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日本植物細胞分子生物学会の奨励賞を受賞!

研究部の小埜栄一郎は、花卉および原料作物に含まれる有用物質の研究成果が評価され、2011年9月に九州大学で開催された日本植物細胞分子生物学第29回大会で奨励賞を授与されました。今回、受賞の対象となった研究は、キンギョソウの花の黄色い色素のオーロン、ゴマに含まれるセサミン、ワイン用ブドウに含まれるケルセチン配糖体等、人の生活を豊かにする植物成分の代謝研究です。日本植物細胞分子生物学会奨励賞は、植物組織培養、分子生物学および細胞工学の研究分野において優れた業績を有し、将来さらに活躍が期待される40歳以下の研究者に対して授与されるもので、民間企業の研究者では初となりました。

講演している男性
受賞講演の模様
奨励賞の表彰状
奨励賞の表彰状
黄色い花の分子育種に成功
化学と生物の表紙
黄色い色素オーロンを
蓄積しているトレニアの花
キンギョソウの花
キンギョソウの花

キンギョソウの二つの遺伝子(ASとC4’GT)を発現し、青いアントシアニン色素を作る遺伝子を抑制した黄色いトレニアの花。出典:化学と生物 Vol.46(1)(2008年)

サントリーでは青い色素の合成をつかさどる酵素の発見から世の中に無い青いカーネーションや青いバラの開発に成功しましたが、黄色い色素については長い間謎に包まれたままでした。春に咲くキンギョソウの黄色い花には、オーロンと呼ばれる鮮やかな黄色色素が含まれています。世の中に無い黄色い花の創生を夢見て、この色素が細胞中で合成される仕組みを研究してきました。2000年には東北大学と共同でオーロンを作るために必要な一つ目の酵素(オーロン合成酵素:AS)を発見。さらに、植物体内ではこの酵素だけでは不十分で、二つ目の酵素(カルコン配糖体化酵素:C4’GT)も必須であることを突き止めました。キンギョソウのASとC4’GTの2つの遺伝子を青いトレニアの花で発現させることで黄色いオーロン色素を作らせ、さらに本来の青い色素合成を抑制することで黄色い花を咲かせることに成功しました。この技術を活用すれば多くの植物に黄色い花を咲かせることができると期待されます。

ゴマリグナンの生合成メカニズムの解明

ゴマの種子に豊富に含まれているセサミンに代表されるリグナン類は、多様な活性を有するため多くの注目を集めています。ゴマリグナンにより多くの有効性を見出すために、サントリーでは小さなゴマ種子の中で行われている代謝を詳細に解析し、セサミンを合成する酵素(セサミン合成酵素)を発見しました。さらに研究を深め、セサミノールというゴマリグナンに糖をつける配糖体化酵素についても同定しました。本来水に溶けにくいゴマリグナンは糖が付加されることで水溶性になります。リグナン類を液体として取り使うことができれば、健康食品に限らず多様な食品形態への幅広い展開が期待されます。このようにサントリーでは植物の基礎的な代謝メカニズムの理解を通じて、新しい商品開発へ繋げる研究活動を続けています。

分子のイラスト
ゴマリグナンの生合成経路(ピノレジノールからセサミンを経てセサミノール配糖体 へ至る過程
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※部署名、役職名、写真は、制作(インタビュー)当時のものです。

※部署名、役職名、写真は、制作(インタビュー)当時のものです。

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