2025.11.10
海外駐在はチャンスの宝庫! サントリー社員がタイで感じた成長の証

さまざまなフィールドで活躍するサントリーの社員=サントリアンにスポットライトを当て、「挑戦」をテーマにインタビューしていく特集企画。第17回目は、海外駐在のトレーニー制度でタイ・バンコクのSuntory Beverage & Food Health Enrichmentで経験を積んでいる小椋光平さんにお話を伺いました。
タイから見える、サントリーのグローバルな挑戦
グローバルに活躍する人材の育成を目的とした「トレーニー制度」では、海外に拠点を置くサントリーのグループ会社で、1年間の実地研修(OJT)を受けることができます。この制度を活用して、2025年4月からタイのバンコクで海外駐在経験を積んでいるのが、グローバル人財戦略部の小椋光平さんです。
小椋さん:現在、タイにおける健康食品分野での社会貢献を担うSuntory Beverage & Food Health Enrichmentという会社で、「Commercial Excellence(コマーシャル・エクセレンス)」という部署に所属しています。
マーケティングと営業の間に立ち、ブランド育成の戦略を立てたり、市場データを分析して企業戦略に貢献していくことが使命です。日本でいうと、営業推進や経営戦略企画を合わせたような部門にあたります。
小椋さんは、2015年に新卒でサントリー食品インターナショナル株式会社に入社。営業部門からキャリアをスタート。
小椋さん:そのなかで、私は「Category Management(カテゴリー・マネジメント)」というグループに属しています。業務内容は、市場分析から企業課題の深掘り、そこからの未来予測を得意先提案の戦略に落とし込んでいくことです。
トレーニー制度は原則1年間で、研修生のような立場でもあるため、最初から明確な担当業務があるわけではありません。日本からの駐在員はもちろん、タイ人の現地社員もいるなかで、自分から仕事を探して立ち位置を築いていくのは容易ではありませんでしたが、その過程こそが挑戦の醍醐味でした。
駐在先では、現地のやり方に馴染むことはもちろん、日本からの駐在員としてサントリーの企業理念を現地のメンバーにどう落とし込んでいくかというところも求められるそうです。
小椋さん:私がいる部署は、まだ立ち上がって数年の新しい組織。だからこそ、現地社員の皆さんにサントリーの企業理念や、社員の考動規範である「サントリーグループWay」を伝えていく重要な役割も担っています。
サントリー食品インターナショナルには、「Always Together with Seikatsusha(生活者と、ともに)」という理念があります。
なぜ「消費者」や「consumer」ではなく、あえて日本語の「Seikatsusha(生活者)」という言葉を用いているのかーーそういった細かな部分を含めて、サントリーらしさを現地スタッフと共有することは、グローバルで働くうえではとても重要です。
バンコクにあるサントリーグループ直営の居酒屋「TOKYO HIGHBALL」で、タイの同僚たちと親交を深めた。
小椋さん:一方で、「Yatte Minahare(やってみなはれ)」は、ほとんどの現地社員が理解していてそのまま通じるくらいに浸透しています。
徹底した現場主義を伝えるなかでは、「Gemba(現場)」という言葉もそのままインストールされています。タイ人の方が「Gembaに行ってきます」と日常的に使っているほどで、そういう企業文化や理念が伝播していくところは、とても興味深いですね。
国内の営業からマーケティング、そして活躍の場を海外へ
小椋さんのキャリアは、サントリーフーズ株式会社 中国・四国支社での量販営業(※)からスタートしました。中国5県から福岡にかけての幅広いエリアを担当するなかで、営業としてのノウハウを学んだと言います。
小椋さん:初期配属は地方営業で、ドラッグストアを中心に担当していました。とくに印象に残っているのは、2018年に起きた西日本豪雨災害です。商品が店頭からなくなってしまい、物流も止まる状況でしたが、「1ケースでも多く届けなければ」と必死に奔走したことを覚えています。
そのときの経験から、飲料は単においしさや楽しさを提供するだけでなく、人々の生活を支えるインフラでもあるのだと痛感しました。
※量販営業:スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどの量販店を担当する営業のこと。
量販営業を4年間担当したあとは営業推進部に配属。MDプランナーとして3年間、首都圏のスーパーなどを担当。
2019年からは首都圏支社に異動となり、MDプランナー(※)として営業推進を担当。データ分析や商談資料作成を通じて、営業担当と一緒に戦略を立てていきます。
小椋さん:担当エリアが地方から首都圏に変わり、業態もドラッグストアからスーパーおよびディスカウントストアへと広がりました。そのなかで、データをどう扱い、どう分析するのかといったスキルを身につけられたのは、すごく大きな経験でした。
コロナ禍で営業が得意先に行けなくなったときは、今こそ動くべきだと思い立ち、チームで「コロナ・ナレッジボックス」を立ち上げました。
商品需要やお客様の購買行動の変化を分析し、社内で共有していく取り組みです。先輩方の力を借りながら、この「コロナ・ナレッジボックス」の取り組みが全国のグループ会社に広がっていったときには、チームで成果を作り上げる喜びを感じましたね。
※MDプランナー:マーチャンダイズ・プランナー。営業と伴走し得意先の各種データ分析から新規提案まで担当。
MDプランナーを3年務めたあと、「サントリー天然水スパークリング」などのブランドマネージャーを担当。写真は「サントリー 天然水の森」で水源視察に参加した様子。
タイでの挑戦が映し出す、グローバル人材への道
大学時代には語学を学び、短期留学を経験した小椋さん。入社時から漠然とあったという、海外への思いが実を結ぶときが訪れます。
小椋さん:コロナ禍になる前から「次は海外に行きたい」と思っていました。MDプランナー、ブランドマネージャーなどのマーケティングの業務に邁進しながらも、上司に希望を伝え続けた結果、2024年4月から若手人材を育成する社内の研修プログラムに参加することができました。
社内研修のプログラムとしてインド研修に参加。
小椋さん:参加した研修では、リーダーシップや英語学習などを含む実務、インド研修などを通してグローバルで活躍するための素養の基礎を学びました。
通常業務と並行した9ヶ月間の研修後、発展の真っ只中にあるダイナミックな市場を経験したいと、駐在先は東南アジアを希望していたところ、2025年4月からトレーニーとしてタイ・バンコクへの出向が決まりました。
タイへの駐在を通じて、「日本やサントリーで働くことについて、客観的に捉える機会が増えた」と小椋さん。外に出たからこそ、気づけたことが多いと言います。
小椋さん:タイに来てみると、思っていた以上に市場の成長速度が緩やかで、高齢化社会に向かっている状況は日本と変わりません。そういう意味では日本でしのぎを削ってきたサントリーの経験が生かせる舞台でもあります。
近年、タイでは細長いスティックゼリーや、燕の巣ドリンクといった新しいフォーマットの健康食品商品が伸びていることからも、引き続き国民の健康意識が高まっていることが分かります。
バンコクのオフィスでは、タイの同僚たちから誕生日サプライズも。
小椋さん:また、会社内に誕生日の人がいると、大きなケーキとともにバースデーソングを歌って祝う文化があることも、カルチャーショックのひとつでした。7月に誕生日を迎えたのですが、少し恥ずかしくなるぐらい盛大に祝ってくれて(笑)、そういう彼らの明るいところが大好きです。
こういった違いを感じるなかで、サントリーや日本について客観的な視点で捉えられるようになりました。海外に出たことで、日本にいたときよりも高い視座に立って物事を考えられるようになったことは、自分が成長できている証だなと感じます。
理想のキャリア実現に向け、着実に歩みを進めている小椋さん。夢の実現のためには「想いを言葉にすること」が大事だと語ります。
小椋さん:トレーニー制度は、入社3〜4年目で選ばれる人もいれば、私のように10年以上国内でキャリアを積んでから挑戦するということもあります。大切なのは、やりたいことを言葉にすること。「海外に行きたい」「マーケティングをしたい」、そうした想いを声に出せば、サポートしてくれる人が必ず現れます。
強い動機や確固たる理由がなくても、声に出すことで周囲から「なぜ?」と聞かれ、そのやりとりを通して自分の考えが深まっていきます。私自身、漠然とした思いでも口にし続けた結果、海外に挑戦するチャンスを掴むことができました。
タイの旧正月を祝う祭り「ソンクラーン」に、同僚たちと参加。
小椋さん:プライベートでは英語を勉強し、現地の同僚と飲みに行ったり、ムエタイに挑戦したりもしています。せっかくのチャンスなので、今しかできないことをしっかりと吸収していきたいですね。
今後の目標としては、まずは正式なタイ駐在を目指し、その後は複数の国でグローバルビジネスの経験を積んでいきたいと考えています。そしてゆくゆくは日本に戻って、自分が学んだことを活かしながら、お客様や社会に貢献できるサントリアンになりたいと思います。
※社員の所属・役職、内容は取材当時のものです。
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小椋光平Kohei Ogura
Suntory Beverage & Food Health Enrichment
Commercial Excellence
2015年、 新卒でサントリー食品インターナショナル株式会社に入社。サントリーフーズ株式会社中国・四国支社に配属後、主に飲料の量販営業に従事。2019年4月よりサントリーフーズ株式会社首都圏支社に異動、営業推進部でMDプランナーとしてスーパーマーケット等を担当。2022年4月より、サントリー食品インターナショナル株式会社 ブランドマーケティング本部に配属。2025年4月よりサントリーホールディングス株式会社のグローバル人材戦略部に異動し、タイのSuntory Beverage & Food Health Enrichmentにトレーニーとして駐在。