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初心者も楽しめるラグビーコラム

2017年11月 8日

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『ありがとう、ヒューイ!』

こんにちは!カメラマンの長尾亜紀です。

先日チームからもアナウンスがありましたが、ピーター・ヒューワットバックスコーチが、スーパーラグビーに属するオーストラリアのACTブランビーズのコーチ就任のため、選手時代も含め7年半在籍したサンゴリアスを去ることになりました。

チームメイトからはヒューイと呼ばれ、サンゴリアスメンバー全員からの信頼が厚かった人です。

こちらは菅平合宿中の一コマ。夕食後、バックスメンバーの選手ミーティングで。

時には、フィットネストレーニングも選手と一緒にこなす姿も見られました。

トレーニングや試合中の厳しい表情とは違い、こんなお茶目なシーンも。トレーニングが終わった後、雪玉を誰かに当てようと狙う姿や・・・

全体練習後のトレーニングルームで、当時流行っていたテレビCMのダンスを踊ってみたり。

ヒューイが現役時代に一緒にプレーした選手、コーチになってから入団した選手、特に関わりの深かったバックス陣に話を聞いてみました。

ヒューイがコーチとして1年目の2013年に入社した中靍隆彰選手は「いつもポジティブで、僕が自信なさそうにしている時も『ヅルは出来る』って言ってくれて、褒めて伸ばしてくれるコーチでした。試合の週の木曜日とかにディフェンスの練習に付き合ってくれて、それが試合前のルーティーンになっていました。昨シーズンが終わった後に聞いた話ですが、その年の最初は試合に出られなくて、今年はもう出られないんじゃないかと思っていた時もヒューイが『ヅルはいいから』って推してくれていたっていう事を聞いて、試合に出られたのもヒューイのおかげだと思っています。

サンウルブズで海外遠征に行っていた時も、試合の後に良かったこととかをLINEしてくれたりして、常にコミュニケーションをとってくれるコーチでした。2年目のシーズンは開幕から出られていたんですが、シーズン終盤でメンバーから外された時に食事に誘ってくれたり、いつも気にかけてくれていました。(ヒューイにとってサンゴリアス最後の試合だったトップリーグ9節の)パナソニック戦に勝てなかったですし、ヒューイは負けず嫌いなのですごく悔しかったと思うので、次は勝って優勝するのが一番喜んでくれることだと思います。そこで結果を残して、サンウルブズに選ばれて、来シーズンのスーパーラグビーでブランビーズと対戦出来たらいいですね」

選手としても一緒にプレーしたことのある村田大志選手は印象深いこととして「ヒューイの選手時代では、僕が2年目でヒューイが現役最後の年ですかね。ヒューイも春からずっと、どちらかというとメンバー外の選手で、自分もまだ2年目で試合に出られず一緒にやっていた時も、ヒューイはベテラン選手でしたけど若手をすごく盛り上げてくれて『ここにいる(若い)メンバーが試合に出て盛り上げなければいけない』って言って一緒になってやってくれて、結果自分はその年の最後試合に出られて優勝の瞬間にグラウンドにいられたので、選手として若い時期に一緒にプレーできて成長させてもらえたのが一番の思い出ですかね。ヒューイがコーチになってからはなかなか勝てない時期が長くて、ヒューイもコーチになりたてで難しい部分もあったと思うし、一緒に頑張っていく中で言い合うこともあったんですが、昨シーズン久々に優勝できたその瞬間は、一緒にいろんな思いを共有できていたので嬉しかったですね」

どんなコーチだったかの問いには選手のモチベーションを上げたり、明るい雰囲気を作るのが上手いコーチだと思います。スキルのコーチングも上手いとは思うんですが、どちらかというとバックスのユニットとしての雰囲気を作るのが上手かったかなと思いました。ヒューイ自身が選手にもっと話してほしいと思うタイプだと思いますし、色々話し合いをしながらどうやったらもっと良くなっていくかを考えたいタイプだと思うので、話しやすい雰囲気は作ってくれていたと思います。自分がサントリーで育ってきた過程で、育ち盛りの大事な時期に選手としても一緒にプレーできて、自分のことも気にかけてくれていたと思うので、それで自信が持てたことがこうして長くラグビーが出来ている大きな要因にもなっていると思います。コーチになってからは苦しい時期も楽しい時期も一緒に過ごせたことが嬉しかったですし、本当に感謝しています」

今いる選手の中では、一番一緒に試合に出ているかもしれないという宮本啓希選手は「僕が2年目の時にヒューイがサンゴリアスに来たので、選手としては3年一緒にやってます。選手として一番の印象は本当に賢いプレーヤーでしたね。スキルを使っていかに相手をだまし抜こうとするかを常に考えている印象があって、ズルさも賢さもある感じでした。ナレッジの部分も含め、一緒にやっていて面白いなと思った印象はあります。コーチとしては感情の浮き沈みがなくて、常に冷静に物事を見られる人だと思うので、それがコーチングにも出ていたんじゃないかと思います。選手一人一人の長所と短所を考えた上での話しかけ方とか一定していましたけど、たまに怒ることがあってその時のインパクトはありましたね。1週間を通して同じことを繰り返し言ったりした時に怒った印象がありますが、バランスを保って人と接したり物事に取り組むところは器用な人だなと思います」

あとこれはコーチングにも繋がると思うんですけど、コミュニケーションの能力が高いと思うんです。選手の時も大きな声じゃないけど、横にいる選手に対する声の掛け方とかもすごく上手で、そういうことも考えながらプレーしていたんだろうなという印象があります。プライベートでは、いつも周りを楽しませようとしている部分はみんなも感じていたと思うし、ヒューイが暗くしているところはあまり見た事がないので、ブランビーズに行ってもそんなヒューイの人間性が活かせるだろうと思います。正直、まだヒューイがグラウンドにいない事に違和感があるんですけど、物事を柔軟に考えられるところは強みだと思うので、ここで得たものを生かして素晴らしいチャレンジにしてほしいと思います」

最後に、ヒューイからファンの皆様にメッセージをいただきました「これまでの8シーズンの皆様の温かいサポートありがとうございました!皆様の情熱たっぷりの大きな声援は一生忘れません。
残りのシーズンも引き続き皆様の盛大なる声援を宜しくお願い致します。ゴーゴーサンゴリアス!!」

ヒューイはいつも明るくて、会うと元気をもらいました。
それは奥様も3人の子供たちも同じで、ヒューワット家はサンゴリアスみんなから愛されていましたし、きっとヒューイたちも同じくらいサンゴリアスを愛してくれていたと思います。
選手たちから話を聞けば聞くほどさみしくなってしまいましたが、ヒューイたちの新たなチャレンジを心から応援したいと思います。

ちなみにブランビーズは、来シーズンのスーパーラグビー・サンウルブズのシーズン初戦で来日します。2月24日には、秩父宮でまたヒューイに会えます。
それまでにサンゴリアスからは、優勝という最高のプレゼントをヒューイに届けてほしいですね。

サンゴリアスオフィシャルカメラマン 長尾亜紀

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