2026.10.15
健康先取り 健康科学 ストーリー日常の「水分摂取」を、より手軽に捉えるために
―日本人成人の習慣的な水分摂取量を推定する「簡易質問票」の開発・評価研究を国際学会で発表―
サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社(SIC)は、日本人成人の習慣的な水分摂取量を、少数の質問から推定する簡易質問票の開発と評価に関する研究を進めています。本研究成果を、南アフリカ・ケープタウンで開催された「18th World Congress on Public Health(WCPH 2026)」で発表しました。 WCPHは、公衆衛生分野の研究者や実務者、政策立案者などが世界各地から集まり、グローバルな健康課題について議論する国際学会です。

研究の背景
水は、体温調節や循環、栄養素の運搬など、私たちの身体を支えるうえで欠かせません。一方、水分摂取量を把握するには、飲料だけでなく、食事に含まれる水分も含めて評価する必要があります。
研究グループはまず、これまで各国・地域で用いられてきた水分摂取量の評価方法についてシステマティックレビューを行い、評価方法や対象集団などを整理しました。そのうえで、詳細な食事記録は水分摂取量を把握するための重要な方法である一方、回答者の負担が大きく、大規模な調査や長期的な調査で活用しにくいという課題に着目しました。そこで、日本人成人を対象に、より少ない質問で習慣的な水分摂取量を推定できる方法の開発に取り組みました。

研究成果
1 少数の質問で習慣的な総水分摂取量を推定
研究グループは、日本人成人の食事・飲料の摂取状況と生活習慣に関するデータを用い、水分摂取量の推定に有用な質問項目を絞り込みました。モデル開発では機械学習(Random Forest)を用い、305項目の生活習慣に関する質問から、性別や季節に応じて、総水分摂取量の推定に用いる10~14項目を選定しました。
※総水分摂取量:飲料由来・食事由来・酒類由来から構成される水分摂取量。

2 別の集団で質問票の推定性能を評価
作成した簡易質問票は、モデル開発とは別の集団を対象に、4日間の食事記録から求めた水分摂取量と比較して評価しました。その結果、質問票から推定した総水分摂取量は、食事記録から求めた値と中程度の相関を示しました。短い質問票は約2~3分で回答できる設計で、大規模な疫学調査などでの活用が期待されます。
3 目的に応じて水分の摂取源も評価
総水分摂取量を短時間で推定する簡易版に加え、飲料、アルコール、食事など、水分の摂取源ごとに把握するための質問票も検討しました。調査の目的に応じて、回答負担を抑えた方法と、摂取源をより詳しく捉える方法を使い分けられる設計です。
研究の意義と今後の展望
今回の研究は、日本人の生活・食習慣に適した水分摂取量の評価方法の確立に向けた取り組みです。より大きな集団で日常的な水分摂取の実態を把握できるようになることで、健康・栄養研究に必要な基礎データの蓄積につながることが期待されます。今後は、異なる集団でのさらなる検証を進めていきます。

発表概要
学会名
18th World Congress on Public Health(WCPH 2026)
会期
2026年9月6日(日)~9月9日(水)
会場
Cape Town International Convention Centre(CTICC)、Cape Town, South Africa
演題名
A Systematic Review of Water Intake Assessment Across Populations and the Development of a Population-Specific Prediction Model for Japanese Adults
発表者
Junki Ikeguchi¹˒², Hiroaki Ueshima³, Hiroki Tanaka⁴, Keiko Mizuma⁵, Yumi Nakamura², Aya Hirata⁶, Tomonori Okamura⁶, Satoshi Nakamura⁴, Hiroshi Tamura¹˒³
所属
¹ Graduate School of Informatics, Kyoto University
² Research Institute, Suntory Global Innovation Center Limited
³ Center for Innovative Research and Education in Data Science, Institute for Liberal Arts and Sciences, Kyoto University
⁴ Division of Information Science, Nara Institute of Science and Technology
⁵ Institute for Water Science, Suntory Global Innovation Center Limited
⁶ Department of Preventive Medicine and Public Health, Keio University School of Medicine
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