2026.02.24
商品開発で活躍するサントリアンが、海外で実感した「10年3仕事」での成長
サントリー食品インターナショナル株式会社で商品開発を担当する村角幸樹さん。新卒で工場配属からキャリアをスタートし、飲料の商品開発、原料開発、酒類RTD(※)の商品開発など、多彩な経験を積み重ねてきました。2025年4月からはスペインに赴任し、欧州マーケット向けの商品開発に挑戦している村角さんに、サントリーでの「10年3仕事」を通じた自らの成長とキャリア形成について教えてもらいました。
※RTD:Ready to Drinkの略。ふたを開けてすぐにそのまま飲める缶やペットボトル入り飲料などの総称
異動のたびに発見がある、商品開発の面白さ
2013年にサントリーへ入社した村角幸樹さん。初期配属先の希望は、サントリーを志望する理由のひとつでもあった「BOSS」ブランドの商品開発部門でした。
村角さん:学生時代、早朝のまだ暗い時間帯に、「BOSS」を片手に近所の海岸沿いを散歩することが、自分にとって大切なひとときでした。あるとき、ただ散歩するだけでなく、傍らに「BOSS」があることで、この時間が豊かなものになっていると気づいたんです。自分も未来の誰かにとって、そんな豊かさをもたらすものをつくりたい。そんな想いがサントリーを志望し入社することにつながりました。
しかし、最初に配属されたのはサントリープロダクツ株式会社の高砂工場調合グループ。正直、商品開発や研究部門に配属された同期がキラキラして見えて、最初の頃は「なぜ自分はここにいるんだろう」と考えてしまうこともありました。
ただ、ネガティブに捉えてしまうのは自分らしくないと考え直し、半年経った頃には「ほかの誰かと比較するよりも、今の自分の持ち場で楽しむことが大事だ」と思えるようになりました。設備設定から原料の受け入れ、調合、品質管理、包装まで、各部門を回って現場スタッフと一緒にオペレーションを経験するなかで、工場には生産現場ならではの楽しさがあることが、少しずつわかってきたからだと思います。
現在はスペインのトルデラにある開発拠点で、欧州市場向けの商品開発に携わっている村角さん。
2年目からは工場全体のコスト改善や効率改善の業務を担当。1年間で培った現場での経験や気づきがすぐに活きてきたといいます。
村角さん:「原料のロスを少しでも減らせないか」「オペレーションを工夫して効率アップができないか」と課題を見つけ出していく業務は、まるでお宝を発掘するゲームみたいで面白みがありました。1年目で現場を回ったときに「改善の芽」としてメモしていたことを活かした提案が、大きな規模のコスト削減につながったときには、かなりのやりがいを感じましたね。
工場での3年半の経験後、サントリー食品インターナショナルに異動となり、念願の商品開発部門へ。健康素材を探索する原料開発の業務を経て、「サントリー天然水」ブランドの商品開発を担当します。
村角さん:「サントリー天然水」で最初に担当したのが、新商品の開発。しかし、良い結果が出せず、悔しい時期でもありました。今振り返ると、「新しい商品をつくらなきゃ」という思いが先行しすぎて、「おいしさ」の追求を最優先にできていなかった部分があったのかもしれません。この経験からの学びは、今の自分の商品開発の軸になっています。
村角さんは主に商品の中味設計を担当。抽象的な「おいしさ」のイメージを、具体的な味として落とし込む。
村角さん:大切なのは、お客様の気持ちを豊かにする体験を届けること。どういうお客様に、どんなシーンで飲んでもらいたいのか。そこにどういう体験があれば「おいしい」と感じてもらえるのかを、常にいちばんの軸に置きながら考えています。
この気づきは、次に開発を担当した「サントリー天然水 うめソルティ」で実を結びます。2019年の発売以来、そのさっぱりした味わいが大人気となり、今も多くの生活者に愛されている商品です。
村角さん:厚生労働省が熱中症対策飲料として推奨している0.1g〜0.2g/100mlという食塩相当量を満たしながらも、国産南高梅果汁、梅エキス、海塩などで「おいしさ」を考え抜きました。自分でイチから開発を担当し、お客様の生活の一部として貢献できていることを実感した、今も心に残る1本ですね。
現在発売している「サントリー天然水 うめソルティ」は、さらにリニューアルを重ね、鉄分やクエン酸が配合された。その進化の軌跡も、商品開発部門の努力の賜物。
かつての想像を超える経験を積めた「10年3仕事」
その後、トレーニー制度(※)でのスペインへ派遣された村角さん。帰国後は「GREEN DA・KA・RA」のリニューアルに携わったあと、サントリー株式会社のスピリッツ・ワイン商品開発研究部へ異動し、11年目にして初めて酒類の商品開発を担当します。
※トレーニー制度:海外グループ会社で1年間、実地研修(OJT)を受けることができる制度。専門性を磨くとともに、語学力・コミュニケーション力・異文化対応力およびリーダーシップを修得することが目的。
村角さん:サントリーの商品開発は、飲料と酒類で大きく分かれていて、私のようなカテゴリーを超えての異動はそれほど多くはないかもしれません。特に印象的だったのは、「-196」ブランドの無糖シリーズの開発です。
高アルコール市場で人気を博した「−196」のリブランディングは「苦労の連続だった」と村角さん。
村角さん:同じ無糖といっても、飲料と酒類では異なる部分も多いのですが、酒類の無糖でも「おいしさ」は何より重視されます。そこで役立ったのが、飲料チーム時代の無糖飲料開発での経験でした。結果、この無糖シリーズが大ヒットしたことは、大きな手応えになりましたね。
「−196」ブランドの20周年目では、ブランド刷新の中核をなす無糖シリーズの開発を担当。さらにその後は、浸漬素材にレモン果皮のみを使用したレモンスピリッツによる無香料の「THE PEEL」を手がけ、いずれもヒット商品となりました。
2025年3月に行われた「THE PEEL」商品説明会にて、当時の上司と商品パネルを挟んで撮影。
村角さん:これまで工場、原料開発、飲料開発で経験してきた点と点が、一気に線としてつながった瞬間があったんです。生産のいろはを現場で知り、細かな部分からコストダウンや効率化などの課題を探し、成分や味についてロジカルに考え、お客様が潜在的に求める「おいしさ」を追求する。これまでの経験がひとつでも欠けていたら、これらのヒット商品を生み出すことはできなかったと感じています。
サントリーでは「10年3仕事」といって、入社後10年間で3つの異なる仕事を経験しようという方針があります。その中でも、私は特に異動が多かったほうかもしれませんね。すべてが自分の希望通りだったわけではありませんが、そのぶん自分の想像を超えた経験を積むことができました。結果的には「あのときの経験があったから、今の自分がいるんだな」と、プラスに捉えています。
村角さんがこれまで携わった商品の一部。「どの商品も我が子のような愛着があります」
2度のスペイン赴任。言葉と文化の壁を超え、グローバルな舞台へ
今年で入社13年目となる村角さん。グローバルへの挑戦も、キャリア形成における大きな刺激となっています。
村角さん:2020年に一度スペイン赴任をしていますが、当時はコロナ禍でロックダウンを経験するなど、大変でしたね 。さまざまな規制も多いなかで、現地の生産スタッフとのコミュニケーションを工夫しながら、新規原料製造のミッションにチャレンジしました。
言葉も文化も異なるなかで、生産現場での意思疎通のハードルはやはり高く、一方的に「こうしてほしい」と伝えるだけではうまくいかないことも多いんです。そういうときは、あえて現地スタッフの思う通りにやってもらうことで、「一緒に失敗する」という経験を共有することにしました。
その失敗を経て、初めて「こうしてほしい」と伝えた意図を理解・納得してもらうことができ、最終的には自発的に品質管理に協力してくれるようになりました。言葉の壁はありましたが、生産の最前線にいるスタッフの気持ちを理解し汲み取ることができたのは、やはり初期配属での工場勤務の経験も大きいですね。
スペインでの勤務時間は「シエスタ(昼寝)などがあるわけではなく、日本と変わりませんよ(笑)」
現在の2度目のスペイン赴任では、サントリー食品インターナショナルヨーロッパで、欧州マーケット向けの商品開発を担当。「Schweppes(シュウェップス)」や「Oasis(オアシス)」といった、欧州での既存コアブランドの商品開発に携わっています。
村角さん:ほかの部署と深く連携しながら商品を開発する点は日本と大きく変わりませんが、ヨーロッパでの商品開発は、より自分たちの守備範囲がはっきりしているところが大きな違いです。英語力もまだまだなので、1日2〜3時間は語学勉強の時間を確保しています。
仕事のやり方や文化を含めて、まだまだ慣れるのに精一杯ですが、納得できる結果を出したいと頑張っているところです。そして、ヨーロッパだけに限らず、自分の開発した商品が世界中の生活者の方々に喜んでもらえるようになることが目標です。
スペインには妻や子どもと一緒に来ていますが、家族は想像以上にこちらでの生活を楽しんでくれているのでよかったです。私も趣味のランニングで、バルセロナの美しい海や山、街中を走りながらリフレッシュしています。
2026年の年始に、赴任中のスペイン・トルデラの商品開発チームのメンバーとともに撮影。
サントリアンの「熱量」は、部署を超えて伝播する
「サントリーでさまざまなキャリアを経験したことが糧となって、自分の成長を後押ししてくれている」と語る村角さん。サントリーの魅力について、どのように感じているのでしょうか。
村角さん:ユニークな個性やバックグラウンドを持つ社員が多く、いろいろな考え方に触れられることが大きな刺激になっています。「これ、面白そう!」というときの熱量の高さや、その一体感が部署を超えて伝播していく瞬間は、「サントリーで働いていて本当によかった」と思います。
サントリーへの志望理由にもなった「BOSS」との癒しのひとときは、今も変わらず。
村角さん:商品開発の魅力は、自分たちが思いを込めて設計したものをお客様の手元に届けて、笑顔にできることだと思っています。もちろん、根性や泥臭さが求められることも多いです。
そのぶん、いろいろな部署のメンバーと議論しながらひとつのものをつくりあげていく過程の楽しさや、完成したときの喜びは大きいですね。それがやりがいとなり、また次の挑戦をする意欲が湧く。それもやはり、サントリーだからこそだと思っています。
※社員の所属・役職、内容は取材当時のものです。
編集:サントリーホールディングス株式会社 人財戦略部
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海外駐在でウーロン茶「TEA+」の中味開発を担当。ベトナムで働くサントリアン

村角 幸樹Koki Murazumi
サントリー食品インターナショナル株式会社
R&D・商品開発
2013年に新卒で入社後、サントリープロダクツ株式会社 高砂工場で製造現場や改善業務を経験。2016年よりサントリー食品インターナショナル株式会社 商品開発部にて、主に「サントリー天然水」ブランドの商品開発などを担当。2020年にトレーニー制度でのスペイン赴任を経て、帰国後は再び商品開発部で「GREEN DA・KA・RA」、2023年よりサントリー株式会社 スピリッツ・ワイン商品開発研究部にて「-196」「THE PEEL」などを担当。2025年4月より、サントリー食品ヨーロッパにてスペインを拠点に欧州向けの商品開発を担当。