「毎日飲んでいるこの牛乳も、実は健康行動なんだ」と、ポジティブな驚きを持って受け入れてくれたのが印象的でした。
今度さん:
結果として、この健診期間だけで登録率は27%、人数にすると340人増えました。現在、アプリの登録率は54%(2026年1月末現在)まで伸びています。
サントリープラスを通じて行動変容を促す3つのポイント
― アイシン軽金属株式会社では、「AKスマートプロジェクト」を推進するにあたって、まずはやってみようと思える「きっかけづくり」や、日常的に取り組める健康行動のしかけや継続性を大切にしています。行動変容率が3.6%改善した背景には、サントリープラスを単なるアプリとして導入するだけでなく、会社の既存施策と深く連動させ、「きっかけ」「日常」「継続」の3つのフェーズを緻密に設計した戦略がありました。ここからは、具体的になぜ「行動変容」が起きたのか、その成功の要因を詳しくうかがいたいと思います。
行動変容を促す3つのポイント①:強力な「きっかけづくり」
― まずは、「きっかけづくり」について教えてください。
今度さん:
行動変容の最大のきっかけとなっているのが、秋に開催するウォーキングイベント「歩こうフェス」(以下、歩こうフェス)です。この期間にアプリの利用率を高めるため、職場対抗戦の要素を取り入れ、さらに豪華な賞を用意しました。直近の「歩こうフェス」期間中に登録者数は1,000人を超えるなど、全社的なムーブメントになっています。
― 「歩こうフェス」では、具体的にどのような盛り上がりが見られましたか?
今度さん:
個人賞の1位になった方は、なんと1日平均3万9,000歩も歩いていました。グループ対抗でも平均2万5,000歩という、信じられないような数字が出るんです。表彰式の報告書に顔写真を載せて全社に紹介することで、「あの人はあんなに歩いているのか!」と職場内の会話が活性化しました。
樋口さん:
「歩こうフェス」や「健康タスク」をきっかけに劇的な変化を遂げた方もいます。ある方はウォーキングに目覚めたり、ある方は歯磨きの最中にスクワットをするというタスクを地道に続けたりして、最終的に8~9キロもの減量に成功したんです。
今度さん:
上司からせっかく頑張ってる人がいるなら、インタビューしてみんなに紹介したら?という提案があったんです。それで、了解をいただけた方について、こうして健康になった人がいるんだよと食堂のPOPで紹介しました。やはり体重が落ちると血糖値などの数値も改善されるんですよね。
AKスマートプロジェクト全体のデータを見ても、歩こうフェスの参加者は不参加者に比べて明らかに歩数が増加しており、サントリープラスがあることで、運動への心理的ハードルが下がり、それが確かな健康成果につながっていることを実感しました。
― 他にも行動変容のきっかけにつながった施策はありますか?
池崎さん:
2024年に実施した「健康応援プログラム」も大きな効果がありました。健康診断の結果、改善が必要な方に特定の健康飲料クーポンを配布するプログラムです。「特茶」や「黒烏龍茶」といった分かりやすい価値のある飲料が手に入ることで、注目度も高く、アプリのダウンロードも増え、健康行動を開始する良いきっかけになっています。
行動変容を促す3つのポイント②:低ハードルな「日常への浸透」
― イベントで火がついた意識を、日常の習慣に落とし込むために工夫されたことはありますか?
今度さん:
私たちが発信するあらゆる健康情報に、サントリープラスの要素を紛れ込ませるようにしています。サントリープラスのイラストやアイコンは非常に可愛らしく、直感的に分かりやすいですよね。これを社内掲示物やスライドに多用しました。
池崎さん:
例えば、転倒予防のために「片足立ち」や「スクワット」を推奨するポスターを食堂に貼る際、そこには必ずアプリ内のアイコンを添えます。すると、従業員の頭の中で「このアイコンの行動=健康に良いこと」という結びつきが自然に生まれるんです。
今度さん:
実はこれが「行動変容」において最も重要な点だと思っています。健康行動を特別なことではなく、日常の些細な習慣として再定義すること。朝起きてコップ一杯の水を飲む、歯磨きをしながら踵を上げる。そんな「これだけで健康行動なんだ」という気づきを、アプリと掲示物の連動によって従業員に提示し続けました。
池崎さん:
当社には外国籍の従業員も多く在籍していますが、文字だけの説明ではなく、サントリープラスの「絵で見てわかる」イラストは非常に効果的です。誰でも、どんな職種でも、直感的に「これをやればいいんだ」と理解できる。このアクセスの良さが、日常への浸透を加速させました。
行動変容を促す3つのポイント③:自販機を接点とした「継続的なアプローチ」
― 「継続的なアプローチ」という面において、サントリープラスのどのような点が寄与していると感じますか?
池崎さん:
やはり、社内に14台設置している「アプリ対応自販機」の存在は欠かせません。健康施策というと、わざわざ研修に参加したり、ジムに行ったりといった「非日常」の行動を強いがちですが、サントリープラスは「自販機で飲み物を買う」という極めて日常的な動作を、健康への動機付けに変えてしまいました。
樋口さん:
アプリ内の「健康クエスト」などのゲーム性も、飽き防止に一役買っています。RPGのような感覚で楽しみながらタスクをクリアしていくのが好きな方も多いですね。がっつりとした数値管理や食事制限だと疲れてしまいますが、可愛いイラストやポイントのご褒美があることで、息長く続けられる。この「ゆるさ」と「楽しさ」の絶妙なバランスが、継続の秘訣だと思います。
行動変容の改善を加速させる、現場起点での「PDCAサイクル」
― 健康推進グループの皆さんは、施策の振り返りと改善を非常に徹底されている印象を受けます。
池崎さん:
常に振り返り、改善し続けるというのは、アイシン軽金属という会社そのものの文化であり、風土なんです。健康推進グループに限らず、全ての部署においてPDCAを回すことが入社時から刷り込まれています。
今度さん:
サントリープラスを導入してからは、そのPDCAのスピードと精度が上がりました。アプリを通じて「今、何人の従業員がアクティブなのか」「アプリについてどう感じているのか」といった生の声に近いデータを拾いやすくなったからです。
― 具体的な改善エピソードがあれば教えてください。
今度さん:
例えば、「歩こうフェス」において、あまりにも歩数が多すぎるトップ層が固定化してしまうと、他の従業員が「どうせ勝てない」と冷めてしまいます。そこで私たちは、2回以上1位になった人は「殿堂入り」として別枠で表彰するルールを作りました。
池崎さん:
他にも、順位に関係なくチャンスがある「飛び賞」を設けたり、5,000歩以上歩いた人にドリンクチケットが当たる抽選を行ったりと、とにかく「自分にもチャンスがある」と思ってもらえるように改善を繰り返しました。
今度さん:
事務局側が一方的に押し付けるのではなく、従業員の反応をレポートで確認し、次の企画に活かす。この対話のようなサイクルが、従業員との距離を縮め、施策を血の通ったものにしているのだと思います。
健康行動を「健康考動」に変える、サントリープラスのユニークなポイント
― 改めて、AKスマートプロジェクトにおいてサントリープラスが果たしている役割をどう評価されていますか?
今度さん:
サントリープラスは、単なる健康管理ツールではありません。自分の健康を考える「きっかけ」であり、何をすべきかを教えてくれる「ガイド」でもあります。私たちのプロジェクトは、食生活や運動など個別の項目をバラバラにやるのではなく、全てが結びついているという考え方を大切にしています。サントリープラスは、運動のタスクが実は血圧や血糖の改善にどうつながっているかを、アイコンや説明で「見える化」してくれます。
池崎さん:
行動変容率が上がったという結果も、単に数値が良くなったことだけを喜んでいるのではありません。従業員が自分自身の課題に気づき、自発的に「動く」ようになったこと。つまり「健康考動(こうどう)」ができるようになったことが最大の成果です。
今度さん:
サントリープラスを導入したことで、会社全体としてメタボの人が減ってきて、予備群も減ってきました。また、直近の健康診断では、BMI25の人の割合が減ったんですけど、運動習慣ありって回答した方が大きく増えていました。
現在、多くの従業員のスマホにサントリープラスが入っているので、アプリを開くこととか、健康タスクを押すっていうところで、自分が運動してるっていう感覚につながった、運動意識の向上が見えたのだと思います。
毎日アプリを開いて健康タスクのボタンを押す。それだけで、その人はもう「健康を意識して行動した人」なんです。この自己肯定感を積み重ねられる仕組みが、サントリープラスの最もユニークで、素晴らしい点だと思っています。
― 保健師としての面談など、他の業務への好影響はありますか。
樋口さん:
特定保健指導の実施率も向上しています。私たち保健師が、サントリープラスという共通の話題を持って従業員に接することで、「最近アプリやってる?」「ポイント貯まった?」といった会話からスムーズに本題に入れるようになりました。会社の状況をよく分かっている私たちだからこそ、アプリを介してより深いコミュニケーションが取れるようになったと感じています。
今後の展望:2030年、業界トップの健康経営を目指して
― 最後に、今後の展望と目標についてお聞かせください。
今度さん:
2030年に向けて、私たちは「健康経営度調査において業界トップのスコアを目指す」という高い目標を掲げています。現在のスコアからさらに10ポイント以上積み上げる必要がある、非常に険しい道です。
池崎さん:
サントリープラスを導入して3年。現在は、多くの従業員にとってアプリが日常の一部になった一方で、「慣れ」や「飽き」が出てくる時期でもあります。これからは、新しい健康施策を次々と追加することよりも、今ある仕組みをさらにブラッシュアップし、従業員のモチベーションをいかに維持・向上させていくかが鍵になります。
今度さん:
サントリープラスを活用したPDCAをさらに加速させ、歩こうフェスなどの大型イベントもマンネリ化させないように工夫し続けたいですね。従業員が飽きずに、かつ楽しみながら、気づけば健康になっていた。そんな環境を、これからも健康推進グループが一丸となって作っていきたいと考えています。
※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
サントリープラス開発チームより
歩こうフェス充実プランで健康行動のきっかけづくりを行い、さらに日常への健康行動を浸透させて従業員の行動変容を生み出したアイシン軽金属株式会社様。サントリープラスの様々な健康施策を通じて、従業員とのコミュニケーションの改善にも役立てています。サントリープラスではアプリや健康施策を通じて、手軽さや楽しさで従業員の健康意識向上や健康行動の促進が可能です。是非興味を持たれた企業様がお見えでしたら、一度お問合せよりご連絡いただけますと幸いです。

