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サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2013年1月18日

サンゴリアス ラグビー大辞典 #024 『コンディショニングコーチ』

サンゴリアスやラグビーを語る上で、必ず出てくるラグビー用語やサンゴリアス用語。そんなワードをサンゴリアスのあの選手、あのスタッフならではの解説で分かり易く解説するコーナーです。
 
 
「コンディショニングコーチ」(解説:若井 正樹 / コンディショニングコーチ)
 
 
コンディショニングコーチというのは、選手個人個人のコンディションをゲームに向けてピークを持っていくことと、チーム全体のコンディションのレベルを上げていくためのコーチです。コンディションとは何かと言えば、フィジカルのパフォーマンスです。
 
今はいろいろ仕事を分けてやっていますが、フィットネスしかり、スピード、シャープネス、そしてローディングです。ローディングというのは、練習の負荷のかけ方のことです。トレーニングしなければいけないですし、試合が終わったらリカバリーをして次の試合に向けた準備が始まるんですが、そこでローディングというのが、非常に大切になってきます。
 
チームのローディングがあり、個人のローディングがあって、選手1人ずつ見ていかなければなりません。47選手を1人ではカバー出来ませんので、サントリーでは今、S&C(ストレングス&コンディショニング)部門にアシスタントを含めて3人いて、それぞれが担当する選手がいます。
 
みんなが同じようにパフォーマンスを上げていけば良いんですが、人間ですからメンタルもあればフィジカルもあれば感情的なところもあって、いろいろ合わさってピークというものをゲームに持っていくのが目標ですから、しっかりした準備をしなかったら良いゲームは出来ないですし、同時にやり過ぎたら怪我人が多く出てしまいます。
 

 
今年は例年と比べたら怪我人が少ないと思います。過去3年間のデータが蓄積されていますし、コーチも過去3年間そういう経験をしているので、コーチとの間での微調整を行います。強度と量があるので、そこを上手くコントロールしながらやっていきます。強い強度のものを高ボリュームで続けていったら壊れてしまいますし、しっかりとしたトレーニングをして準備しないといけません。試合が100だとして、準備では100以上やります。
 
どんなにフィットしていても、結局は自分の頭で命令して「そこに行きたい」だから走る、というのが人間なので、その命令の部分が自分に出来なくなったら、どんなに良い体で良いフィットネスを持っていても動きません。初めに準備しなければいけないのは、良い体、良いフィットネスですが、「それを試合で使いましょう」というところに持っていく訳です。良い体で良いフィットネスというのはサントリーの武器ですから、試合で使わなければ宝の持ち腐れですし、使えば必ず相手が先に疲れます。だからサントリーはハードワークをして、その武器を失くさないようにしています。
 
ずっとハイテンションではいけませんから、試合に向かって良いフォーカスをして、良い集中をして、トレーニングを激しくやって、そうすると心の準備も伴ってきます。監督をはじめとするコーチングスタッフ全員が、選手にいかに良い準備をさせるか。人間は準備が不十分で何かをしようと思うと、普通だったら仕事でも他のスポーツでもそうだと思いますが、テンパり始めると思います。ですからスタッフが良い環境を作って、選手に良い準備をさせて試合に臨ませるということが、サントリーがずっと続けてきていることです。今年はさらに「もっと良い準備をさせよう」「もっと良い環境で集中させよう」ということをやっています。
 
コーチも前の日の練習の良かったところ、悪かったところをレビューし、悪かったところは次にどうすれば良いか、レビューと改善を継続しています。先週はどうだったか、今週はどうなのか、ローディングはどうか、走る距離は上手くいっているのか、強度は大丈夫なのか、誰かドロップアウトしていないか、それの繰り返しです。大変ですけれど2冠を獲るためには、昨日よりも今日が良くないといけない、今日よりも明日が良くないといけない、失敗したらなぜ失敗したか、2度と同じ失敗は犯さない、そうやって繰り返しています。
 
コンディショニングコーチのコンディション(笑)は、早くクラブハウスを出られる時には温泉に行って1時間、サウナに入って風呂に入っています。1日休みがあったら、子供と一緒に遊んで、そんなもんですね(笑)。
 
普通の日は早朝からクラブハウスにいますが、他のチームと同じことをやっていたら勝てません。それがシーズン終わるまで続きます。ただ選手に本当にタフなメニューを出してやらせているので、それ以上にコーチが働かなければ、絶対選手はついてこないと思います。僕が選手で口だけのコーチだったらだったら絶対嫌ですから(笑)。選手に文句を言われずに厳しいメニューを科すためにも、コーチが選手以上にタフでいないといけないと思います。

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