2025.12.22

サステナビリティ 水科学 ストーリー

地球をめぐる水、人をめぐる水

地球をめぐる水、人をめぐる水
地球をめぐる水、人をめぐる水

水は自然界でも、人の体の中でも、常にめぐっています。私たちは「水」の理解を進め、社会にとっての潤いとなるような研究を続けています。

記載の役職・部署名・写真などは、原則として掲載当時(2025年)の情報です。現在とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

この記事の要約

サントリーは、水を扱う企業グループに欠かせない「水」への理解を深め、将来にわたって水資源を守り続けていくために、水科学研究所を設立しました。目に見えない地下水の動きの「見える化」から、水源地の涵養活動の効率化や水資源の長期的な保全を目指しています。また、製品開発に直接結びつく研究だけではなく、自然界や生体内の水循環の研究といった基礎研究を大切にすることで、幅広く応用を行い、社会に新しい価値を提供し続けたいと考えています。

「水」はサントリーにとっての生命線

水科学研究所のある、サントリーワールド リサーチセンター
水科学研究所のある、サントリーワールド リサーチセンター

豊かな森が育んだ良質な天然水は、私たちサントリーのものづくりの源です。ビールもウイスキーも清涼飲料もおいしい水がなければ生み出せません。まさに、サントリーは水に生かされている会社。だからこそ、地球や人にとってかけがえのない水を守り、大切に使い、やがて自然に返していくことは私たちの当然の使命なのです。

その使命を果たすために必要なのが、水の動きや働きに対する理解を深めること。その役割を担っているのが水科学研究所です。水の研究を進めることによって、将来にわたって水資源を守っていくためにはどうすれば良いかが分かってきます。100年先の子どもたちにおいしくて安全な水を届けるにはどうしたらいいのか──。そういったことを考えながら、私たちは日々研究をしています。

地面の下の見えない水の動きを「見える化」

地面の下の見えない水の動きを「見える化」
「サントリーの事業のためだけではなく、水問題に悩む世界中の人々のために我々の技術を役立てたいと思っています」

私たちが常に注目している「水の循環」。水蒸気が上昇して雲になって雨が降り、地面に浸み込んだ地下水が川となって海へと注がれ、その水は再び蒸発して雲となり雨となって自然界を循環し続けます。その循環の中で特に私たちが関心を寄せているのが、目には見えない地下水の動き。それを「見える化」し、コンピュータ上で再現する研究に力を入れています。地質や水の浸み込みやすさ、井戸の水位など、様々なデータをもとに地面の下の様子を描きます。この「見える化」が、将来にわたり水資源を守り続けることに役立つと考えています。

我々の天然水工場が、水質、水量ともに最高の場所に巡り合え、立地出来たのも、こうした研究・技術が役に立ったからだと思います。さらに、水源地の涵養活動(※)もこの研究の成果があるからこそ効率よく計画できる。この技術が確立したら日本だけではなく、干ばつなどに苦しむ海外でも役立てていきたいと思っています。

※涵養活動とは、植林や間伐などを行い森林を保護し育てることで水源を守る活動のこと。

科学的な根拠を大切に、社会に開く研究

サントリーのさまざまな研究についての情報が展示されているエントランスにて
サントリーのさまざまな研究についての情報が展示されているエントランスにて

水は自然界だけではなく、私たち人間をはじめ、さまざまな生物とも交わっています。人が口にした水も体内をめぐり、細胞を潤しながらやがては排出されていきます。私たちの生命活動を支える生体内の水の循環は、自然界をめぐる大きな水の循環の一部でもあるのです。最近では、飲料としての「水」の摂取も生活に浸透しており、水と健康との関わりなどの研究も皆さんに関心を持ってもらえるのではないでしょうか。

「自然界の水循環」や「生体内の水循環」への理解は、食品酒類総合企業として事業活動を行う上で欠かすことは出来ません。製品開発に直接結びつく研究だけではなく、そのもととなる現象を理解しようというのが私たちの研究のコンセプトです。そういった基礎研究だからこそ、飲料だけに限らず、健康食品や化粧品などにも幅広く応用が利き、新しい価値を提供することができるのです。

各方面の有識者に協力を仰ぎ、科学的なエビデンスに基づき得られた研究成果は、事業活動に役立てていくとともに、広く社会に発信して普及も進めたいと考えています。

世界へ広がる、未来へつながる、サントリーの水研究

今や研究のフィールドは、事業の拡大に伴い東南アジア、ヨーロッパ、南米など海外にまで広がっています。また、技術の進歩に合わせて研究分野も拡充し、AI技術を用いた水循環モデル精度向上の取り組みも始まりました。私たちの技術を世界中に応用できるよう、水源や流域の拡張性、そして更なる精度向上に挑んでいきたいと思っています。

水と生きるSUNTORY──。

このコーポレートメッセージそのままに、私たちは会社の生命線である「水」に関する理解が進むよう研究を続け、未来の子どもたちにおいしくて安全な「水」を引き継いでいきたいと考えています。

Profile
辻本利幸
水科学研究所長
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