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仙台市民交響楽団「仙台市民交響楽団 第84回定期演奏会」

  • 実施日時
    2022年6月19日(日)14:00開演
  • 実施場所
    仙台電力ホール
  • プログラム

    サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール
    チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
    C.フランク:交響曲ニ短調 FWV.48

  • 出演

    水戸 博之(指揮)
    大江 馨(ヴァイオリン独奏)
    仙台市民交響楽団

主催者からの活動レポートをお届けします。
 私たち、仙台市民交響楽団は、仙台市内を拠点に活動を続けている結成後50年を超えるアマチュアオーケストラです。団員は社会人から学生まで、10代から70代まで各世代に亘る約70名の団員で活動を行っております。

 また、ウィーン・フィル&サントリー音楽復興基金での「ウイーンフィル奏者による指導」を受けながら育った仙台ジュニアオーケストラのOB・OGが、当団メンバーとして複数名在籍して活躍し、演奏技術の底上げに貢献しております。

 今回の演奏会はコロナ禍などの多くの困難を乗り越えて、やっと開催にたどり着きました。一昨年の新型コロナ以降、夏の演奏会が2年連続で中止となり「今年こそは開催するぞ」と意気込んでいた矢先、3月16日発生の震度6強の福島県沖地震により会場予定の東京エレクトロンホール宮城が被災により長期休業が決定。「とうとう3年連続で夏の演奏会が中止になるのか・・」と思っていたところ、仙台電力ホール様のご厚意により、会場を急遽変更し、演奏会開催まで漕ぎ着けたというのが実情です。コロナ渦と地震の困難を乗り越え、2年半ぶりの仙台市内での演奏会開催ということで、700名を超えるお客様に来場頂き、大盛況のうちに終了致しました。

 今回の演奏会のソリスト・ヴァイオリンの大江馨さんは地元仙台出身で、世界各地での活躍に加え、N響や仙台フィルなど国内プロオーケストラにおいてソリストやゲストコンマスを数多く経験された若き俊英です。当オーケストラの弦楽トレーナーの渋谷由美子先生のご縁により、以前より共演をお願いしておりましたが、コロナの影響で共演が2回中止となり、ようやく3度目にして共演が叶ったものです。

 大江さんはリハーサル時から、その卓越したソロ技術はもちろんのこと、オーケストラをぐいぐいと引っぱって行き、伴奏オーケストラの技術もみるみる上達させていく様は「お見事!」としかいいようがありません。大江さん自身も「一つの曲を丁寧に丹念に時間をかけて深堀りできるアマオケとの協奏曲はとてもやりがいがある」と。

 そして本番。大江さんは思う存分歌心をソロバイオリンに織り込み、オーケストラもその息使いを捉えてピタリとつける素晴らしい演奏!「会心のチャイコフスキー」となったのでした。演奏後は万雷の拍手が鳴りやまず、「こんな凄いコンチェルトを仙台で聴けるとは、正直驚いた」「響きがピタッと合い、熱い伴奏も素晴らしかった」等々のすばらしい感想を頂けました。

 また指揮者には若手指揮者として活躍著しい水戸博之先生を迎え、団員一人ひとりの感性を大切にしながら、的確な指示により響きを創り上げていただきました。サンサーンス、フランクとも作曲家であると同時にオルガン奏者であり、その宗教的響きを「市民響の紡ぐ音楽への熱い想い」とともにお伝えできたと思っております。

 震災後10年を経過し一つの区切りがついたところですが、「被災地で精力的に活動を続ける仙台を代表するアマチュアオーケストラ」として、今後もお客様に喜ばれる演奏活動を続けていきたいと思っております。