2024年12月20日
#936 チェスリン コルビ 『昨日よりも上手くなりたい』
11試合に出場し3トライを挙げた1年目の昨シーズン。さらなる活躍が期待されるコルビ選手に、開幕へ向けての意気込みを聞きました。(取材日:2024年12月中旬)
◆学びのスピード
――サンゴリアス1年目はどうでしたか?
選手やクラブ、戦術など、知らない段階で来たのですが、このチームに来るのがとても楽しみでした。結果よりも求めているものは高かったんですけれど、シーズンを通して上手くいっていたと思います。外国人選手としてここに来て、オフ・ザ・フィールド、オン・ザ・フィールドの両方で学ぶことがありました。個人的に選手として成長できたと思います。
――自分の感覚としては、最初からチームにフィットしましたか?
自分としては、すぐにフィットした感じはあります。自信をつけるためにもコールや戦術など、出来るだけ早く慣れる必要がありました。サントリーのラグビーのスタイルはアグレッシブ・アタッキング・ラグビーなので、そこは私自身のスタイルにも合っていると思っています。
――日本に来て新しく得たものは?
サントリーでの練習の1週目では、プロップとロックが私の前を走っていたこともありました(笑)。そこでメンタルのチェンジをしなければいけないと思いました。ランニングについては個人的には問題だとは思っていないので、早く慣れることが重要でした。1シーズンやってチームやリーグへの理解が深まったので、2シーズン目を楽しみにしています。今シーズンも学びながら、成長しながら、チームのために自分が出来る最大限の貢献をしていければと思っています。いちばん日本人について驚いたことは、学びのスピードです。早く学んだ上で、学んだことをすぐに遂行できる早さには驚きました。
――それはどんな時に感じましたか?
昨年、チームに来た時からずっとですね。コーチがこういうプレーをやりたいと言った時に、いろいろと調整していかなければいけない中で、日本人選手は細かいディティールのところも含めて、すぐにその通りに出来ていました。
――コルビ選手も出来るわけですよね?
そうですね(笑)。成長して学んで、様々なシチュエーションに対して調整していきます。そしていかにコーチが言うことを遂行できるかですね。
◆前より1%でも良い状態に
――そうやって成長している中、今の課題は何ですか?
全てです(笑)。アタックもディフェンスもハイボールもキックもです。完全な選手だとは思っていないので、まだ学んでいる最中ですし、昨日よりも上手くなりたいと思っています。まだ完成されていないので、まだまだ学びたいですし、個人的にはそれがいちばん大事だと思います。
――以前、自分の才能をみんなに見てもらうことが楽しみと言っていましたね
ラグビーキャリアの中で、いろいろな人が今までやってきたことを見た上で、毎週毎週、観客の前でパフォーマンスすることがモチベーションになっています。チームのためにもそうですけれど、サポーター、応援してくれる人のためにという思いがあります。
――見ている方としてはいろいろな期待をしますが、いちばん見せたいものは何ですか?
サイドステップですね。みんな知ってくれていると思いますけれど、継続的にこれからもやっていくものだと思っています。トレードマークとして持っているものだと思いますが、毎回毎回、週末ごとに違う部分は見せなければいけないと思っています。今シーズンはサイドステップもそうですけれど、前の週よりも1%でも良い状態に常に持って行くことが目標ですね。
――足は速くなっていますか?
ハハハ(笑)。感触はあります。数値で出てくると良いんですが。自分に自信を持って走れる、というスピードはあります。
◆大きい選手に対応する
――いつもとても楽しそうにプレーしていますね
ラグビーは楽しいですね。「いつ引退するんですか?」というような質問も来るんですけれど、朝起きて練習に行きたくないという日がないので、ラグビーを出来る限り長いことやっていきたいと思っています。
――あらためてラグビーのどこが楽しいですか?
フィジカルのところが好きです。身体は大きくはないですけれど、大きい選手にも対応することはワクワクします。ラグビーを楽しむというところは、そこだと思います。
――子どもの頃はいたずらっ子だったような印象を受けますが、どうでしたか?
ハハハ(笑)。どうでしょうか。友だちとラグビーをやって、宿題などはやらない子どもでした。親が戻ってきた時には家に帰って、宿題をやっているフリなどしていましたね(笑)。
――そのまま大人になったような印象です
今はそんなに悪くないと思いますよ(笑)。ラグビーのキャリアを楽しんでいますし、毎週試合に出られるチャンスを楽しんでいます。
◆ポジティブになるように
――試合に出た時に、どんなことをやっていきたいですか?
チームにポジティブな影響を与えたいですね。ボールを持っている時もそうですけれど、ディフェンスの時もそうです。シチュエーションはバラバラかもしれないですが、自分が関わったシチュエーションの中で、ポジティブな結果になるようにしていきたいです。
――今シーズンの目標は?
チームとしては、決勝でプレーするというよりも、目の前のことをひとつずつ、週末の試合にひとつずつフォーカスしていくことです。全チームが優勝を目指しているのは当たり前で、決勝に行くまでの経過はいろいろとあると思いますが、まずは開幕戦のパナソニックに勝つということが目標です。個人としては、ラグビープレーヤーとして成長し続け、チームに貢献する。そして長い経験を積んでいる選手もたくさんいるので、学ぶことです。それを1試合ずつやっていきたいです。
――特に開幕戦は大切になりますか?
はい、絶対に大事です。そのシーズンの基盤になると思います。パナソニックが相手というビッグゲーム。とても良いチームが相手になるので、自分たちに集中して、その試合に向けてやっていきたいです。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:石森大雄)
[写真:長尾亜紀]