2023-24 V・ファイナルステージ セミファイナル
- 開催日時
- 2024年3月24日(日) 12:05
- 会場
- 大田区総合体育館

3
- 25-20
- 25-21
- 23-25
- 25-23
WIN
1

試合経過

V.LEAGUE DIVISION1 セミファイナル。レギュラーラウンド2位のサンバーズは、前日のクォーターファイナルでウルフドッグス名古屋を破って勝ち上がった東レアローズと対戦した。頂点まであと2勝。一発勝負の戦いが始まった。
立ち上がりはアライン、ムセルスキーのスパイクで攻撃のリズムを作る。東レのオポジット、パダル・クリスティアンのスパイクを、小野寺が立て続けにブロックタッチしてチャンスを作り、小野寺が自らBクイックを決めたり、ダイレクトスパイクを決めて連続ブレイクし6-4と先行。相手のブレイクチャンスを小野寺のブロックで阻むと、喜入の好守備をムセルスキーが得点につなげ10-6と点差を広げた。追い上げられても、喜入が東レの強力なスパイクを立て続けにディグし、最後はムセルスキーが得点につなげて13-9と再びリード。ブロックに捕まり1点差に詰め寄られるが、ムセルスキーが好守備を見せてラリーに持ち込み、最後はムセルスキーと小野寺のブロックで仕留めて18-15と再び突き放す。東レの強力なサーブもサーブレシーブ陣がしっかりと耐え、終始サンバーズのリズムで第1セットを先取した。
サンバーズは序盤からブロックとディグが機能し、特に喜入が立て続けに好守備を見せ、それが得点につながり流れをつかんだ。
喜入は「いつも通りやれたというのが一番。普段の練習から築けている関係性があって、例えば『喜入がいるからライン(ストレート)を空けてもいいや』というふうにブロッカーが思ってくれているので自分もやりやすい。キレイに抜けてくるボールじゃなくても、とにかくどうにか引っ掛けて上げれば、決めてくれる人がいるので、自分の手の届く範囲はどんどん手を出していこうという気持ちでした」と振り返る。
第2セットも、藤中颯、喜入の好守備をムセルスキーが得点につなげて先行すると、ムセルスキーのノータッチエース、鬼木のブロックで6-3とリード。小野寺のブロックタッチやムセルスキーのディグで東レのクイックを決めさせず、小野寺のクイック、藤中謙の巧みなスパイクで連続得点を奪い10-5と引き離す。中盤、東レの強烈なサーブにエースを奪われたり、ブロックに捕まり14-13と迫られるが、藤中謙のブロックで再びリード。しかし終盤、サーブに崩されて切り返され19-19と追いつかれた。それでも、藤中謙が東レの強力なスパイクを拾い、最後は自らパイプ攻撃を叩き込んで21-19と再び抜け出す。小野寺のサーブで崩し、ムセルスキーがダイレクトスパイクを叩き込んでリードを広げ、セットを連取した。
しかし第3セットは東レの強力なサーブにおされ、ミスが出て0-3と出遅れた。その後もサーブレシーブを崩されて引き離されるが、藤中謙のサーブで揺さぶり、ムセルスキーのブロック、スパイクで追い上げる。さらに、アラインの好守備をムセルスキーが得点につなげ13-13と追いついた。ミスが出て再びリードされるが、サーブレシーブを崩されても、大宅が巧みなワンハンドトスでカバーして踏みとどまり、終盤、アラインが巧みなショートサーブでエースを奪ったり、ワンポイントブロッカーで入っていた兪がカウンターアタックを決めて21-21と追いついた。しかし最後はブロックに捕まり、惜しくもセットを奪われた。
第4セットは、藤中謙のスパイク、小野寺のブロック、ムセルスキーのカウンターアタックで3-0と好スタートを切る。追い上げられても、アラインが強烈なサーブでエースを奪い9-5と再びリード。その後、ブロックに捕まり10-9と追い上げられるが、小野寺が高い打点からクイックを決めて流れを切る。しかし、勢いを増した東レのサーブにおされ、ブロックに捕まったりエースを奪われ16-18とリードされた。
それでも終盤、リリーフサーバーの髙橋塁がサーブで揺さぶり、ムセルスキーの強烈なバックアタックや、髙橋塁の好フォローから藤中謙が巧みなスパイクでブレイクにつなげ19-18と逆転。アラインのブロックでチャンスを作り、ムセルスキーがカウンターアタックを決めて23-21と引き離し、そのままゲームセット。セットカウント3-1で接戦を制し、4年連続のファイナルへと駒を進めた。
この日はブロックのいい東レを相手に、セッターの大宅が「自信を持って使えている」という小野寺のクイックを効果的に使った巧みなトスワークで攻撃をスムーズに展開し、スパイカー全員がスパイク決定率50%以上を記録。チームの決定率も63.8%という高い数字を残した。
山村監督は、「アウトサイドのアライン、藤中謙は普段より高い決定率だったし、チームとしてこれ以上ない数字が出ていた」と評価した。
ムセルスキーに次ぐ17得点を挙げたアラインは途中、ブロックに捕まる場面もあったが、「僕は考えすぎたら困る。東レさんはいいブロックとディフェンスがあるのはわかっているので、ディマ(ムセルスキー)にも、『捕まったら仕方ない。もっと強く打て』とか『サーブで取り返せ』というアドバイスをもらっていた。だから切り替えて、次のボールのことを考えていた」。その言葉の通り、スパイクやサーブでしっかりと取り返した。
ブロックディフェンスも機能し、特に小野寺は3本のブロックポイントを決めたほか、何度もブロックタッチを取って味方のブレイクにつなげた。
「相手のメインスパイカーの得意なコースや、セッターの特徴などデータをしっかりと頭に入れて戦えていたので、(髙橋)健太郎を含め、相手に対していい対応ができたと思う。相手チームの決定率を50%以下にできたのは良かった。でもそれは僕のブロックだけじゃなく、他のブロッカーも、後ろで拾ってくれる選手も、チームのトータルディフェンスの結果だと思います」と胸を張った。
攻守ともに個々が自分の役割を果たして接戦を制し、今季もたどり着いたファイナル。選手たちは昨季の雪辱に燃える。
アラインは「昨シーズンのリベンジをしたい」と意気込み、主将の大宅は「ファイナルでどれだけいつも通りプレーできるかにかかっている。いつも通りプレーするのが難しいということは昨年経験できたので、この1週間1人1人が、コートを離れた時も含めて、どういう時間の使い方をしていくのか、しっかり意識して気をつけてやっていきたい」と冷静に気を引き締めた。
ファイナルの相手は、レギュラーラウンド1位のパナソニックパンサーズに決まった。
1人1人の技術や精神力、そしてチーム力。この1年で成長したすべてをぶつけて、王座を取り戻す。