第72回黒鷲旗 全日本男女選抜バレーボール大会(準決勝)
- 開催日時
- 2024年5月 5日(日) 17:05
- 会場
- Asueアリーナ大阪

3
- 25-21
- 25-21
- 25-21
WIN
0

試合経過

黒鷲旗全日本選抜バレーボール大会準決勝。Vリーグ優勝に続く二冠を狙うサンバーズは、東レアローズと対戦した。
第1セットは柏田のブロックやスパイクで3-0とスタートダッシュに成功。藤中謙のスパイクやアラインのパイプ攻撃を中心にサイドアウトを重ねていく。中盤にはアラインのサーブで崩し、鬼木がダイレクトスパイクを決めて14-10と点差を広げる。スパイクミスが出たり、ブロックに捕まり18-17と追い上げられるが、ムセルスキーのブロックで失点を止めると、そのムセルスキーのサービスエースで20-17と再びリード。東レは強力なサーブで攻めてくるが、サーブレシーブ陣が踏ん張って大きく崩れることなく、終盤もムセルスキーや藤中謙のスパイク、柏田のクイックなどで得点を重ね、セットを先取した。
しかし第2セットは東レのサーブに崩されて切り返されたり、ミスが出て2-5と先行される。ムセルスキーが東レのクイックをシャットアウトするなど、3本のブロックを重ねて追い上げるが、中盤、東レのブロックで10-14と再び引き離された。それでも、リリーフサーバーの髙橋が強烈なサーブを放ってチームに火をつけると、堅いブロックとディグで粘り、アラインが立て続けにスパイクを決めて17-18と追い上げる。
終盤には、アラインが破壊力のあるサーブを次々に打ち込み、藤中謙がブロックで仕留めたり、鬼木が巧みにダイレクトスパイクを決めて20-19と逆転。さらにアラインはサーブで攻め続け、ムセルスキーの巧みなフェイントで得点につなげ22-19と引き離した。その後も藤中謙のブロックやスパイクで引き離しセットを連取した。
終盤のサーブについて、アラインは「あの時はビハインドだったので、サーブで攻めるしかなかった。しかもディマ(ムセルスキー)が後衛にいてブロックも弱かったので、サーブレシーブを崩したほうが、ブレイクを取りやすいから。サーブが入ってよかった。本当はエースを取るつもりだったけど(笑)」と振り返った。
第3セットは柏田のブロックで好スタートを切ると、ムセルスキーのカウンターアタックで2-0と先行。ムセルスキーの強力なサーブで崩して鬼木のブロックで仕留めたり、エースを奪い5-1とリードした。ところがその後、東レのブロックに捕まって追いつかれ、サーブに押されてカウンターアタックを決められたり、ミスが出て7-9とリードされた。それでも、大宅のサーブで崩し、ムセルスキーがダイレクトスパイクを決めて追い上げる。柏田が強烈なBクイックを決めて流れを引き寄せると、藤中謙の好守備をムセルスキーが得点につなげて13-13と追いついた。
さらに、ムセルスキーのサーブで崩し、アラインやムセルスキーがブレイクにつなげ15-13とリード。東レの強烈なサーブでエースを奪われ追いつかれるが、終盤、大宅のサーブで揺さぶり、藤中謙が相手のクイックをシャットアウトして20-18と再び抜け出す。さらに、リリーフサーバーの西田が緩急をつけたサーブで揺さぶり、藤中謙の好守備をアラインが得点につなげたり、相手にミスが出てリードを広げ、ゲームセット。
セットカウント3-0で勝利し、2年連続の決勝に進出した。
それぞれが役割を果たして勝ち取った勝利だ。東レが強力なジャンプサーブで攻めてきたが、藤中颯、藤中謙、アラインのサーブレシーブ陣がエースを1本に抑えて踏ん張った。逆にサンバーズもムセルスキーやアラインの威力のあるサーブからブレイクを奪い、セット終盤にはリリーフサーバーとして西田や髙橋が好サーブを打ち込んだ。
第2セットはビハインドの停滞ムードの中、髙橋が相手コートの角に強烈なサーブを打ち込んだ。直接ポイントにはつながらなかったが、チームの目を覚まさせるような1本で火がつき、その後、アラインのサーブからの逆転につながった。髙橋はこう振り返る。
「やっぱりピンサー(リリーフサーバー)が一番、流れを変えられるポジションだと思うので。今大会まだチームの流れを変えるまではできていないと思っているんですけど、自分のサーブ的にはすごくいい感覚で、スタッフの指示通りに打てている。すごくいいコンディションと、いい緊張感の中、楽しみながらできています。Vリーグ中はまだ探りながらでしたが、体の持っていき方だったり、やっとリリーフサーバーというものをつかめてきたかなと感じます。今大会はほぼ全部のセットで出させてもらっているので、信頼を得られているというのはすごく感じます。もちろんアウトサイドで出たいですけど、リリーフサーバーというポジションもすごく大事なので」
第3セット終盤には西田が、鋭いハイブリッドサーブとフローターサーブで緩急をつけて揺さぶり、3連続ブレイクにつなげて勝負を決定づけた。「相手のこのゾーンに、ハイブリッドサーブで」というふうに、ベンチからはサーブのコースや種類の指示が1本ごとに出て、それをその都度正確に実践している。
「今シーズン最後の大会だから、楽しんで、みんなと一緒に盛り上がろうという気持ちでコートインしました。第3セットの1本目は重藤選手を狙って、2本目はゾーン5にハイブリッドを打つようにと言われて、気楽に打とうと思いました。『いいサーブを打とう』と思いすぎるとどうしてもミスにつながるというのは、今までの経験で学んできたことなので。あえてその時の状況を楽しんで、今の状態でどれだけできるかを眺めるぐらいの感覚で臨んでいます」と西田は言う。
たとえサーブでの出番がなくても、試合開始からゲームセットまで、アップゾーンで絶えず声を張り上げ続けてきた。
決勝の相手は、Vリーグファイナルと同じパナソニックパンサーズ。今大会限りで退任する山村監督にとって最後の試合、そして今のメンバーで臨む最後の戦いとなる。
「最後、みんなで"ONE SUNBIRDS"となって戦い抜きます」と西田。
それぞれのチームへの献身が、もう一度報われるまで、あと1勝だ。