CLUB HOUSE

クラブハウス

サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2008年7月11日

「少年サンゴリアス」 Vol.14 尾崎 章
『ザリガニ』

少年サンゴリアス 尾崎章写真1

小学校2年生のころ、授業でザリガニの生態を知ろうということでザリガニを飼っていました。クラスのみんなで飼育していたのですが、夏休みが始まるので「誰かが飼わなければいかない」という話になって、「誰か家で飼育してくれますか?」と先生が聞いたので、僕は「ハイ!!」って手を挙げて、家に持って帰りました。

ザリガニなので、クラスのアイドル的存在な訳です。ところが夏休みですから、ほっておいちゃう訳ですよね。それである日、死んじゃっていて、どうしよう?と思いながらも夏休みは過ぎ、いよいよ夏休みも終わって2学期が始まるという時に、親がアメリカザリガニをペット屋さんで買って来てくれたんです。これまでのザリガニとは比べものにならないぐらい立派で、似ても似つかないんです。

少年サンゴリアス 尾崎章写真2

それを持って学校へ行ったらちゃんと言おうと思っていたのですが、なんだか言い出せずにいたら、そのアメリカザリガニをみんなが見て「スゲーッ」とか言ってるんですよ。こっちはもう「おぅ、これ育てたんだよ」とか言うしかないんです。真っ赤でロブスターみたいにメチャデカイんですよ。強暴ですし。飼育していたザリガニは茶色っぽくて小さいやつです。

それで終わったかなと思っていたら、先生に放課後のちょっと前に呼び出されて、「実は昼休みにお父さんが来られて、事情を説明してくれました」「はぁ、すみません」ということで、「みんなの前で言える?」「はい」「じゃあ頑張って言おうね」「はい」となって、放課後の帰りの会でみんなに言いました。先生は上田先生という女の先生で、女優の内山理名さんに似ている先生でした。

みんなに「すみませんでした」と言ったら、「こっちの方がデカイし強いし、いいじゃないか」と言ってくれました。僕はもう号泣です。「ごめんなさい」というのと、みんなのあたたかさの、両方で号泣でした。

少年サンゴリアス 尾崎章写真3 少年サンゴリアス 尾崎章写真4

一覧へ