SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2011年2月14日

#231 特別編 『10番はリーダー』-2

『4人目◇トゥシ ピシ』
◆TUSI PISI(トゥシ ピシ/1982年6月18日/183cm・91kg)[通訳:松平貴子]

スピリッツ画像

【Q1】パスが来る時、パスする時、考えていることは?

バックスのアタックの陣形を考えて、キャッチしてパスするっていうことだけを考えています。本当にベーシックなことですね。

【Q2】キックする前、キックする時、考えていることは?

今シーズンはあんまりキックしていませんが、スペースはどこにあるかを考えてキックします。スペースがあってもキックしない時もありますが、それは試合のテンポや流れにもよりますし、フィールドポジションをとらなければいけない時、コントロールをしなければいけない時など、その状況を見て判断しますね。

【Q3】自分でランする時、考えていることは?

先ずは前に誰がいるかということをチェックして、ミスマッチしていると思ったら勝負します。時々、見えなくても感じるものもあるので、感じて勝負できるなと思ったらいきます。見えなくても感じるというのは、経験から得たものです。ただ成功するかどうかは別問題ですね。走ろうと思った時は走っていいのかとは悩まずに走ります。これは経験からというのもありますが、チームの流れや自信というものがついてきたのもあると思います。今シーズンは凄くチームも向上していますし、そういう所で自信もあります。今はアタックフェーズのオプションが凄くあって、そこで走れるオプションもあるので、沢山あるオプションからいちばん良いものを選んでいきます。

【Q4】どんなプレーに憧れますか?

個人的にはトライした時や、それをできるようにセットできた時ですね。チームでは今までやってきたことを継続してやることです。自分の試合に対する倫理と、今年はすごく皆が楽しんでプレーしているので、今までやってきたチームのスタイルが憧れであり、それを目指してやっていきたいです。 毎日フィットネスなどタフなトレーニングをやっているのに、試合に出てキックしても面白くないので、今まで一生懸命やってきたスタイルを試合でもちゃんと継続して出せるようにしたいです。今後もサントリーは監督が替わろうが、このスタイルを変えないと思うので、ここに来る人はここのスタイルに合わせなければいけないのです。

東芝はフィジカルとディフェンス、三洋はキックとディフェンスがそれぞれのスタイルで、彼らもこのスタイルは変えないと思います。私がここでやりたいのはアタック、攻め続けることで、そのサントリーのスタイルは誰が来ても変わらないのです。ここに来たら、来た人がそれに合わせなければならないのです。

スピリッツ画像

【Q5】スタンドオフになったのはなぜ?

小さいときにスタンドオフもセンターもやっていました。ここに来て、スタンドオフに見られたのかな、と感じています。やっぱり試合に出たいので、試合に出るためには何でもやります(笑)。

【Q6】スタンドオフの魅力

逆にスタンドオフの魅力的じゃない部分はどこですか(笑)。スタンドオフは毎回ボールにタッチできますし、プレーのコールも言えたりと、チームをリードするポジションなので、魅力的じゃないことがないです。だから小さい子供たちは、みんなプロップというよりもスタンドオフに憧れると思います(笑)。

【Q7】自分の性格は?

結構大人しいですね。けれどファンと交流したり、サポートしてもらっているサントリーの人々と交流することは良いことだと考えています。それにサントリーに来たのは、ラグビーという仕事をするためなので、フィールド外でもファンサービスやラグビーの普及活動など、そういうことを通してサンゴリアスのイメージを上げる活動もしていきたいと思っています。ただ性格は大人しいですけど、いつも選手たちと冗談を言い合っていますよ(笑)。フィールドの中では、たまには冗談を言いますが、本当に真剣にやっています。

スピリッツ画像

『5人目◇ピーター ヒューワット』
◆PETER HEWAT(ピーター ヒューワット/1978年3月17日/191cm・101kg)[通訳:松平貴子]

スピリッツ画像

【Q1】パスが来る時、パスする時、考えていることは?

まずは、両手でキャッチすることを考えて、まっすぐ走って、パスする時はちゃんと味方の胸にいくようにパスをします。基本ですが、それを常に忘れずに行っています。あんまり考えすぎるとプレーもよくなくなってしまう傾向があるので、このようなスタイルが自分には合っています。

【Q2】キックする前、キックする時、考えていることは?

ジョニー・ウィルキンソン(イングランド代表/スタンドオフ)はキックの練習を沢山練習するんですね。ただ私の場合は、もし良いキックをしていれば、キックの練習はそれで終わりにします。しかし、もし悪い場合でもそれで終わりにして次の日にやり直すようにしていますね。それでまた悪かったらまた次の日に練習をやって、それでキックが良かったら、終わりにします。そのままその場所にいすぎると、なんで悪かったのか、逆になぜあの時は良いキックができたのかなどと考えすぎて混乱してしまうんです。

日によってキックの調子が変わりますが、悪い時でも2、3個ミスするくらいです。例えば、ボールを手で落としてキックする時や、少し違うフォームでキックをしてしまうことがあります。テクニックの面だったらそれはどうしたらいいのか考えますが、それ以外の場合はもうやめて次の日にやります。テクニックかそうじゃないかは、昔のビデオを見たりして自分で判断します。若い時はキッキングコーチがいたので判断して貰いましたが、今は自分で出来るようになりました。 

【Q3】自分でランする時、考えていることは?

スペースを見つけてそこに走ります。スペースがあったら自分から走りますし、また相手を自分に引き付けてスペースを作って、そこに誰かを走らせることもあります。

【Q4】どんなプレーに憧れますか?

チームがオフェンス、ディフェンスともに良く機能してプレーしているということは、10番(スタンドオフ)として機能しているということになります。なので私は、10番として上手く機能することが憧れです。10番というのは重要なポジションで、リーダーでありコミュニケーターであるので、個々のプレーというよりはチームとしての動きに重きを置いています。チームが機能していなかったり、良いプレーをしていなければ、9番(スクラムハーフ)や10番が上手くリードをしていなかったことになり、チームが上手く機能をしていたということは10番がいいプレーをしていたという証拠になります。だから9番とのコミュニケーションは重要です。サンゴリアスには良い9番がいるので、みんな良いコミュニケーションがとれています。

スピリッツ画像

【Q5】スタンドオフになったのはなぜ?

15番(フルバック)や14番(ウイング)をしていた時に、いつもファーストレシーバーに行くことが好きでした。また海外でもシーズンを通して10番をやっていました。歳をとっていくごとに10番が自分のポジションであり、合っていると思うようになりましたね。経験も豊富になってきましたし、リーダーシップとか、ラグビーの試合の知識も高くなってきているので、そういった面を含めてスタンドオフになりました。

【Q6】スタンドオフの魅力

ボールを沢山触ることが出来ることと、常に試合に関わってコントロール出来ることですね。

【Q7】自分の性格は?

結構安定しているタイプで、混乱もせずにプレー出来るのでスタンドオフに合っていると思っています。15番などはこれをやる、といったプレーをしなければならないのですが、10番だと自分がコールしてプレーができます。経験も豊富になり、試合の理解度も高くなってきて、知識もあるので、今ではその知識などをコールしてプレーすることが良いと思っています。

私は考え方がシンプルと言われますが、人はそれぞれ違って、私にとってはこれがいちばんベストでした。テクニカルにこだわる選手もいますが、私はただプレーするだけですね。若い時とかは試合中に考えすぎてしまうこともありました。けれど、オーストラリアではラグビーボールと一緒に育ったようなもので、キャッチやパスは自然にできてしまうので、そういう細かいことをあんまり考えすぎずにプレーをすることが私にとってはベストです。ただしそう思えるようになったのは24、25歳くらいの時、そうなるまで時間がかかったのは確かです。サンゴリアスの若手選手や曽我部選手にも、改善したらいい部分などを教えて、成長するお手伝いをしてあげたいです。

スピリッツ画像

スタンドオフに共通して言えるのは、誰もが基本を意識し、基本に忠実であろうとしていること。そうした上で、"距離"を克服し、"距離"を活用してプレーする。一見派手に見えるスタンドオフだからこそ、基本がしっかりとしたプレーをしなければ、いちばん大事な信頼感を得ることができないということでしょうか。見た目が"鮮やかなプレー"の裏には、"地道なプレー"の積み重ねがあるということが、今回のインタビューでよくわかりました。

(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

一覧へ