2025年9月12日
#975 中村 亮土 『もっとフィジカリティーな選手になっていく』
昨シーズン100キャップを達成した中村選手。難しかったシーズンを振り返りつつ、新たなシーズンへ向けての意気込みは?(取材日:2025年9月上旬)

◆100キャップの価値
――2024-25シーズンにサンゴリアス100キャップ達成、おめでとうございます
やっとという感じですね(笑)。僕の中ではもっと早くという気持ちもありましたし、正直に言うと、あまり意識はしていなかったですね。
――サンゴリアスに入ってそのくらい試合に出るというイメージはあったんですか?
いや、あまりなかったかもしれません。そこはあまりこだわりがなかったかもしれません。
――こだわりがない中で実際に達成してみると、どんな気持ちですか?
チームメイトやスタッフから祝福してもらって、逆にサンゴリアスの100キャップの価値を教えてもらった気がします。
――100キャップ以上を獲得した選手はクラブハウスに写真が飾られますね
写真が飾られている選手で知らない選手はいないですし、こういう人たちがサンゴリアスの歴史を作ってきたんだろうなと感じますね。
――その一員に加わりましたね
いや、ぜんぜん。自覚はないですね。

――試合中に何かを感じたというよりは、試合が終わってから感じたということになりますか?
終わってからですね。それから試合に向けて、チーム内でメンバーのアナウンスをするんですが、その時にクラブハウスで軽いセレモニーみたいなものがあって、ギッツ(マット・ギタウ)が来てくれて嬉しかったですし、その試合に向けて「亮土の100キャップだから、いつも以上に頑張ろう」みたいなことを言ってくれたので、いつも以上に気持ちは高ぶっていましたね。
――気持ちが高ぶると、プレーはどうなんですか?
いや、分からないです(笑)。あまり覚えてないですね。
――覚えていないということは、相当集中していたんじゃないですか?
そうかもしれないですね。良く言えば(笑)。僕はあまり前の試合とか覚えていないんですよ。昔は覚えていたんですけどね。
――同期の垣永選手が1試合遅れで100キャップを達成しました
嬉しいですね。同じ時に一緒にプレーして、カッキー(垣永真之介)も含めて、ユタカ(流大)もユキオ(森川由起乙)もそうですし、一緒にプレーしている時に100キャップを取ったり、ファースト・キャップを取ったり、記念すべき時に一緒にいられたというのは、とても嬉しいですね。思い出になりますし。

◆ホームランはない
――2024-25シーズンは戦っていて、なかなか上手くいかなかったんでしょうか?
上手くいかないことが多かったですね。
――2024-25シーズンに中村選手は12試合に出場、チームは2勝2分け8敗でした。その辺については実際にプレーしていてどうでしたか?
昨シーズンの場合は先発で出場する試合があまりなくて、僕が出場するタイミングではもう試合が決まってしまっていたり、出場しても勢いを変えられずに試合に出ていたりすることが多くて、「難しいなー」と思いながらプレーしていましたね。
――それは自分に対してストレスを感じる状況ですね
やることって、だいたい役割は決まっているんですけれど、その中で出来ることと出来ないことがあって、流れを変えるプレーは出来るかもしれないですけれど、そういうシチュエーションにもならなかったというのが本音の部分ですね。「1人で勢いを変えるのもなかなか難しいな」という思いもありました。
――自分が出ることで良い効果を生みたいという気持ちがあってもそれが出来ないというのは、相当悔しかったんじゃないですか?
そうですね。歯がゆかったですね。
――この8年間ずっと悔しかったと思うんですが、突破口はどこにあると思いますか?
本当に積み重ねであり、積み上げなので、ホームランはないと思います。プレシーズンでやっていることが開幕戦で出ますし、シーズン中も毎日やっていることが週末のゲームに出ます。昨シーズンの場合は、もちろんプレシーズンでみんながハードワークしてやっていて、プレシーズン中の試合も上手くいっていて良かったんです。けれども、プレッシャーが低い状態でのパフォーマンスは良いけれど、ハイプレッシャーの中でのパフォーマンスとなると、なかなかアジャスト出来ない部分がありました。もっとみんなが理解して、深いところまで突き詰めないといけないと感じましたね。それはやってみてのことで、プレシーズンの段階ではそれが全く分からなかったので、その時にはやることはやっていました。

◆100%コミットする選手
――他のチームが毎シーズン強くなっているという感覚は?
ありますよ。
――対抗してサンゴリアスがより強くなっていくためには、ひとつひとつの積み重ねということですか?
抽象的になってしましますが、全力で100%コミットする選手を多くして、そういう選手の人数を少しずつ増やしていくことで全然変わると思います。チームに関わるどんな立場の人だろうが、チームに100%コミットする。昨シーズンもコミットしていたと思うんですけれど、それにプラスαで、もっと自分の何かを犠牲にして、よりラグビーのため、チームのために時間を作ることで、それが毎日積み重なると、全然違う方向になっていくのかなと思います。
――プレーでもそうですが、それ以外のチーム作りという面でも、それぞれ自分には何が出来るかということですか?
もちろん、いちばんはプレーですよ。選手であれば、時間をかけて自分のプレーを積み重ねていくということがいちばんのところですね。
――そういう中で、自分自身の自信は揺らいでいませんか?
それはないです。

◆伸ばせるポイント
――今シーズンの課題は?
もっとフィジカリティ―な選手になっていくことですね。
――そのためには何が必要ですか?
「ここは伸ばせるな」というポイントがあって、それがコンタクト周りのところなので、それはもう練習ですね。テクニックと強度を含めてです。
――もう少し具体的に言うとどの部分ですか?
コンタクトのところで加速して入ることだったり、足を止めないことだったり、本当に細かいところです。大きく見えるようで本当に細かいところが変わると、だいぶ変わると思います。
――フィジカルという部分では自分の年齢は感じていませんか?
それは全くないですね。
――逆に伸びていますか?
伸びているというか、若い時も伸びているとは思っていないので、だから急に強くなったりもありません。そんな1年単位じゃないですね。いま持っているパワーをどう活かすかというところなので、あまり伸びているという感覚はないですね。もちろんスキルが伸びているという感覚はありますよ。それは振り返ってみて、「あの時、伸びたな」とかになるので、今は分からないです。

――ではかなり考えてやっているということですか?
いや、そんなことはないですね。意外とシンプルで、ここやったらブレイクスルーするみたいな感じです。
――それが出来るか出来ないかということですか?
そう、そうです。
――衰えを感じずに、自分の課題があって、それをやっていくことに喜びを感じてるのに、前のインタビューでは「もうそろそろ」という話もありましたが
いや、もうそろそろですよ。
――それはなぜ?
一生はラグビー出来ないですからね。

◆生きている心地がする
――今、ラグビーの魅力は何ですか?
やっぱりチームで目標や目的を達成することが、最高の瞬間じゃないですかね。それを自分が熱くなって、毎日刺激があって、悔しい気持ちも味わえて、熱くなれるスポーツなので、やっていて楽しいと思います。生きている心地がするというか、刺激をもらえる。
――それをもう少し続けるかもしれないという可能性もあるということですね
まあ、そうですね。分からないですけどね。
――子どもの成長はどうですか?
それは感じますよ。伸び伸びと生きて欲しいですね。
――自分は伸び伸びと生きていますか?
僕は伸び伸びと生かされています(笑)。子どももいますし、いろいろな趣味もありますし、自由奔放にやっていたらバランスは崩れますけれど、奥さんがいていろいろな方のサポートがあって、伸び伸び生かしてもらっていると感じます。本当に幸せ者です(笑)。

――ファンに今シーズン期待して欲しいところは?
もう優勝ですよ。
――急には変わらないと言っていましたが優勝ですね
急には変わらないんですよ。でも、地道にやることをやっていれば、結果は絶対についてくるので、「見ていてください」という感じです。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]