サントリーウイスキー蒸溜所便り

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山崎蒸溜所便り

【山崎蒸溜所】ブレンダーに訊く、「碧Ao」誕生と進化の物語

2026年10月16日

こんにちは、水野めぐみです。
今年7月に世界5大ウイスキーについてご紹介し、5大ウイスキーには、それぞれの土地で育まれた歴史と個性があることをお伝えしました。

5大ウイスキーには、それぞれ異なる魅力がありますが、それらを組み合わせることで、新たな味わいが生まれます。世界5大ウイスキーをブレンドしたSUNTORY WHISKY「碧Ao」は、そうした発想から生まれた一本です。今回は、「碧Ao」が誕生するまでの試行錯誤やブレンドに込めた想い、さらにリニューアルによって進化した味わいについて、ブレンドの責任者として携わった輿石太主席ブレンダーにお話を伺いました。

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真剣な眼差しで香りを確かめる輿石ブレンダー


水野:「まずは、『碧Ao』の開発コンセプトについて教えてください。」
輿石:「2014年にビームサントリーが誕生し、世界5大ウイスキーの産地に蒸溜所を持つようになったことをきっかけに、『世界5大ウイスキーの原酒を使った商品をつくれないか』という発想から開発が始まりました。まず、各蒸溜所に『碧Aoのために原酒を使わせてください』と協力を依頼しました。原料部などの関係部署とチームを組み、各地から原酒を集め、それを私たちブレンダーがブレンドしました。週に1回は会議を開き、試作したブレンドをみんなでテイスティングして、方向性を確認する。その繰り返しでした。開発を進めるにつれて、プロジェクトの規模もだんだん大きくなっていきました。」
水野:「各国から原酒を集めてくるだけでも、かなり大変そうですね。」
輿石:「それぞれの蒸溜所にはウイスキーの販売計画がありますから、そのなかで『碧Ao』のための原酒を確保しなければなりません。原酒を集めるところから、とても力の入った開発でした。」

各国から集められた原酒をどう一つの味わいに仕上げるか。それが次の課題でした。

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"調和"ではなく、それぞれの個性を"重ねる"


水野:「それだけ個性の異なる原酒を、一つの味わいにするのは想像がつきません。」
輿石:「例えば、『響』も『碧Ao』と同じブレンデッドウイスキーですが、『響』は目指す味わいの方向性が明確です。一方で『碧Ao』は、そのゴール自体をつくるところから始めなければなりませんでした。最初は本当に分からなかったので、とにかく原酒をブレンドしてみるところからです。カナディアンを生かすのか、アメリカンを生かすのか。いろいろ試しながら議論を重ねていきました。そのなかでたどり着いたのが、『それぞれの原酒の個性を大切にしよう』という考え方です。一つに溶け合わせるというより、それぞれの個性が"重なり合っている"ようなイメージですね。サントリーのブレンデッドウイスキーは、調和、つまりハーモニーをとても大切にしています。その一方で『碧Ao』は、一つひとつの原酒の個性も感じられるようにしたかった。"調和"と"個性を重ねること"の両方を目指した、新しい発想のブレンデッドウイスキーです。」
水野:「だからこそ、飲み方や割り方によって、それぞれの国の原酒の個性が見えてくるのですね。」
輿石:「研究開発の段階から、飲む人によって感想が大きく異なりました。そのため、目指す味わいのゴールを決めるのが非常に難しかったです。ただ、あるとき「人によって感じ方が違うのであれば、その人が感じたことがすべて正解なのではないか。そしてそれこそが『碧Ao』の魅力なんじゃないか」と気づきました。『碧Ao』は原酒の個性が重なることで、いろいろな感じ方ができる。そこを愉しんでいただけるウイスキーだと思っています。」


海を越えて集まった個性豊かな原酒たち。多彩な香りや味わいが重なり合い、「碧Ao」ならではの味わいがつくられました。「碧Ao」という名前が決まったのは、開発が進んでからのことだったそうです。

水野:「『碧Ao』という名前は、どのように生まれたのでしょうか?」
輿石:「実はこの『碧Ao』というネーミングは、開発が進んでしばらく経ってから決まったんです。海外から海を渡って原酒がやってきて、最後は日本のブレンダーが仕上げる。そこから、世界をつなぐ海の色である『碧Ao』という名前になりました。ボトルの文字は、『響』なども手掛けてくださっている荻野丹雪氏によるものです。当初は漢字で大きく『碧』と書く案もありましたが、海外の原酒を使うウイスキーでもあることから、英語表記の『Ao』になりました。」

日々のテストブレンドによって品質を高めてきた「碧Ao」。世界各地の原酒が織りなす複雑で奥行きのある味わいは、新たな原酒の採用によってさらに進化しました。

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リニューアルへの想いを語る輿石ブレンダー


水野:「今回のリニューアルで、『碧Ao』はどのように進化したのでしょうか。」
輿石:「リニューアルにあたり、新たにスパニッシュオーク樽で30年以上熟成させた超長期熟成の山崎モルト原酒や、8年以上熟成させたバーボン原酒を使用しました。私たちブレンダーの日常業務には、試作を行うテストブレンドというものがあるのですが、今回新しく使った二つの原酒は、そのなかで以前から"『碧Ao』にブレンドしたら絶対においしくなる"と気になっていた原酒でした。まずはテストとしてブレンドしてみたのですが、それがとても良かったんです。さらに、一部では樽での後熟も始めました。後熟とは、原酒を混合した後にしばらく寝かせることで、これにより、原酒同士にとても良いなじみが生まれます。使える原酒の幅が広がったことに加えて、"『碧Ao』をもっとおいしくしていきたい"という想いもあり、今回のリニューアルにつながりました。お客様からもリニューアル後の味わいについてうれしい声をいただいていて、それはブレンダーとしてとてもうれしいですね。」

「碧Ao」は、世界の5大ウイスキー産地の原酒が、それぞれ異なる役割を担っています。ここからは輿石ブレンダーに、各原酒が「碧Ao」の味わいをどのようにつくっているのか、詳しく解説してもらいました。

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さまざまな味わいを見せる「碧Ao」


水野:「それぞれのウイスキーは、『碧Ao』の中でどのような役割を果たしているのでしょうか。」
輿石:「ジャパニーズウイスキーでは、30年以上熟成した山崎のスパニッシュオーク樽原酒と、白州のスモーキー原酒などを使っています。スモーキー原酒は個性が強いイメージがあると思いますが、実はほかの原酒をきれいにまとめてくれます。そこにスパニッシュオーク樽原酒を少し加えることで、トップの印象がとても柔らかくなります。スコッチには、アードモア蒸溜所とグレンギリー蒸溜所の原酒を使っています。強烈なスモーキーさではなく、やさしくバランスの良いスモーキーさを生み出してくれます。アイリッシュはクーリー蒸溜所の原酒です。配合量は多くありませんが、味わいに複雑さを与えながら、トップの香りからバーボン、そしてスコッチの香りへとつないでくれる役割があります。アメリカンのバーボン原酒は、リニューアル後は8年以上熟成させたジムビーム クレアモント蒸溜所の原酒を使用しています。より華やかな香りを引き立ててくれます。そしてカナディアンはアルバータ蒸溜所の原酒です。グレーンウイスキーですので、全体をとても飲みやすくしてくれるんです。」
水野:「もともと持っている個性を生かしながらも、飲みやすい味わいになっているのですね。」
輿石:「『響』や『角瓶』、『山崎』などは原酒を見ると、だいたいこのぐらいのブレンドだったらこの味わいに仕上げられると分かるんです。でも、『碧Ao』は全然違いました。特に限定品で発売した、『碧Ao〈IRISH EDITION〉』は、どうやってアイリッシュウイスキーを効かせようかすごく悩みました。最初はアイリッシュウイスキーを多めに入れるところから始めて、だんだん感覚が掴めてきました。軽やかな口当たりで、甘くフルーティーな味わいです。」

それぞれの個性が重なり合うことで、多彩な表情を見せる「碧Ao」。最後に、輿石ブレンダーにおすすめの飲み方を伺いました。

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輿石ブレンダーのおすすめ飲み方は「碧Ao」のロック


水野:「輿石ブレンダーご自身は、『碧Ao』をどのように飲むのがお好きですか。」
輿石:「私はロックが好きですね。グラスの中で氷がだんだん溶けていくにつれて、香りや味わいの印象が少しずつ変わっていくのが、『碧Ao』の魅力だと思います。」

ここまで『碧Ao』のブレンドについて熱い想いを語ってくださった輿石ブレンダー。最後に読者の皆さまへのメッセージを伺いました。

水野:「最後に、読者の皆さまにはどのように『碧Ao』を愉しんでほしいですか?」
輿石:「『碧Ao』は、人によって香りや味わいの感じ方が違います。ソーダ割りがおいしいという方もいれば、ロックがおいしいという方もいる。皆さんそれぞれに、ウイスキーの愉しみ方や自分なりのスタイルがあると思います。『碧Ao』は、そんな自分のスタイルに合わせて自由に愉しめるウイスキーです。私たちもこれから自由な発想でブレンドを続けていきますので、ぜひ今後の『碧Ao』にも期待してください。」

今回は、輿石ブレンダーに「碧Ao」についてのお話を伺いました。お話を通して、ブレンダーの仕事の奥深さと、ウイスキーの魅力をあらためて感じることができました。
また、『碧Ao』には多種多様な原酒がブレンドされていることを本日お伝えしましたが、山崎蒸溜所ではさまざまな大きさ・個性を持った樽を使い分け、多種多様な原酒づくりを行っています。山崎蒸溜所ツアーでは、ウイスキーづくりの現場をご覧いただけます。ぜひ、山崎蒸溜所にお越しいただき、蒸溜所のウイスキーづくりの魅力をご体感ください。



【お知らせ】山崎蒸溜所のご来場には事前予約が必要です。詳細につきましては、山崎蒸溜所のサイトをご確認いただき、ご予約のうえご来場ください。

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