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森林施業と森林火災では、低水時の河川流量への影響が異なる可能性
―「水文・水資源学会 日本水文科学会2026年度研究発表会」で研究成果を発表―

2026.09.29

サントリーグローバルイノベーションセンター(SIC)の綿貫 翔は、2026年9月13日(日)~16日(水)に岐阜県岐阜市で開催された「水文・水資源学会 日本水文科学会2026年度研究発表会」において、森林施業と森林火災が河川流量に及ぼす影響を比較した研究成果を発表しました。

森林・河川、森林施業、森林火災を表したイメージ

森林の変化は、河川を流れる水にどう影響するのか

森林は、蒸発散や水の浸透、土壌への水分貯留などを通じて、流域から河川へ流れ出す水の量やそのタイミングに影響を与えています。

森林施業や森林火災によって樹木量が減少すると、蒸発散量の低下などを通じて年間の流出量が増える場合があります。一方、水資源を考えるうえでは、年間を通じた水量だけでなく、雨が少ない時期などに河川へ供給される「基底流量」がどのように変化するかも重要です。

今回発表した研究では、森林総合研究所の竜ノ口山森林理水試験地における長期観測データを用いて、森林施業前後と森林火災前後の河川流量を比較しました。年間の総流出高に加え、流況曲線や355日流量などを用いて、特に水資源上重要となる低水時の流量変化に着目して解析しました。

ポスター発表の様子

同じ「樹木量の減少」でも、低水流量への影響は異なる可能性

解析の結果、年間の流出高は、森林施業後、森林火災後のいずれも増加しました。

一方、基底流量を示す指標の一つである355日流量(渇水流量)は、森林施業後には有意に増加したのに対し、森林火災後には有意な変化が認められませんでした。また、流況曲線でも、森林施業後には低水側の流量が増加する傾向が見られた一方、森林火災後には火災前と同等からやや低下する傾向が見られました。

これらの結果は、森林施業と森林火災がいずれも樹木量の減少を伴う森林攪乱であっても、低水時の河川流量への影響は同じではない可能性を示しています。

森林施業前後と森林火災前後の流況曲線

その背景には、森林攪乱による蒸発散量の変化だけでなく、流域内の水の浸透や貯留機能の変化が関係している可能性があります。

森林施業後には、土壌の浸透・貯留機能が大きく損なわれないまま蒸発散量が低下することで、低水時に河川を支える水量が増加した可能性があります。その要因については今回の解析だけから特定することはできませんが、森林火災後には、土壌撥水性や土壌構造の変化によって降水が流域内に保持されにくくなり、年間の流出量が増加しても、その増加が低水時の河川流量として現れにくかった可能性が考えられます。

水資源を考えるために、「水が少ないとき」にも目を向ける

今回の研究から、森林攪乱が水資源に与える影響を捉えるためには、年間の総流出量だけでなく、低水時や渇水時に河川を支える基底流量についても評価することの重要性が示されました。

特に森林火災の影響を考える際には、洪水流出や土砂流出だけでなく、水源涵養機能や基底流量への影響にも目を向ける必要があります。

SICでは、水循環のメカニズムを科学的に理解し、将来にわたって持続可能な水資源を考えていくための研究を進めています。

発表概要

大会名
水文・水資源学会 日本水文科学会2026年度研究発表会

会期
2026年9月13日(日)~16日(水)

会場
じゅうろくプラザ(岐阜県岐阜市)

発表タイトル
森林施業と森林火災が流量応答に及ぼす影響の比較 ―年流出高と低水流量に着目して―

発表者
綿貫 翔(サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社)

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