2025年9月19日
#976 垣永 真之介 『直感で生きている』
昨シーズン、中村亮土選手に続いてサンゴリアス100キャップを達成した垣永選手。次のシーズンに向けてどんなことを考えているのか訊いてみました。 (取材日:2025年9月上旬)

◆ボールを持っている写真
――昨シーズン100キャップ達成おめでとうございます
ありがとうございます。もちろん嬉しいですし、光栄だと思います。
――何か思うところはありますか?
いや、特に。嬉しいですけれど、終わったわけじゃないので。
――さらに先を見て、例えば150キャップを目指すとか?
いや、数字に執着はないので、それはどちらでも良いですね。
――でも通過点ではありますよね?
通過点とかも別に気にしていないですね(笑)。
――では、100キャップは垣永選手にとってどんなものですか?
チームからのリスペクトとか、歴代の先輩方がたくさんいる中で、100キャップを達成できるのは一握りで、その中に入れたということはとても嬉しいですね。
――達成前には100キャップの試合は勝ちたいと言ってましたね
チームとして1勝もしていない時だったので、そんなメモリアルキャップよりも勝つことが最優先だと思っていました。
――サンゴリアスに入る時にもたくさん試合に出るというつもりで入ってきたんですか?
もちろん、そうですね。
――それは実現したということですよね
まあ、それなりに。

――同期の中村亮土選手と同期で、ほぼ同時期に100キャップを取りましたが、お互いに思うことはありますか?
本当にお互いにいろいろあったと思いますし、結果的に良かったと思います。2人で達成できたのは。
――100キャップを達成すると引退した後にクラブハウスに写真が飾られますが、その中に入ることになっていかがですか?
嬉しいですし、光栄です。ボールを持っている写真にして欲しいと思います。
――それはなぜですか?
スクラムを組んだ後とかそういう写真が多くて、あまりボールを持っている写真がないので、ボールを持っている写真にして欲しいです。
◆試合でどんどんやっていっている
――2024-25シーズンは試合には出られなくなるまでは、体重もかなり落として、調子が良かったですよね
調子良かったですね。
――スティール(ジャッカル)が多かったと思いますが
それは前からやっていることなので、特別じゃないです。毎年やっていることなので。
――毎年出来る秘訣は?
いや、分からないですけど(笑)。別にあまり意識はしていないですね。「来たら取る」みたいな感じです。
――来たら取れるということは、練習の賜物ですか?
練習したことないです。試合でどんどんやっていっているという感じです。現実として取れているという感じですね。
――若い選手からスティールのアドバイスを求められることはありませんか?
ないっすね。やっぱり僕は怖いんで。
――教えてあげられるものですか?
僕は無理ですね。論理立ててやっていないので。教えられることはないです。教えられる立場でもないですし。

◆やるべきことをやるだけ
――チームの中ではベテランになりましたね
そうですね。最年長ですね。
――最年長になってみてどうですか?
いや、変わらないですね(笑)。
――身体的には?
劣化している部分はあると思いますが、別に変らないですね。
――いつも勝つこと、優勝することが全てと言っていますが、そういう意味で昨シーズンはどうでしたか?
非常に残念な結果で終わりました。何で負けたかというところは僕には分からないです。僕らは考えてくれる人が考えてくれたことを遂行するだけです。
――自分のコントロールできないことには何も言うことはないというスタンスがずっと貫かれていると思いますが、なぜそういう考えになったんですか?
そうだからですね(笑)。事実なんで。
――普通はなかなか簡単にそこを切り分けられないと思いますが、なぜ出来るんですか?
そうせざるを得ないからです。環境的に。あまり深く考えていないですけれど、やるべきことをやるだけということですね。申し訳ないですけれど、生きている上でそこまで深く考えてないです。考えた時もありますし、考えていれば言いますけれど、今はそれ以上も以下もないという感じです。

◆人生が楽しければ
――ホームページのプロフィールに書いてあることは基本的にはポジティブですよね
ポジティブというよりは、そして考えているわけじゃなくて、直感で面白いと思ったことを書いています。
――ポジティブではないんですか?
僕はネガティブです。なぜこうなるのかとか、本当に考えてないんですよ。人生が楽しければ良いと。
――ではこうした方がより人生が楽しいということは考えませんか?
もちろん考えます。けれど、深くは考えないです。だから、「なぜそう思ったんですか?」と聞かれても、そういうことは全く考えていません。全て直感で動いています(笑)。
――直感を磨いていますか?
磨いていないです。そんなことは考えていないです。いろいろな人のインタビューを見ますけれど、よくここまで出来て素晴らしいなと。僕はそんなことは考えていないです。
――考えることが嫌いなんですか?
嫌いというか、考えていないだけです。100キャップ取りました、嬉しい、光栄、それだけです。その先がどうこうとか無いです。
――その状態が楽なんでしょうか?
楽とかも考えていないです。直感で生きているので。
――悟っている?
違います。そっちへ行くとまた全然違う方向になっちゃいます。
――どちらかと言うと動物に近いのでしょうか
かもしれないですね(笑)。

◆結果を出す
――2025-26シーズンに向けて、今はどんなことをやっていて、どんな課題がありますか?
もちろんチームとして取り組まなければいけないことがありますし、個人としてもレベルアップしなければいけないところがあるので、そこはしっかりと練習して、結果を出すことにしかフォーカスしていません。とにかく結果を出すことをやっています。
――それを目指してやっていて楽しんでいますか?
もちろん。やれているこの環境に感謝しています。
――チームが始動して、雰囲気が変わったということはありますか?
今シーズンはすごく貪欲というか、フワッとしたスタートじゃないですし、みんなの中で「なぜやるか」が明確になっていて、とても良い雰囲気だと思います。
――次回インタビューを行う時は、たくさん質問して短く答えてもらうというやり方を考えますね
それが良いです。答えは全部シンプルに。本当に申し訳ないですけれど、考えていないことには出ないので、それが良いですね。

(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]