SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2025年7月25日

#968 長友 泰憲 『強い気持ちを持って動画を作っています』

現役時代のサンゴアスキャップは100を超え、スピードと粘り強さとディフェンスに定評のあった長友地域連携リーダー。自ら撮影し制作する動画がクローズアップされている現在、実際にどんな仕事を何を目指してやっているのでしょうか?

シーズン中にファンクラブサイトのコーナー「FOR THE WIN」に掲載したインタビュー=①に、シーズン後のインタビュー=②を加えて、SPIRITS OF SUNGOLIATH としてお届けします。

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① シーズン中インタビュー (取材:2025年3月)

◆学校訪問

―現在の役職は地域連携リーダー兼広報・PR担当ですが、まず地域連携リーダーとしどういったことをやっているんですか?

サンゴリアスが地域との連携協定を港区、府中市、調布市、三鷹市、東京都と結んでいて、その中で一緒にラグビーそしてサンゴリアスを盛り上げていきましょうという活動をしています。地域の人たちにより応援してもらえるような活動を、一緒に取り組んでいます。

―自治体によって何か違いはありますか?

港区ではサンゴリアスだけに特化した取り組みが出来るというところがあるので、港区独自のアイデアをくれ流など、サンゴリアスに注力してくださるメリットがあると思います。港区は平さん(浩二/スクール・アカデミー兼地域連携)が担当していて、教育委員会と強く繋がりを持ってやっています。学校訪問や小学校の算数ドリル、区の施設にあるビジョンにサンゴリアスの映像を流してもらうPRなど、港区にサンゴリアスやラグビーが根づくための活動をしています。

――東芝と一緒である府中市、調布市、三鷹市の三市については?

同じ市に2チームがあるのは、東芝とサンゴリアスがあるこの三市しかなくて、府中ダービーという熱い試合が出来るというメリットがある中で、東芝と一緒に府中を盛り上げる「RUGBY CITY FUCHU PROJECT」という活動をしています。その活動には府中市、東芝、サンゴリアスに加え、京王グループの京王エージェンシー、京王観光にも加わってもらい、一緒に京王電鉄の周りを盛り上げる活動をしています。その活動では東芝と共同のグッズを作ったり、京王府中駅の構内にあるカフェやエスカレーターをラッピングしていますが、これらの活動に賛同していただける地元の企業を両チームで回ったりしています。そこは両チームでやる大きなメリットかなと思います。

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――リーダーとして具体的にはどんな動きをしているんですか?

まずは市や区を定期的に伺って打ち合わせをしたり、ひとつの大きな活動としては学校訪問があります。学校訪問は子どもたちにラグビーを知ってもらう、ラグビーのファンになってもらうことを目的とした活動です。府中市の小学校、港区の小学校に主に力を入れて取り組んでいます。あとは市報や区報、自治体が持っているSNSを使いながら、情報を発信してもらっています。

――地域連携は他に誰と一緒に活動しているんですか?

平さんが港区で、津久井さん(信介/広報・PRリーダー兼地域連携)が東京都、そして僕が三市を担当しています。

――やりがいや面白さは?

ゼロからの活動がたくさんあります。そこからどうやっていくかを、チームだけじゃなくて区や市と相談しながら一緒に作り上げていくところが面白いですね。

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◆選手との距離が近い

――広報・PRの役割についても教えてください

いま広報担当が3人いて、津久井さん、村松さん(真衣/広報・PR)と僕の3人です。僕がメインでやっているのは動画系で、その中でもYouTubeを主に担当しています。

――動画を作るという仕事についてはどうですか?

動画を作ることに関しては、やはり楽しさがないと動画は作れないと思っています。動画を作った時には動画ひとつひとつに達成感がありますし、その動画を見た人が感動してくれたり、面白いと言ってくれる声を聞けることは、楽しさでもあります。

――動画づくりは自分に合っていると思いますか?

そうですね。没頭するタイプなので、のめり込んで動画を作っています。

――動画を作る時にいちばん気をつけていることは?

僕の考えですけれど、単調にならないことです。同じ絵をずっと見せていると、今はすぐに飽きられちゃうので、動画を切り替えたり、抑揚をつけることを意識しています。

――自分ならではというところ、あるいは自分の良さは、動画の中にどう反映されていますか?

気づく人は少ないかもしれませんが、基本的にはラグビーの動画を作っているので、まずは選手との距離感が近いというところです。試合前のロッカーは結構シビアなんですけれど、普段入れないそこに入って撮影が出来たり、試合に負けた後はインタビューをしずらいんですが、元選手ということもあり、そういう状況でも話を聞きに行けたりするので、いちばんのメリットは選手との距離が近いところだと思います。

――入り込んで撮影をした動画を、どこまで外部に出していいかの判断は?

動画が出来たら、チームの関係者にOKをもらってから出しています。事前に確認してもらって、「この部分は出さないでください」などと言われることもあり、その場合は修正してから出しています。前後の映像が良くても、ある部分は使えないと場合、例えばその映像内での言葉を使わずに、別のインタビューでの言葉を代わりに入れたりして、雰囲気が伝わるようにしています。

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◆ずっと同じような動画は作りたくない

――動画を作っていて大変なことは?

地域連携も担当しているので普及活動があったり、サンゴリアスのアカデミーのコーチもしているので、時間がないというか、動画編集に専念しての作業が出来ないことはあります。撮影と編集も自分でやっているので、その編集作業に時間がかかったり、YouTube以外でも動画を作っているので大変ですね。

――ファンや選手からの評判はどうですか?

ある程度の評価はもらえているのかなと思います。選手にどういう動画が良いかを聞いたり、ファンの人に意見を聞いたりしながら作っています。今のシーズン中では、試合の様子や試合前日の様子などを動画にしていますが、時間があれば別の企画などをやりたいと思っているので、そういうのを出しながらやっていきたいと思っています。

――常に進化して新しくなっているんですか?

自分の中でずっと同じような動画は作りたくないので、そこはかなり考えています。

――今後はどうしていきたいですか?

ひとりでやっていくとなると、やっぱり限界があると思っています。特に動画撮影などは、チームを作ってやっていかなければいけないなと思っています。ひとりだといろいろなアングルから撮ることは難しいですし、撮れる映像にも限界があります。映像制作については、今後も続けていきたいと思っています。引退した選手を取り込んで、一緒にやっていくという形はあり得るかもしれませんね。カッキー(垣永真之介)は「ヤスさんのような仕事したい」と言っていますし、企画力があるので良いかもしれないですね。

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◆特にディフェンスは得意

――引退して何年になりますか?

2019年に引退したので6年目になります。

――ラグビーの強化側に未練はありませんか?

ゼロかと言われたらゼロではないかもしれませんが、そんなに未練はないかもしれません。同じウイングの選手と話をしたりしますが、ガッツリまたやりたいという感じではありません。

――選手にインタビューをすると「ヤスさんに教えてもらった」と言っている選手もいます

特にディフェンスのところは、僕も得意としていた部分でもあるので、言ったら変わりそうだなと感じる選手、よく話を聞く選手やコミュニケーション能力に長けている選手には伝えるようにしています。亮土(中村)とはずっと一緒にやってきたので、亮土に言ったりはしますし、ニグ(仁熊秀斗)とは同じウイングということもあり、どこで信頼を得るかという話をしたりしています。そこで何が大事になってくるかと言うと、ウイングではコミュニケーションです。僕は練習の時から常にコミュニケーションを取っていて、少しでも不安に思ったら内側の選手や後ろのフルバックに確認を取っていました。そして試合の時には名前を言っただけで、僕が言いたいことが伝わる状態にしていました。この場合、しっかりと人間性を知ることが大事ですね。

――他にディフェンスの神髄はありますか?

僕はよく剛さん(有賀/現リコーブラックラムズ東京アシスタントコーチ)に言われていたんですけれど、「ラグビーフィールドを縦に割って、右側でトライを取られたら自分のせいと思え」って。それが僕の中で衝撃的で、モール以外はすべて自分の責任と思ってディフェンスしていました。そして僕がウイングに言うのは「味方の選手をコントロール出来なかったお前のせいだ」ということです。練習中から常にコミュニケーションを取って、ちゃんと連動するように常に意識しておけば対策できるということです。それによって自分のポジション取りも変わってきます。だから、常に他の選手がどういう人間性かを理解すること、味方を知ることが大事だと思います。ただ僕は個人的なスキルの部分しか言わないようにしていますし、全体的な組織的なところに何か言うつもりはありません。

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◆認知の拡大

――チームが勝つために今の立場でどんなところに貢献していますか?

動画はもちろん外向けではありますが、それを見て選手のやる気が起きたり、悔しい気持ちになってもらったり、動画を見ることでそういう気が起きたら良いなと思います。あとは個人にフォーカスしたりしているので、そこで取り上げた選手たちが、動画を見てやる気が起きたりすれば良いなと思っています。僕は強い気持ちを持って動画を作っています。それに対して、ファンの人たちも熱い気持ちを持って欲しいと思って、作っています。

――動画は週に何本くらい作っているんですか?

一応、週に1本なんですけれど、頻度は上げた方が良いと思っています。それに加えYouTubeショートという機能があるので、そちらにも動画を上げるようにしていて、週に2回出せれば良いと思ってやっています。

――今後の目標は?

地域連携のリーダーでもあるので、地域の人たちに応援してもらえるようなチームにしていきたいと思っています。今のラグビーファンは、にわかファンとして見に来てくれる人も多いんですけれど、府中市や調布市、三鷹市の人たちがサンゴリアスの試合がある時に一斉に見に来るようなチームにしていきたいので、地域に根づく活動をどんどんしていきたいと思っています。今シーズンは昨シーズンの府中ダービーよりも市民の来場数が減ってしまったのですが、それが今のサンゴリアスの力だと思うので、そこのベースを上げてきたいと思っています。

――地域連携と広報・PRがリンクしたまさに地域への広報・PRが必要ですね

そうですね。府中市そして広報・PRチームと連携しての露出の部分で、「サンゴリアスって地域の人たちと接点持って活動しているね」と思われる活動をしていかなければいけないと思っています。僕の中でも今シーズンのテーマとしているのが「認知の拡大」なので、そこの施策を考えながらやっていきたいと思います。

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② シーズン後インタビュー (取材:2025年6月)

◆学校訪問を58回

――シーズンが終わって「認知の拡大」はどのくらい達成できましたか?

認知のところはこれからの目標でもあり、地域と連携してこれから認知拡大していこうとしているので、次のシーズンに向けて走っている途中です。ですのでまだ、どれくらい認知が拡大したかは見えてない状態ですし、そのデータはこれから取っていかなければいけないと思っています。2025-26シーズンではアンケートなどを取り、その後にもまたアンケートを取り、どのくらい広がったか見ないといけないと思っています。シーズン中には、学校訪問などを積極的にやりました。前のシーズンでは半年で56回くらいイベントや学校訪問を行って、今シーズンは2回増やして58回くらいやりました。出来る範囲でやっている状況ですが、少しずつ知ってもらえているんじゃないかなとは思っています。

――50回以上もやっているんですね

スタッフの人数が少ないので多いかなとは思うんですが、他のサッカーチームやラグビーの静岡ブルーレヴズでは100回以上やっています。将来的に専門の普及チームを組むことが出来たら、どんどん動いてもらってやれればいいなと思っています。

――実際にやってみての手応えはどうですか?

子どもたちは楽しんでくれていたと思います。その都度、やるメニューなどを変えながら、より子どもたちが楽しんでくれる内容にして行けたので、楽しんでくれていたと思います。直接触れ合った人数としては7,600人くらいで、当初目標としていた1万人には届かなかったので、そこは反省して、次に活かさなければいけないと思っています。

――より楽しんでもらえるようにしたこととは?

2年前までは、キックするところ、パスするところなど、ステーションを分けてやっていたんですが、それを変えて、ボールひとつで楽しめるような内容、チームビルディング的なグループで競い合いながら楽しめるようなメニューにしたので、他のグループに負けないように、みんなが取り組んでくれました。

――ラグビーの本質に近いようなやり方ですね

それに寄せているというか、チームのみんなでやる楽しさが伝わるような内容にしていて、それがラグビーに繋がっているかなと思います。

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◆ベースとしてはスマート

――YouTubeについてはどうでしたか?

試合の様子をベースとしてアップしつつ、その他の部分を少しずつ出しています。ボリュームはアップしているんですけれど、地域連携にも力を入れていることもありますが、僕としてはYouTubeにもうちょっとやりたいなというのが正直なところですね。

――ベースとしては選手の魅力、チームの魅力をいかに発信するかということだと思うので、そこは達成できたんじゃないですか?

特にコアファン向けに、一緒に戦っていこうという動画にしているので、それに加え、それを見た選手のやる気を更にアップさせたいという気持ちあるので、そういうことが届いてくれたら良いなと思って作っています。選手に聞きながらやっていて、選手から「良かった」などの声も聞けたので、やっていて良かったと思っています。

――どの辺を大事にしてやっているんですか?

ベースとしてはスマートな感じで出したいので、ラグビーの汗臭さや泥臭さというよりも、カッコ良さを表現したいと思っています。それを見てサンゴリアスに興味を持ってもらったり、子どもたちが入りたいと思ってもらえれば良いかなと思っています。そういう何かのきっかけになれれば良いかなと思って作っていました。

――今シーズン、優勝を目指しながら勝てませんでしたが、長友さんの仕事にも影響はありましたか?

あったと思います。勝ち続けて決勝に残っていたら、あまりラグビーのことを知らない人もサンゴリアスに興味を持ってくれたり、SNSなどを見てくれたり、そういう人が一定数はいたと思います。今シーズンはそういう人の目になかなか触れられなかったということがあるので、YouTubeの再生数も伸びないこともありました。動画のテイストを変えなければいけないのか、もっと企画ものを入れなければいけないのか、そこはちょっと考えました。

同じような内容のものを出し続けていくことは、ファンの人たちにとっては良いかもしれませんが、ふだんラグビーを見ないような人たちにとってはきっかけにならないと思います。まだ出来ていませんが、違う色を出していかなければいけないとずっと思っています。選手と選手の対談だったり、シーズンが終わった後に違うチームの選手との対談だったり、そういうことは他のスポーツチームはやっていたりしていて、そういう内容をよく見ると思っているので、そういうこともやっていきたいですね。

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◆このエンブレムを見たらサンゴリアス

――来シーズンはこんなことをやっていきたいということは?

地域連携のリーダーなので、今は府中・調布・三鷹の三市と港区がベースでやっていますが、エリアごとにやることを変化させてやっていきたいと思っています。やることは認知という部分を強化してやっていきたいと思っていて、どれだけサンゴリアスを知ってくれているかだと思います。まだまだ知らない人がたくさんいると思うので、昨日は三鷹市の小学校に行きましたけれど、ラグビーは知っているけれどもサンゴリアスは知らないという人がたくさんいました。これらのエリアの中ではもっと知らない人がいると思うので、このエンブレムを見たらサンゴリアスと分かるような活動をしていきたいと思います。認知という部分をしっかりと、普及活動などを通じて、それにメディアなどの力も使って、やっていきたいと思っています。地道な作業を増やしてやっていこうと思っています。

――エリアごとにやることを変化させるとは、どういったことですか?

例えば港区で言うと、港区が地元という人は少ないと思いますので、直接の接点というよりは、区が持っている施設などを使って、ポスターを貼ってもらったり、広告を打ったりしていこうと思っています。府中で言えば、クラブハウスもあるし、直接の接点が大事だと思うので、そういう機会を増やしていきたいと思っています。そのようにすみ分けをしてやっていこうと思っているところです。

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(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]

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