水は人々の生命(いのち)や生活を支える上で大切な資源です。そのためサントリーでは水の健全な循環に貢献するために、さまざまな取り組みを進めています。
水はグループにとって
もっとも重要な原料であり、
かつ、貴重な共有資源です。
「水のサステナビリティの実現」に向けて、
次の理念をグループ全体で共有し、
ステークホルダーの期待に応えていきます。
水循環を知る
使用する水の循環について科学的アプローチに従って流域を調べ、理解を深めます。
水源を守る
サステナブルな未来を実現していくため、ステークホルダーと協力しながら使用する水の水源保全に努めます。
大切に使う
水の3R(Reduce/Reuse/Recycle)活動を通じて節水に努め、浄化した水は自然に還し、環境インパクトを軽減します。
地域社会と共に取組む
社会が豊かになるように、水課題の解決への貢献を通じて地域コミュニティを支援します。
サントリーグループの工場では、
商品の原料としてだけでなく、
製造設備の洗浄や冷却用に
多くの水を使用します。
限りある水資源を大切にするため、
できる限り使う水を少なくする(Reduce)、
繰り返し使う(Reuse)、
処理をして再生利用する(Recycle)、
という「水の3R」を徹底しています。
使う水を少なく
繰り返し使う
再生利用する
水使用量の削減に継続的に取り組んでいます。今後もさらなる挑戦を続けていきます。
2010年4月に完成した天然水南アルプス白州工場では、水のカスケード(多段階)利用といった非常に高度な循環再利用により、限りある水資源を最大限有効に活用し、製品1kℓを製造するために使う水の量の少なさで業界トップレベルを達成しています。
製造工程で使用する水(地下水、河川・湖の水、雨水、上水、外部から供給されている水(再生水))を冷却水や洗浄水など5つのグレード(清浄度)に分類し、高いグレードが要求される用途から次のグレードでまかなえる用途へ段階的に再利用を図る技術です。
工場で使用した水は、清流の水質レベルまで無害化を行い、環境に影響のない水質であることを確かめた上で放流しています。雨水を含めたすべての放流水は24時間自動監視されており、万が一異常を感知した場合には、緊急遮断弁が自動的に閉まり、放流をストップするシステムになっています。
サントリー九州熊本工場が、工場周辺流域の持続可能な水利用に関する「Alliance for Water Stewardship(以下AWS)」認証において、最高位である「Platinum」を取得しました。
なおサントリーグループでは、2018年にサントリー天然水 奥大山ブナの森工場が日本で初めてAWS認証を取得。2022年にはサントリー天然水 南アルプス白州工場が同認証を取得しております。今回はこれらの認証よりさらにレベルの高い、最高位での認証となります。
サントリーグループの水のサステナビリティの活動に共感したAWSより、日本における水管理の啓発やネットワーク構築などリーダーシップを担う企業への就任の要望があり、2021年にはAWSアジア・パシフィックと、2023年にはAWS国際事務局と連携協定を締結しました。
日本で初めてAWSのメンバーシップ企業となり、ステークホルダーの参画促進、共有可能なツールの開発や啓発などを推進、ウォーター・スチュワードシップの浸透に向けたステークホルダーとのネットワークづくりをリードしています。
サントリーはこれからも水のサステナビリティを追求していきます。
スペイン
(2023年〜)トレド県ラヨス市と、水源涵養に関する協定を締結し、24年1月より活動開始
サントリー食品インターナショナル(株)傘下のグループ会社であるサントリー食品スペイン社は、2023年11月22日(水)にスペインのトレド県ラヨス市と水源涵養に関する協定を締結し、2024年1月より地域の方々や各分野の専門家、研究者の協力を得ながら、同社トレド工場の水源であるグアハラス貯水池周辺とその上流域にて、植生回復による水質や生物多様性の向上を目的とした水源涵養活動「Guardianes del Tajo(タホ川の守護者)」を開始しました。
スコットランド
(2021年〜)ウイスキーづくりに欠かせない水・泥炭地(湿原)を保全する活動
泥炭地および水源保全活動「ピートランド ウォーターサンクチュアリ(Peatland Water Sanctuary)」を2021年に開始しました。2030年までに400万米ドル以上を投資し、1,300haの泥炭地復元を目指すとともに水源保全活動にも取り組みます。さらに、2040年までにサントリーグループで使用する泥炭の2倍の量を生み出すことができる面積の泥炭地復元を目指します。本活動を通じて、水品質、保水機能向上、生物多様性の保全に貢献していきます。また、泥炭地は炭素を蓄える機能があるため、GHG排出抑制にも寄与します。
米国
(2016年〜)メーカーズマーク蒸溜所内(2016年~)とジムビーム蒸溜所(2018年~)の水源地で活動を展開
サントリーグローバルスピリッツ社は、水資源を守るため、蒸溜所周辺で環境保全活動を展開しています。2016年にはメーカーズマーク蒸溜所の敷地でアメリカホワイトオークを植樹し、水源涵養を図る「ナチュラル・ウォーターサンクチュアリ」プロジェクトを開始。2018年にはジムビーム蒸溜所の水源である「バーンハイム・アーボリータム&リサーチフォレスト」と提携し、その中の特定エリアで生態系保全に着手しました。広大な森ではインディアナホオヒゲコウモリの保護や環境保全ワークショップも実施。自然環境の多様性を守り、持続可能な社会を目指しています。
ベトナム
(2015年〜)2015年よりベトナム版「水育」を実施しています。国際的なNGOの協力のもとオリジナルの教材を開発し、2017年からはベトナム共産党中央委員会Young Pioneer Organizationと協力、さらに2022年からは教育訓練省とも連携し、水の大切さや衛生管理、水源保全の重要性などについて学習する授業を、小学3~4年生の児童対象に行っています。また、授業を実施している主な小学校においてトイレや洗面所などの改修や設置を支援し、子どもたちの衛生環境の向上にも貢献しています。
タイ
(2019年〜)地元NGOの協力のもと、ラヨーン県とチョンブリ県で、地域の水課題を学習し、小学校での水に関する啓発プロジェクトを展開しています。児童は、学校内の水質モニタリングや、地域の水課題解決施策に参加しています。
フランス
(2020年〜)サントリー食品フランス社は、メジュー工場の近隣に位置する自然公園グラン・パーク・ミリベル・ジョナージュと連携して、小学生対象の水に関するワークショップのプログラムを実施しています。水を育む森についてのレクチャーや、雨が森の土に浸透して地下水になる仕組みを理解する実験などを行っています。
さらに、多くの小学生が「水育」に参加できるよう、教員向けの「水育」プログラムをWebサイトにて提供しています。
中国
(2021年〜)公益団体上海市ボランティア基金会の協力のもと、上海市内の小学3~4年生を対象に「水育」を実施しています。水に関する一般知識や節水の習慣を身につけること、「都市の水はどこからきてどこへ行くのか?」など地域にあわせた内容で、実験や動画も交えながら、中国の子どもたちに自然の仕組みや水の大切さを伝えています。
スペイン
(2022年〜)地元の環境専門家の協力のもと、トレド県内の小学4~6年生を対象に、トレド工場の水源エリアでの自然体験と、小学校での学習を組みあわせたプログラムを提供しています。水循環、責任ある水使用、水と生物多様性の関わりなど、水の大切さや水源保全の重要性について子どもたちに伝えています。
イギリス
(2023年〜)地元の河川の環境を保全する慈善団体の協力のもと、小学生までの子どもとその家族を対象に、コルフォード工場の水源エリアにあたるセヴァーン川流域での自然体験プログラムを展開しています。水循環などの水に関する基礎知識、水と生物多様性の関係など、水の大切さや水源保全の重要性などについて学習する内容です。
ニュージーランド
(2023年〜)地元の河川の環境を保全するNPOの協力のもと、小学生を対象に学校での「出張授業」を展開しています。水循環などの水に関する基礎知識、海洋汚染を防ぐために上流河川をきれいにする取り組みなど、水の大切さや水源保全の重要性について学習する内容で、子どもたちに自然の仕組みや水の大切さを伝えています。