CLUB HOUSE

クラブハウス

サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2013年6月27日

サンゴリアス ラグビー大辞典 #070 『2番』

サンゴリアスやラグビーを語る上で、必ず出てくるラグビー用語やサンゴリアス用語。そんなワードをサンゴリアスのあの選手、あのスタッフならではの解説で分かり易く解説するコーナーです。
 
 
「2番」(解説:青木 佑輔)
 
 
フッカーです。セットプレーを常に始める人です。スクラムでは9番が入れたボールをフッキングしなければいけないし、それ以前にスクラムを第1列の真ん中で組みますし、ラインアウトではフッカーが投げなければ始まりません。結構、責任重大なポジションだと思います。
 
ラインアウトでは実際は「2番が投げなければいけない」というルールではなくて、誰が投げても良いんですが、自分がラグビーを始めた時から、2番が投げていました。
 
スローインは難しいんですが、いつも通り投げること、自分の決まったルーティンを崩さないことが大事です。僕のルーティンは、ラインに立って真っ直ぐ手を伸ばして、しっかり構える。真っ直ぐ手を伸ばしたところから後ろに引いて、投げるのというのがルーティンです。
 
一番大切なのは精神状態で、1回ミスしてしまうと、次に投げるのが怖くなってきたりとか、1試合を通して大きなミスがあると、次の試合がちょっと怖くなってしまったりします。そういう怖い気持ちを、1週間しっかり練習して、失くすということが大事だと思います。自信を持って試合に臨むことが大事です。
 
ミスをした次の週は、かなり練習をしないと、自分の気持ちも落ち着きません。全体練習でもやるし、誰かつかまえて個人でもやるし、1人でも投げます。自分の怖い気持ちを隠してやっているというよりも、「いま調子が悪いから、ちょっとつき合ってくれない?」という感じで、人にちゃんと気持ちを伝えた方が誘い易いですね。

 
投げるボールのスピードは、ポジションによって違います。距離、スピード、ボールの軌道を変えますし、受け取ってくれる人でも違います。ジャンパーのスピードが違うんです。例えばシノ(篠塚)と真壁で比べるとダントツでシノが速いですし、真壁は「速いボールではなくて、ちょっと優しく投げた方がいいな」とか、「キャッチできたらすごく誉めてあげた方が真壁はテンション上がっていって伸びるな」とか、そういうところにも気を遣っています。そこはちょっとだけ気を遣えば良くなるところです。
 
2番で一番大事なことは、周りとコミュニケーションを取ることだと思います。スクラムもそうですし、ラインアウトは自分の感覚で投げていても、相手がいてのことなので結構難しいところがあります。リフティングが上がってない時にも、上がってないとは言えないので、「今のどう?」と聞いたり、逆にシノも「ちょっとボールが速いんじゃない?」とか「高すぎるんじゃない?」とか言ってきます。
 
でもジャンパーも自分が上げられていて、「上がっていないな」と分かっているので、「今のボール良いよ」とか「タイミングは良いけれどリフトがダメだから、気にするな」とか言ってくれます。結構、見ている人はスロワー(投げる人)のせいに見られがちなんで、お客さんにもスタンドから「何やってんだ」と聞こえてくることもありますが、僕自身は投げていて「感覚は良いのにな」と思うこともあるので、すべてがすべてスロワーのせいではないんです。
 
ですから自ら自分だけにどんどん責任を持ってくるのではなくて、ダメな時にはダメと認めて、そうじゃなくてリフトが上がっていなければ「リフトが上がってないんじゃない?」と言ったり、「今のサインはこの場面ではないんじゃない?」と言った方がいいですね。

 
フッカーはセットプレーを安定させるのが第一だと思うので、フィールドプレーよりもまずはセットプレーを一番に考えてやっています。スクラムとラインアウト、両方とも100%出さないといけないと思ってやっています。でも感覚が違って、スクラムは相手とぶつかり合って、メンタル的にも落ち着いては組めません。「やってやろう」って気持ちでやります。ラインアウトは逆にリラックスして、いつも通り落ち着いてやらないといけないので、しっかりメンタルを切り替えています。
 
2番の面白さは、ラグビーという競技の中でいろんなことをやらなければいけなくて、スクラムという種目もラインアウトという種目もやらなければいけないので、いっぱいやることがあるところです。逆に言えばストレスになることも多くて、昔はラインアウトやスクラムがなかったら「もっと動けるのになぁ」「考えることも少ないのになぁ」と思ったりもしていました。今は全てやらなければいけないのが面白さだと思っています。

一覧へ