試合日程・結果

GAME

2024-25 大同生命SV.LEAGUE 3月29日(土) ヴォレアス北海道戦

開催日時
2025年3月29日(土) 13:05
会場
Asueアリーナ大阪
サントリーサンバーズ大阪
サントリーサンバーズ大阪

3

  • 20-25
  • 25-21
  • 25-16
  • 25-13

WIN

1

ヴォレアス北海道

試合経過

2024-25大同生命SV.LEAGUEレギュラーラウンドは残り3節。3位からさらに上位を狙うサンバーズは、10位ヴォレアス北海道とホーム・Asueアリーナ大阪で対戦した。

 第1セットは相手のブロックやサービスエースで2-6と出遅れたが、藤中颯がスタンドまで懸命に追って繋いだボールが相手コートに落ちて7-8と追い上げる。髙橋藍の好守備からアラインがスパイクを決めて追いつくと、髙橋藍のサーブで揺さぶり、佐藤が得点に繋げ10-9と逆転。ムセルスキーのスパイクやブロックでブレイクし13-10とリードした。しかしヴォレアス鍬田のサーブに崩されたり、ブロックに捕まり16-17と逆転される。ヴォレアスのブロックと守備は堅く、サンバーズはこのセットだけで7本ものブロックポイントを許し、スパイクミスも響いてセットを落とした。

 第2セットも先行されるが、サンバーズは藤中颯がコートの外まで追って繋いだボールを正確なトスにして、ムセルスキーがブロックの上から次々にスパイクを決め9-7とリード。ムセルスキーのブロックなどで12-8と点差を広げた。ヴォレアスのブロックで追い上げられるが、ムセルスキーがコートエンドにノータッチエースを決め15-12と再び引き離す。追いつかれても、アラインの強烈なスパイクでブレイクして20-18と再び抜け出し、髙橋藍がショートサーブでエースを奪ってリードを広げ、セットを取り返した。

 第3セットは鬼木、柏田のブロックなどで5-3と先行。柏田の鋭いクイックやムセルスキーのバックアタックなどでサイドアウトを重ねる。ヴォレアスのブロックなどで逆転されるが、鬼木が相手のパイプ攻撃をブロックして12-11と逆転すると、髙橋藍が強烈なサーブを立て続けに打ち込んで崩し、ムセルスキー、アラインのブロックで14-11とリードした。鬼木のサーブで崩し、柏田のクイックやブロックなどで3連続ブレイクして18-12とリードを広げ、セットを連取した。

 セット終盤には、今季限りで勇退する西田がリリーフサーバーとして今季初出場。ヴォレアスにレンタル移籍している鍬田を狙い、鍬田はそのサーブをしっかりと返して自らスパイクを決めた。西田と2つ年下の鍬田は、小学生の頃から同じチームに所属した長い付き合い。

「あえて狙いました。長年一緒にやってきたので、もう思いっきり(鍬田)憲伸に打ったろうと思って」と西田。

 第4セットは、大宅のサーブで崩し、ムセルスキーが得点に繋げ9-7とリード。中盤には髙橋藍が強力なサーブを打ち分け、2本のサービスエースやムセルスキーのブロックなどで5連続ブレイクを奪い15-8と一気に点差を広げた。終盤にはリベロ喜入の好守備をアラインがブレイクに繋げ20-10と大差をつけた。

 その後、大宅に代わり、今季限りで勇退する鳥飼がコートに入ると、鳥飼がブロックでチャンスを作り、髙橋藍のブロックでラリーを制し23-11とさらに引き離す。西田もコートに入ると、マッチポイントで西田が託したトスを、鳥飼がライトから決め、試合を締めくくった。

 この日高いスパイク決定率を残し、2本のブロック、4本のサービスエースも決めチーム最多の19得点を挙げた髙橋藍は、「1セット目を取られる展開でしたが、しっかりと立て直し、自分達のペースでバレーができたのは、修正力があるということ」と納得の表情だった。

 特に第4セットは髙橋藍のサーブから5連続ブレイクを奪い一気に点差を広げた。

「今日は勇退セレモニーもあって、その選手(鳥飼、西田)を出してあげなければということも頭にあったので、余裕を持った展開を作ることも非常に重要でした。そういう中でサーブを攻めて崩していくというところにしっかりフォーカスできたので、それは非常に自分にとっても自信に繋がりました」と振り返る。

 髙橋藍がサンバーズに合流したばかりの頃、チームのムードメーカーである鳥飼と西田は積極的にコミュニケーションを取ってくれたと振り返る。

「特に(鳥飼)アトムさんとは一緒に過ごす機会が多くて、お兄ちゃんみたいな存在でした(笑)。自分がわがままを言ったり、ちょっかいをかけやすかったりして、居心地のよさがありましたし、アトムさんがそういう環境を作ってくれた。短い期間でしたけどすごく楽しかったので、一緒にコートに立てたのは感慨深いところがありました」

 鳥飼は「僕も藍に対しては特別な思いがあります。彼はプレーは本当に一流で世界トップクラスなんですけど、年齢で言えばまだ全然若いじゃないですか。でも最前線でチームを引っ張ってくれて、むちゃくちゃストレスもかかっていると思うので、少しでも寄り添うというか、気が紛れたりしてくれたらいいなと思って。彼はプレーヤーとしてもすごいけど、何より僕は人として好きですね。本当に気が合うんです」と明かす。

 鳥飼は第4セット終盤にコートに入り、試合を決める最後のポイントを奪った。

「緊張しましたけど、サンバーズのメンバーを見てると......みんなめっちゃ好きなので、楽しかったです。もうちょっと(いいスパイクを)いけたかなと思うんですけど(苦笑)、でもここまでやって来られたんで、一切悔いはないです」と言い切った。

 最後にその鳥飼にトスを上げた西田は「全部アトムさんに上げようという気持ちで入った。最後ちょっとトスが悪かったんですけど、アトムさんが頑張って決めてくれた。気持ちよく打たせてあげられなかったのはちょっと心残りですけど、2人でコートに立てたことは本当に感謝しています」と振り返った。

 西田は2021-22シーズンにどん底を味わった。「それまで簡単にできていたプレーがある日突然できなくなって、バレーするのが怖くなり、バレーボールすら見たくなくなる時期がありました。練習から帰って、部屋で泣いたこともある。たぶん自分自身の実力を疑っていたからじゃないか。大宅選手はすごく上手いし結果も残している。その二番手としてプレッシャーもあったんじゃないかと思います。でもそういう経験をして、どん底からのはい上がり方を知れたことが僕の強みです。メンタルトレーナーにコーチングしてもらって、自分に対する偏見を変えて、『自分はできるんだ』と思い込むことから始まりました。『できる役割をその日やり切る』ということは毎日モットーとしていました」

 コートに立つ機会は少なくても、ベンチから常に味方を励ます声をかけ、観客も巻き込んでチームメイトの背中を押した。その存在に一番支えられていたのは、正セッターの大宅だった。西田への熱い信頼を、大宅はこう語った。

「同じポジションなので、最初は『負けたくない』という気持ちが強かったけど、ずっと一緒にやっていく中で、すごく試合中に声もかけてくれるし、今では本当に一番セッターとして信用できる選手。2人で作ってきたものが大きいので、僕にとって今サンバーズでバレーをやる以上は欠かせない存在です。世界クラブ選手権でも本当に助けてくれましたし、僕が代表に行って抜けた時には黒鷲旗でしっかり優勝してくれた。そこはあいつの財産にもなっていると思います」

 試合後の勇退セレモニーでは、鳥飼は同期の佐藤に、西田も、柏田と昨年勇退した髙橋結人に花束を渡された。

 だがこれで終わりではない。2人は今シーズンの最後、5月のアジアチャンピオンズリーグまで共に戦う。

「試合に出ているメンバーの支えに。そこはブレずに最後まで貫き通したい」と鳥飼。

 2人と共にSVリーグ初代王者に、そして二度目のアジアチャンピオンになって送り出す。全員の想いは一つだ。

2024/25シーズン

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