SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2025年7月18日

#967 脇 健太 『より良くしたい』

運営そしてファン事業の統括を担う脇マネージャー。日々行なっていること、チャレンジしていること、そしてどんな夢を描いているのか、選手時代の話を交えて聞いてみました。

(シーズン中にファンクラブサイトのコーナー「FOR THE WIN」に掲載したインタビュー=①に、シーズン後のインタビュー=②を加えて、SPIRITS OF SUNGOLIATH としてお届けします)

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①シーズン中インタビュー (取材:2025年2月)

◆人の気持ちを動かす

――運営・ファン事業グループ統括マネージャーとは、具体的にはどんなことをやっているんですか?

私のグループではホストゲームの集客、試合運営やファンクラブ、グッズの運営、広報やSNSの運用、ホストエリアでの地域連携活動や普及活動を担当しています。そのような活動を通じ「稼ぐ」ことでチームに貢献するというのが仕事になります。

――元選手としてラグビーの強化Gの時やサントリーの営業とは違って、苦労された部分はありますか?

そのような活動はチームとして初めての取組になるのでデータやお客様の声や反応を参考に日々進化、改善していく連続で苦労という感覚はなく常に走り続けている感じです。まだまだですが、進化している手応えを感じる部分もあり楽しい仕事だと思います。目標に対してみんなで戦略を立て実行し、成功や失敗を繰り返しまた取り組むということは強化グループやサントリーの営業と変わらないと言える部分もあると思います。

――どんな時に進化していると感じますか?

試合会場にたくさんの人に来ていただいて、チームを応援してくれたり、グッズを身につけてくれたり、スタンドが黄色に染まっていたり、段々その輪が広がっているなと感じた時に自分たちの思いが伝わったのかなと感じます。試合の前後に、「今日は大事な一戦だね」、「今日は勝って良かったね、負けたけど次だね」などとファンの方からお声がけいただく機会が増え、ファンの方との距離が近くなった時も感じます。あと、僕ひとりでやっているわけじゃないので、一緒にやってくれているメンバーが、やりたいと思ったことが実現できた時に喜んでいる姿を見ると少しずつよくなってきてるのかなと感じています。

――難しいと感じる時は?

いろいろな局面で予測していたことと違うことや予想外のことが起きるので、その時に柔軟に対応すること、最適な判断をすること。できる限り想定外のことでも自分の中では想定しておき、対応できる準備をしておくことは、まだまだ出来ていないことで難しい部分です。

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――その中でも昨シーズン、観客数がリーグの中でいちばんで、手応えは感じていますか?

常に強いチームで、日本代表やスター選手もたくさんいて、元々、ファンが多いというのもありますが、少しずつ新しいファンも増えてきたのかなと思います。もっともっとラグビーやサンゴリアスのファンを増やして、スタンドをお客さんでいっぱいにして選手を後押ししたいです。

◆ファンが増えることで優勝を後押しする

――選手を引退して社業に専念して、そこからまたチームに戻ってきたんですね

5年前にゼネラルマネージャー(GM)としてサンゴリアスに戻ってきました。当時は強化に近い立場でした。GMを2年、チームディレクター(TD)を2年、そして今のファン事業が2年目になります。

――GMとTDの4年間とこの2年、どうやって自分の中でマインドチェンジをしたんですか?

求められる役割や業務は変わりますが、「チームのために」、「優勝するために」、「多くの人に応援してもらうために」という部分は変わりません。自分のポジションでベストを尽くしたいと思っているのでマインドチェンジをしたという感覚はありません。

――強化は優勝することが大きな目標、ファン事業の理想は優勝に関係なくファンが増えていくことが目標かと思いますが、どうでしょう?

強化の仕事の時は強いことがファンを増やすためには必要だと思っていたのですが今の立場になり、勝敗に関係なくサンゴリアスが好きだとかサンゴリアスを応援していると思っていただけるファンをどうやったら増やせるかをみんなで考えています。今、チームは中々勝てずに苦しんでいますが、こういう時こそファンの力で選手を後押ししたい、選手の1%の頑張りを生み出して、勝利や優勝を後押ししたいと思っています。皆さん、どうぞ力を貸してください(笑)。

――運営側と強化側の調整が必要なこともあると思いますが、そこはどう調整しているんですか?

強化グループとは都度、話をしています。私は両方の立場をやっていたので強化側の考えもわかります。目的や今まで出てきた意見などを伝え、チームにとってのベストを話し合っています。野村チームディレクターも小野ヘッドコーチも選手もファンを大事にする考えをもってくれているので、調整に難しさを感じたことはありません。

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――様々な施策を企画してどんどん実行してきたと思いますが、そこの実行力のもとは何ですか?

より良くしたい、より高みを目指したいと思っています。ファンの方が喜ぶことをやりたい、よりファンを増やしたい、よりグッズを売りたいという想いですかね。ラグビー界やサンゴリアスはファン事業については経験値も実行力もプロ野球やJリーグやBリーグに比べてまだまだできることがあると思っています。ベストを尽くす、みんなで力を合わせてラグビー界を牽引できるようなチームを目指したいと思っています。

――より良くするということには限度が無いと思いますが、そこはいかがでしょう?

常に進化を目指すことは、何でもそういうものじゃないかなという感覚です。

◆もうちょっとラグビーをやってみよう

――6年前にチームに戻ってくることになった時には自分で希望したんですか?

「手伝ってくれ」と言われました。必要とされるという部分では嬉しさがありますが、まったく違う仕事なので、頑張ろうという気持ちが強かったと思います。それまではお酒の営業、営業から営業企画になり、立場もマネージャーになっていました。なので、そちらの仕事にもやりがいを感じていました。

――選手を引退して社業に専念する時の気持ちは?

僕は「ラグビーは引退して社業に専念しなさい」と言われたタイプです。最初はショックで受け入れられない時もありましたが切り替えて、頑張りました。当時は飲食店様にプレミアムモルツを持参し、毎日、飛び込み営業をしていました。

――選手は何年?

選手としては5年です。

――どんなプレーが得意な選手でしたか?

ラインアウトや運動量には自信がありました。

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――筑紫丘高校、早稲田大学と、ラグビーの伝統あるチームを歩んでますね

大学へ入学するのに1浪しました。その時は1年間、「早稲田でラグビーがしたい」一心で勉強しかしていなかったので体力はだいぶ落ちました。大学1年生の時は寮にも入れず苦労しました。2年の時に早稲田の赤黒を着てリザーブに入ることができ、3年生からはレギュラーでした。

――大学を卒業して社会人になる時には、他のチームの選択肢もあったんですか?

お誘いいただいたチームは他にもあったのですが、もともと社会人でラグビーをするつもりがなかったので、一般企業に内定をもらっていました。当時、早稲田はサンゴリアスに出稽古に来ていて、その出稽古に来た時に当時のサンゴリアスの監督から「サンゴリアスに興味がないか」と言っていただきました。当時のサンゴリアスはスター軍団、ほぼ全員日本代表だったので、声をかけていただけて嬉しくて「社会人でもラグビーをチャレンジしよう」と飛び込みました。

――当時のサンゴリアスはどうでしたか?

強かったです。ちょうど入社した時がウエールズにも勝ち、5冠達成した年で負け知らずでした。プレーの質が高かったり、大学生とは違うフィジカルで毎日、緊張感を持って取り組んでいたと記憶しています。また、当時は就業後、19時や17時から練習でラグビーと仕事の両立に必死に食らいついて行くという感じでした。

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◆感情も入ります

――ラグビーは何歳から始めたんですか?

高校1年生からです。

――始めようと思ったきっかけは?

身長が高かったので、入学したときの身体検査の際、高校のラグビー部の先生に声をかけてもらって始めました。

――中学校では何のスポーツをしていたんですか?

野球です。ピッチャーとセンターをやっていて4番を打っていましたが、中学の野球部は、市大会に出ることが目標くらいのチームでした。筑紫丘高校は伝統的にラグビー部は強くて、全国大会を目指せるレベルでした。それでラグビー部の監督から誘われて、ラグビー部に入りました。

――高校でラグビーを始めてどうでしたか?

全てが新鮮で楽しかったですね。フォワードでしたけれど、ボールをもらって相手を抜いてトライを取ったりするのが楽しかったです。

――そこから早稲田大学、サントリーと進みました。ずっと続けていて感じるラグビーの面白さはどこになりますか?

何ですかね(笑)。全国大会出場や日本一など目標に向かってチームで切磋琢磨しながら頑張るところ。それに向け、自分が成長してチームに貢献することが必要で、うまくいくことやうまくいかないことがあったり、勝って喜んだり、負けて悔しがったりと色々なことを体験、経験させてもらっていることですかね。ラグビーはコンタクトスポーツなので常に気合を入れないとプレー出来ないので、感情も入りますよね。そういうところも好きなのかもしれないです。

――引退後のサントリーの社業でも気合を入れていましたか?

営業も最初は根性でやっていました。

――ラグビーに戻って来て、チームのフロントになってもそうですか?

ハードワークは苦じゃないかもしれないです。

――やはり負けず嫌いなんですか?

負けず嫌いではあるかもしれませんね。相手よりもとか人よりも、というより、やるんだったらいちばんになりたい、ベストを尽くしたいという気持ちです。

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◆常に全力

――サンゴリアスはここ何年かいちばんが取れていませんが、いかがでしょう?

悔しいですね。勝つことは簡単じゃない、勝ち続けることは難しいんだなと感じています。ラグビー部に戻ってきて2回決勝戦にいきましたが、いずれもパナソニックに勝ちきれませんでした。もう一度あの舞台にチャレンジしたいです。強化グループ、運営グループ、選手、スタッフ関係なく全員が勝つために何ができるか、何が必要かを考えているチームです。全員がハードワークしています。自分たちがやっていることを信じてやりきることが、大切だと思います。

――今の立場になって、試合の見方は強化側とは違うと思いますし、ファンに近い感じですか?

ファンとも違うと思います。勝ってほしいと思いながら試合を見る気持ちと、ホストゲームの時はスタンドの雰囲気はどうかなとか、何か問題は起きてないかなとか、改善できることはないかなと、試合以外のことを考えることも多いです。

――開幕後の勝てなかった時はどんな気持ちでしたか?

プレシーズンの練習試合は全勝で自信をもって臨んだ中、勝てない試合が続き、今シーズンから新しい体制でスタートしたこともあったので、心配に思うこともありました。ただ、自分にできることは何かと考えた時に、「ひとりでも多くのお客さんに試合会場に来てもらって、黄色のスタンドやファンの声援で選手を後押しする。それが自分に出来ること」と思っていました。

――これからどういうことをやっていきたいですか?

夢物語かもしれませんが、自前のスタジアムを持ち、応援してもらえるコミュニティーを拡大し常に満員のスタジアムで試合をするようなチームを目指す。あと、世界で戦えるチームを目指す。こんなことにチャレンジしていきたいです。

――ファンの方がスタジアムで脇さんを見かけた際には、どんな声をかけて欲しいですか?

何でも気軽に声をかけて頂けると嬉しいです。試合やホストゲームの感想だったり、もっとこうしたらいいと思うというご意見だったりと。これから大事な試合が続くので、スタジアムで是非応援してください。

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②シーズン後インタビュー (取材:2025年6月)

◆環境作りをする

――長かったシーズンが終わって、今の心境は?

準々決勝で敗退だったので、やっぱり悔しい気持ちです。私の仕事は直接的に強化には関係していませんが、優勝に貢献するために自分が何が出来るのかというところは、来シーズンに向けてもっと進化させたいと思っています。

――現役の時とスタッフの時と、悔しさは同じですか?

難しい質問ですが、選手と同じように悔しいですね。

――優勝に向けて周りから盛り上げていく役割として、やるべきことにはどんなことがありますか?

ひとりでも多くの方に応援いただくことや、スタジアムを黄色に染めて選手に声援を送って頂けるような環境作りをすること、そこは変わらないと思っています。

――担当している部分での今シーズンの成果は?

成果がでた部分と課題とありました。いろいろな環境の変化もありました。今、みんなで振り返りをしていて、自分達が感じていることと実態とのギャップなど確認をしているところです。いろいろな試合でのお客様のアンケートの声、ファンクラブ会員の方のアンケートの声などを見ながら、手応えとのギャップを確認しているところです。

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――アンケートの声と自身の手応えが一致した成果は?

応援頂いているファンが増えているところです。サンゴリアスの試合は楽しいとか、試合以外でも楽しめるという声も増えてきました。徐々に黄色く染まっているスタンドを見ると、少しずつお客様にも伝わっているのかなとも感じています。チームを応援したい、また試合を見に行きたいと思って頂けるこということが、実際にチケット購入に繋がっているかなどは、データで見て確信できる部分を検証しているところです。

――これから計画される来シーズンの施策については?

今までやってきたことと大きくは変わらない部分と、新しくチャレンジしていきたい部分と、両方かなと思っています。そういう中で、今までやってきた活動の積み重ねは、大事にしていくべきだと思っています。

――実際にやってみて嬉しいと感じたり次に向けてのモチベーションになることは?

ファンの方がチームや選手を応援頂いている姿や勝った時に喜んで頂いている姿を見た時、チームが勝った時にチームのみんなが喜んでいる姿を見るとめちゃくちゃ嬉しいです。この仕事に携わって幸せだなって感じますし、モチベーションになりますね。

――来シーズン、チームが喜ぶ姿がもっと増えていくという感覚は?

もちろんあります。本当にもう一度チャレンジャーの気持ちになって、積み重ねていかなければいけません。這い上がるのには相当なパワーと覚悟を持たなければいけません。来シーズンは大事なシーズンになると思っています。チーム全員でそれぞれの役割の中で結果にコミットする。全員で王座奪還して、ファンの方、チーム全員で喜びを分かち合いたいと思っています。

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(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]

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