2025.12.01
サントリーのキャリア採用で描く新たな挑戦──技術開発の最前線で広がる専門性と可能性

技術職のキャリア採用で、大手プラントエンジニアリング企業からサントリーに転職した木下瞭さん。業界は違いますが、環境技術や再エネ領域でビジネスリーダーとしてさまざまな事業を担当。さらには、サントリー転職後にMBAで経営を学ぶなど、さらにキャリアの幅を広げています。サントリーへの転職をきっかけに、自分の強みを活かしつつ、まったく新たな領域にもチャレンジし続ける——そんな木下さんのキャリアの変遷について聞いてみました。
異業界からサントリーのキャリア採用へ──専門性を生かした挑戦
大学院修了後、大手エンジニアリング企業で石油プラント建設の回転機エンジニアとしてキャリアをスタートした木下さん。海外メーカーや現地顧客と協働し、製油所や液化ガス設備の設計から試運転までを担ってきました。
木下さん:学生時代にバックパッカーで20カ国以上を旅したこともあり、グローバルで仕事をしたいと考えていました。前職では、2年間のクウェート駐在も経験し、異文化のなかでの調整や交渉の難しさも経験しました。
転職の転機となったのはコロナ禍でした。期待していた海外駐在が白紙になり、ふとこれからのキャリアを考えるようになったとき、グローバルな視点でより大きなインパクトを残したい──。オイル&ガス業界で得た知見を社会に還元できるキャリアを模索するようになりました。
木下さんは製油所や液化天然ガス設備プロジェクトの回転機エンジニアとしてキャリアをスタートした。
そんなときに偶然舞い込んだのが、転職エージェントからのメール。サントリーグループでのリサイクル技術開発に関する求人でした。
木下さん:「なんでサントリーが自分に?」という意外性から、普段は開かないエージェントのメールが気になって読んでみたんです。業務内容を確認してみると、自分のキャリアにぴったりと合致する内容でした。今までの経験を生かしてまったく異なる領域で挑戦できると思い、転職を決めました。
クウェート時代の木下さん。国内から海外の現場の設計に携わりながら、クウェートにも2年間滞在。グローバルなキャリアを歩んできた。
サントリーのキャリア採用で感じた「学び続ける文化」
入社後、木下さんはサントリーのGHG排出量削減に向けた技術・事業開発を担当。サーキュラーエコノミーの実現を目指すコンソーシアム「R Plus Japan」や、飲料業界各社が協働するPPA(電力購入契約)プロジェクトなど、複数の取り組みをリードして進めていきます。
木下さん:「R Plus Japan」は、国内のプラスチックサプライチェーンに関わる48社が参画する業界横断のコンソーシアム。使用済みプラスチックを資源として循環させる技術の開発・商業化を推進します。
私の立場は、技術面を含めプロジェクト全体を運営管理することでした。技術開発をするアメリカのベンチャーなどとの連携はもちろん、プロジェクト進行に関わるさまざまなマネジメントを担いました。
これらのプロジェクトを通じて感じたのは、サントリーでは研究開発の上流から、事業化・導入と下流まで一気通貫で関わることができるということ。研究と事業の橋渡しを担いながら、長いスパンで「この技術を社会でどう使うか」を考えられるのが面白いし、やりがいになっています。
協業先であるアメリカベンチャーのプラント。サントリー入社後も現場に足を運ぶことを欠かさない。
そのような大型プロジェクトを形にしながら実感したのは、サントリーの「やってみなはれ」の本質でした。
木下さん:「やってみなはれ」は単なる掛け声ではありません。プロジェクトを進めるうえでは、リスクをしっかり可視化し、やること・やらないことを明確にすることが求められます。徹底したリスクマネジメントをしているからこそ、失敗を恐れずに進むことができるし、挑戦し続けられるのです。
例えば「R Plus Japan」では、技術開発を推し進めるため、急遽追加資金を拠出する必要がありました。社内説得にあたっては、なぜ追加拠出が必要なのかを、想定リスクとその低減・是正策を交えて説明。リスクマネジメントの方針と対応策をていねいに共有することで理解を得て、最終的にGOサインを獲得し、拠出にいたりました。
この「やってみなはれ」を支える、入念な準備を怠らない姿勢こそが肝であり、のちの技術開発の成功へとつながったのです。
配属先の部署では、同じ業界で活躍していたキャリア採用の同僚も多く、異業種ながら専門性の高い業務が求められている、と木下さん。
一方、担当している飲料業界各社による「PPA」は、飲料業界が共同で再エネ電力を導入することで、業界全体のCO2削減の加速を目指すプロジェクトです。
木下さん:PPAでは、同業界の企業同士が「なぜ合同でプロジェクトを推進するのか」という共通目的をていねいに言語化することが鍵でした。それと同時に、役割分担と次のアクションを明確にすることで、関係者全員が動きやすくなることを心がけるようにしました。最終的に合意できたときは、大きな手応えを感じましたね。
サントリーに入社して、もうひとつ木下さんが驚いたのは、「学び続ける」社風です。サントリーでは3年程度のサイクルで、さまざまな部署に異動しジェネラリストを育成する方針があり、部門や職種を越えた「ビヨンド異動」(※)という仕組みもあります。
※ビヨンド異動:経験していない部門や職種への異動のこと
木下さん:例えば、転職して最初の直属の上司がまさにそうでした。私を含む石油化学業界出身のキャリア採用者2名が加わり、ケミカルリサイクルやバイオ化学品に関するプロジェクトを推進する――サントリーのなかでも異色の専門チームでした。
そんななか、上司は新卒からずっとサントリーでのキャリアで、当然ながら、石油化学に関するバックグラウンドがなかったんです。技術的な専門用語が飛び交っていても、その上司は知識ゼロから猛勉強して、我々と対等に会話できるまでになったことには驚かされました。
「これをやる」となったら、とことん学び続ける──。そんなマインドは、サントリー社員に共通しています。
サントリーではそれまでのキャリアと異なる領域に異動することもあり、当然、新しく異動した先では、ゼロから学ばなくてはなりません。しかし、それが自分の将来のキャリアの幅を広げてくれるというのがわかっているから、みんな、学びに対して意欲的になれるでしょうね。
サントリーではキャリア採用も平等にチャンスがある
サントリーでは定期的にキャリア面談があり、自分の将来の希望やキャリアについて率直に語ることができます。木下さんは、このキャリア面談をきっかけに2024年から会社の補助を受けMBAに挑戦。業務のかたわら専門的に経営を学んでいます。
木下さん:一番驚いたのは、キャリア採用の私でも会社の補助を受けMBAに挑戦できるということ。仕事でプロパーとキャリア採用の差を感じることはありませんでしたが、入社すれば全員が平等にチャンスを与えられるというのが徹底されていることを改めて実感しました。
これまではずっとエンジニアとしてのキャリアを描いていましたが、サントリーでは上長と中長期的なキャリアに向き合う機会(キャリア面談)があり、さらにエンジニアとして成長するためにも他部署に異動することで知見を拡げるという道も提示してくれます。
それぞれのキャリアに向き合い、成長や可能性への挑戦を積極的に応援してくれるのは、サントリーらしい文化だと感じます。だからこそ、自分自身で次に何をしたいのかをしっかり考えておく必要があると痛感しました。
2025年9月からはサントリーで新たなキャリアを築くために異動。初期配属の部署メンバーとの絆は深い。
木下さん:正直に言うと、担当プロジェクトが一段落したあとのキャリアをあまりしっかり考えていなかったんです(苦笑)。
キャリア面談で将来について話していくなかで、今後に向けたひとつの道として選択したのがMBA取得でした。技術畑出身の私にとって、経営を学ぶ機会を得られたことは、とても大きかったですね。実際に学んでみると「経営って、こんなに面白いんだ」と、どんどん興味がわいています。
木下さんは、2025年9月に技術戦略推進本部へ異動。現在はお酒の製造プロセスの技術面を担当しています。さらに新たなキャリアを歩み始めた木下さんに今後の目標と、サントリーの技術職でのキャリア採用で必要とされることを聞いてみました。
木下さん:経営を学んだことで、将来的には、エンジニア出身という自分の強みを活かしつつ、グローバルを軸に経営と現場をつなぐマネジメント寄りの仕事をやってみたいですね。
そうやってキャリアパスの幅が大きく広がったのも、職種や専門性に縛られず、さまざまな領域に挑戦できるサントリーだからこそ実現できたと感じています。サントリーは事業領域の幅もかなり広いので、やりたいと思うことがあれば、チャレンジする場は必ず見つかります。
だからこそ、エンジニアも専門領域に留まらない、新しい自分の可能性を追求する姿勢が大切になってきます。転職でもっと自分の活躍できるフィールドを広げたい──。そんな挑戦意欲のある人にぜひ仲間になってほしいですね。
サントリーへの転職がきっかけで自身の新しいキャリアを考え、挑戦する姿勢を再認識できた、と木下さん。
※社員の所属・役職、内容は取材当時のものです。
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木下 瞭Ryo Kinoshita
サントリーホールディングス株式会社
サステナビリティ経営推進本部 環境課題 技術ソリューショングループ
2016年に大手エンジニアリング会社入社。回転機エンジニアとして製油所・LNG案件やクウェート駐在を経験する。2022年にサントリーホールディングス株式会社に入社。サステナビリティ経営推進本部でプラスチックのケミカルリサイクル技術開発プロジェクト「R Plus Japan」や業界横断再エネ導入プロジェクトを担当。2024年からは社費でMBAプログラムに在籍、2025年9月に技術戦略推進本部へ異動。