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「はじめてのお酒エピソード」入選作品が決定!「はじめてのお酒エピソード」入選作品が決定!

「はじめてのお酒エピソード」入選作品が決定!

2023.2.28

ジョー
この前、はじめて会った人がいたんだけどね。
コウ
知らない者同士?
ジョー
そう。で、とりあえず自己紹介して。
しばらく当たり障りのない話をして。
コウ
そうなるよね。
ジョー
出身地教えあった後くらいにさ、
その人、初恋の話しだしたんだよね。
コウ
えっ、初対面なのに?
ジョー
しかも、結構な大失恋エピソード。
なんかさ、親近感わいちゃった。
ケン
ん?ジョーも初恋が大失恋だったの?
ジョー
…。

今年も審査は激むず!入選作品をご紹介させていただきます!

先月、メルマガ読者の皆さまを対象に“はじめてのお酒エピソード” を募集させていただきました。2度目となる今年もたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました!今回も本当に素敵なエピソードばかり! !ひとつひとつじっくり拝見させていただき、事務局の皆で最後まで悩み抜いて、入選作品を決定いたしました。

お酒との出会いが生んだ大切なエピソード、ぜひ皆さまもお楽しみください!

今年も審査は激むず!入選作品をご紹介させていただきます!


くみさん

初めてのお酒は20歳になった日の夜だった。
友達からお祝いしようと誘いがあったがこの日は家族と過ごしたくてずらしてもらった。大人になったというのを象徴するお酒デビューは家族の前ではなんだか恥ずかしかった。そんな時飲んだのが白州ウイスキー。緑が好きだったこともあり、父がひっそりと買ってくれていた。

正直初めてのお酒はビールが良かったが見た目が好きで嬉しくなった。ハイボールにして飲んでみると森林の香りがふわっと香ったが父が少しウイスキーを入れ過ぎていてデビューの私からしたら少しふらっとしてしまった。その後も飲み続け、いつも言えないような感謝の気持ちや仕事の話をすることができた。その日から自分も酒好きになり、小さい頃「お父さん酒臭い~」と嫌がっていたが今では酒臭いというのがわからなくなってしまったほど。

今でも大切な日には白州をハイボールにして飲んであの頃の気持ちを思い出している。なかなか実家に帰れていないが30歳の誕生日には茶色のダウンコート、茶色のバッグ、茶色のスマホケースを使っている父親に山崎をプレゼントするのが目標だ。


Nishimurさん

僕が初めて飲んだ酒は、ワインだった。付け加えるともう一つ「初」があって彼女との初めてのデートだった。着慣れないジャケットを着て予約していたワインバーに行き、空席待ちをしている他の客たちを横目で見ながら店内へと彼女をエスコートしたのだ。

「予約していてくれたのね、ありがとう。」

何とも言えない優越感に浸りながら、内心ガッツポーズを決めていた。料理は予めコースを予約していたので、後はドリンクだけ。僕は、彼女がワイン、それも白ワインが好きだということを知っていたので、迷うことなく「登美の丘ワインをボトルでお願いします。」とソムリエに伝えた。

程なくしてよく冷やされた登美の丘が運ばれ、ソムリエが流れるような所作でコルクを抜き、グラスに少し注いだ。と、ここで時が突然止まった。ソムリエはボトルを空中に抱えたまま動かない。えっ?どうしたんだろうと目を瞬かせる僕に向かって、彼女がワイングラスを掌を上に向けながらニッコリ微笑み、何かを勧めるような仕草をしてきた。

「テイスティングをお願いするわ。」

この彼女の一言で時が再び動き出したが、それは破滅への始まりでもあった。僕は顔を真っ赤にしながら注がれた登美の丘を一気に飲んでしまったのだ。唖然としながら、見つめ合う彼女とソムリエ…。その後のことはよく覚えていない。ただ、人生最初の酒は涙と同じ味だったことをチクリとする痛みと共に今でも覚えている。


マンボウさん

小学生の頃、夏休みに1泊2日で家族旅行に出掛けた。夜の列車の中、何処からか良い匂いと、少し刺激の有る匂いがした。その方向を見ると、おじさんが海苔巻きあられとピーナッツをパリポリ言わせながら、ウィスキーを飲んでいた。自分も何時か、あんな美味しそうな大人の旅行がしたいと思った。

時は流れて就職。寮に入ったのだが或る夜、大酒飲みと噂の先輩に、ウィスキーを飲ませてあげるから来なさいと誘われた。入室するとバーか?と思える程の洋酒群とギター。「お前はこれな」と言って出されたのは角瓶。つまみは海苔巻きあられとピーナッツ。先輩曰く、平社員は角、係長はオールド、課長はリザーブ、部長はローヤル、と昇進するにつれて高級になるのだと。

「先輩はローヤルじゃないですか!」「俺はデザイナーだから関係無いんだ」

初めての液体は舌をジリジリと焦がし、グラスが進む程に複雑な味との相性の良さが分かった。CM曲をギターで奏でてくれた所為も有ったのだろうが。
今、私達はあの列車のおじさんの匂いなんだろう!先輩はその数年後に退職し、消息が知れた事は全く無い。しかし「夜がくる」をたまに聴くと、あの先輩の髭面を鮮明に思い出すのだ。


takuman9さん

はじめての本当のビールは約20年ほど前、大学2回生になり誕生日も迎え、堂々とお酒を飲める年齢になり、折角なら最高の味が飲んでみたいと長岡京にあるサントリービール工場に向かった。その年の夏に仲良くなった他の大学生の友達と一緒に。

工場では麦芽を食べたりホップの香りを嗅いだり、仕込み窯や貯蔵タンクを見せてもらい、パッケージングの機械の早さに目を見開いたのが今も記憶に新しい。当時の商品は「モルツ」で麦芽とホップと天然水だけのビールにこだわっていることを知った。

見学が終わったところでお待ちかねの試飲時間。こだわりを知ったからなのか、工場出来たてだからなのか、注ぎ手が優秀なのかわからないが、ビールを初めて美味しいと感じた瞬間だった。「これが本当のビールか」と一緒に行った友達もとても喜んでいた。お互い最高のビールを初めて飲んだことで、今まで以上の仲を築くことができ良い飲み友となった。

さて、今ほど工場見学がメジャーではなかった時代、遊びに誘う先として工場というのは今思ってもセンスがないと思っている。そんな誘いを快諾してくれた友達は、彼女となり、妻となり、今は二児の母として私と家庭を築きました。もちろん今日の晩酌はサントリープレミアムモルツ。


AKIさん

わたしのお酒の記憶・・・伯父とは遠方に住んでいたため、夏休みやお正月、年に数回しか、会えませんでした。家に入るやいなや、漂う薫りで再会の喜びとすこし気恥ずかしさを感じます。薫りの正体は電熱器で炙った、するめと湯豆腐。そして掘りごたつ上には角瓶。季節を問わず、おなじみのスタイルです。変わらぬ日常に思わず顔がほころびます。当時は子供ながらに「飲みすぎ!」と騒いでいたけれど、1日の終わりは薫りと共に沁みわたるひとときが至福だったんだなぁと今ようやく理解できます。

昨年、その伯父は他界しました。わたしが知る限り、数十年に渡り、ほかには目もくれず、角瓶一筋でした。ロックで緩やかなひとときを噛みしめるように・・・ボトルのデザインが変わらないのもいいですね。月命日には相棒のミニボトルをお供え。開封すると鼻から抜ける薫りで記憶が甦ります。

わたしにとってはじめてのお酒。それは亡き伯父のとの思い出と共に角瓶ロックに口をつけたときです。重さはあるものの、スッキリとした爽快さを感じます。長年お供にしていた味を共有する時間。思わずこみ上げることもありますが、遠方でなかなか会えなかったのが、いまでは月1、想いを噛みしめる大切な時間となっています


たぬきの置物さん

中学生の頃、酒に弱い父が出張先のイギリスでスコッチを買ってきました。父自身のご褒美と思いましたが、冷暗所に置いたままなかなか飲みません。何度か「飲まないの?」と聞いたのですが笑ってばかりで置いたまま。そのまま忘れて数年、私の20歳誕生日の夜、父に呼ばれたテーブルの上にはあのスコッチが。この日に飲むと決めて購入したそうです。ロックで飲んだスコッチは少し甘く、良い香りがしました。


どうするヒロ丸!さん

新宿2丁目。僕はそこでお酒を味わった。何をどうやって頼んでいいのか、何があるのか、さっぱりの20歳。連れてってくれた君は「まずは、カシスオレンジでいいのでは?」それが、僕のお酒の第一歩。ゲイバー初体験!同性愛者として、誇らしげに乾杯したのを覚えている。

今でこそ、性の多様性が認められている社会だから、堂々と呑みに行ける場所だけど、昔はカシスオレンジとその空間を求めに顔を隠しながら新宿駅を降りたものだ。甘いお酒に妖しく時に自分が曝け出せる場所。それを少し思い出しては、寂しい。けれど、時代は瞬く間に変わる。堂々とあちこちの居酒屋等で、色んなお酒に出逢い、人の目なんて気にせず、呑める幸せ。その一杯一杯にサントリーのお酒もあっただろう。

今日は、久々にカシスオレンジを呑みたい気分だ。


ユキさんさん

お酒の入ったグラスを父と初めて交わしてから32年。今私は、お酒の入ったグラスを息子と交わし、父との初めての時よりも何か厳粛に感じた。箱入り息子だった息子が、アメリカに旅立つ。次に交わすときは、いつなのか、無事に帰って来れるのだろうか、結婚して孫を連れてくるのだろうか、想いに馳せる一瞬でもあった。


オウンゴールさん
「俺の下宿で二十歳の誕生日祝いをしようや」と、親友が私を誘った。私たちの通う大学は神戸にあり、大阪市内に住む私は自宅から通えたが、彦根出身の彼は下宿住まいだったのだ。襖を隔てて隣にも別の下宿人が暮らす安下宿で、大声は上げられなかった。

自販機でビール缶を何本か買い、酒のあては下宿近くの肉屋のコロッケだ。1個10円。今では信じられない値段だが、揚げたてが美味しいという彼の勧めに従った。男二人の誕生日祝いに飲んだビール。それが、私の人生最初の酒だ。缶ビール2本ですっかり酔った私はその夜、彼の下宿で泊まった。懐かしい思い出だ。

もうすぐ古希を迎える今、彼との交流は年賀状だけになってしまった。そして、あの下宿はもう跡形もない。阪神・淡路大震災で倒壊してしまったのだ。今年も震災の日が訪れた。あの震災の朝も、下宿で若者が眠りをむさぼっていたのだろうか。そんなことを思うと、胸が痛む。


かものはしさん

大学生時代、下宿で仲間とスキヤキパーティーをしたけれど 肉は少しで白菜4個。アッという間に肉がなくなって アトは白菜だけで朝まで飲み明かした思い出、いまだに集まると この話で盛り上がります。貧乏学生でしたが楽しい思い出です。

いかがでしたか?めちゃくちゃ素敵じゃないですか?ですよね!
事務局一同も、ホロリと来たり笑顔をいただいたりしながら、本当に楽しませていただきました。入選作品以外も、大切な想い出だということが伝わる素敵な作品ばかりでした。

本当にありがとうございました!

ファクトリップでは、工場見学やイベントの情報発信以外にも、読者の皆さまと繋がれる企画やものづくりの現場を感じていただける記事をお届けしてまいります。
これからも皆さまの人生の大切なひと時に寄り添えることができたら幸いです!

今回のファクトリップ

人生の大切な想い出にもなるお酒っていいもんですね