試合日程・結果

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FIVB世界クラブ男子選手権大会2023 決勝ラウンド 3位決定戦

開催日時
2023年12月10日(日) 17:00 (日本時間20:30)
会場
コラマンガラインドアスタジアム
サンバーズ
サンバーズ

3

  • 17-25
  • 23-25
  • 25-21
  • 25-19
  • 15-12

WIN

2

ハルクバンク
スポーツクラブ

試合経過

「FIVB世界クラブ男子選手権大会2023」3位決定戦。前日の準決勝でフルセットの末、イタンベ ミナス(ブラジル)に惜敗したサンバーズは、銅メダルをかけて、ヨーロッパ代表のハルクバンク スポーツクラブ(トルコ)と対戦した。

 第1セットは、サンバーズに普段は見られないようなミスが続きリードされる展開。アラインのサービスエースや、好守備からムセルスキーが切り返して追い上げるが、その後もお見合いしてボールをつなげないなど、前日の疲労と敗戦のショックを引きずったような失点が続き10-17と点差を広げられた。それでも、大宅に代わって入ったセッターの西田が、果敢にクイックを使ってサイドアウトを取り、「みんなしっかりしろ!」と言わんばかりに、体を投げ出して必死にボールをつなぐ。追い上げは届かずセットを失ったが、西田がチームの目を覚まさせる闘志を見せ、第2セットにつなげた。

 大宅がコートに戻った第2セットは、ムセルスキーや藤中謙の好守備で粘り、最後はアラインが強烈なインナースパイクを決めてブレイク。ようやくサンバーズらしい形での得点が生まれた。ブロックに捕まって先行されても、アラインの強力なサーブでプレッシャーをかけ、藤中謙、アラインが連続ブレイクにつなげて11-10と逆転。次第に戦えるようになってきた。その後も抜きつ抜かれつの激しい攻防が続く。サーブレシーブを崩されても、藤中颯がフェンスぎわから正確なトスを上げ、ムセルスキーが巧みに相手コートに落として得点につなげる好プレーが出てムードは高まる。23-25で惜しくもセットを失ったが、好守備からブレイクする展開が増え、第1セットとは明らかに違う姿を見せた。

 第3セットはムセルスキーのサーブでプレッシャーをかけ、相手にミスが続き5-2と先行する。小野寺のサーブで崩し、粘り強いブロックでラリーに持ち込み、ムセルスキーが得点につなげて9-4とリードを広げた。中盤、ハルクバンクのサーブに押され、切り返されて15-16と逆転されるが、ラリーをムセルスキーのスパイクで制して逆転。終盤、ブロックに捕まり逆転されても、ムセルスキーのスパイクや小野寺の片手1本でのブロックなどで連続得点を奪って引き離し、セットを取り返した。

 第4セットもムセルスキーのサーブでプレッシャーをかけ、藤中兄弟の好守備、つなぎをムセルスキーが得点につなげたり、小野寺がオランダ代表、ニミル・アブデルアジズのスパイクをシャットアウトするなど4-1とスタートダッシュに成功。ムセルスキーの好守備を佐藤が懸命につないで粘り、相手のミスを誘ったり、ムセルスキーがカウンターアタックを決めて8-3と引き離す。中盤以降はアライン、ムセルスキーのスパイクを中心にサイドアウトを重ねていく。終盤、好守備を大宅が懸命につなぎ、ムセルスキーが得点につなげて点差を広げ、最後はアラインのパイプ攻撃で締めてセットを連取。試合をフルセットに持ち込んだ。

 第5セットも、藤中謙のショートサーブで崩したり、佐藤がクイックを決めて好スタートを切り、ムセルスキーが強力なサーブを打ち込んで相手のミスを誘い4-2と先行した。中盤、藤中謙の好守備から、大宅が精度の高いバックトスを託し、ムセルスキーがそれに応えて得点につなげる好連携が出て10-7とリード。ハルクバンクのブロックなどで追い上げられるが、アラインのスパイクで流れを切ると、アラインのサーブで崩し、相手にスパイクミスが出て14-10とマッチポイントを握った。最後はムセルスキーがバックアタックを決めて締め、15-12でゲームセット。ベンチにいた選手もなだれ込み、一瞬でコートに歓喜の輪ができた。

 2セットダウンの苦境から巻き返して3セットを連取し、サンバーズが銅メダルを獲得した。世界クラブ選手権での日本のチームのメダル獲得は史上初だ。

 山村監督が「今日の試合は間違いなく昨日の敗戦を引きずっていて、普段通りの力を発揮できていなかった。選手たちは(準決勝からの)短い時間でメンタル的には切り替えたものの、気持ちに身体がついてこない状態だったように見えた」と振り返ったように、第1セットは何でもないボールがつながらなかったり、コンビミスが出るなど明らかにチグハグだったが、セット途中に入った西田が空気を変えた。

「大宅は一旦冷静になる必要があると思いましたし、彼自身も望んでいたので交代を決断した。西田は急な交代にも関わらず、普段通りのパフォーマンスと、チームを盛り上げようとする雰囲気をチームに与えてくれた」と山村監督。

 西田は、「難しい展開が続いていたので、勢いをもたらすプレー、声かけ、立ち振る舞いをしようと心がけ、コートインしました。待っていてもチャンスはもらえない。自分たちでつかみに行くんだという姿勢を伝えたかった」と振り返る。

 大宅は、「1セット目は昨日の敗戦を引きずってしまって、自分が自分じゃなかった。でも西田が本当に100点の仕事をしてくれたので、外から見ていて勇気づけられた。そこからはもう切り替えたというか、考えすぎずに、スパイカーを信じて上げることに徹しました。正直、僕に関しては50点もいかないくらいの出来だったけど、本当にスパイカーが助けてくれたし、それに(藤中)颯志が頑張ってくれた。サーブレシーブをしっかり返してくれたし、会場を盛り上げようとしてくれた」と周囲に感謝する。

 世界の舞台での初めてのメダル獲得に、主将は「ホッとしました。昨日勝っていたら、もっといいメダルを確定させられたんですけど、とにかく今日勝ってホッとしています。みんなが自分の役割を最後の最後までやり通すことができた。本当にこのチームでバレーができていることは僕にとって財産になっていると感じました」と充実感をにじませた。

 西田も「自分のプレーでよい影響を与えられたかはわかりませんが、最高の舞台でプレーできて幸せでした」と喜びを噛み締めた。

 今大会での収穫とメダル獲得の意味について、山村監督はこう語る。

「選手たちが『世界に通用する』という自信を得られたことは収穫で、特にアライン、颯志にとっては、飛躍的な成長を遂げた大会になりました。そして、今大会でのメダル獲得は、日本のバレーが世界に通じると改めて発信することにつながると思います。代表だけでなく、クラブでも世界で結果を出すことで、今後ますますバレーを盛り上げていくことができるでしょうし、来年は、我々は(アジアクラブ選手権、世界クラブ選手権に)参加できませんが、(2022-23シーズンVリーグ王者の)ウルフドッグス名古屋さんの目標にもなると思います。そういう意味の価値もあるのではないでしょうか」

 大会前から目標に掲げていたメダルを、苦しみながらもつかみ取ったサンバーズ。

 ただ、達成感に浸ることができるのは束の間。12月23日からは再びVリーグの戦いが始まる。

「今大会の結果により、ますます他のチームにとって"勝ちたい相手"になることは間違いないですが、それも日本バレー界を高める起爆剤となりますし、我々もこの結果に満足することなく、再度世界にチャレンジするために、もう一度リーグを制覇しに行きたいと思います」と山村監督。

 これからもサンバーズは"世界"を視野に戦い続ける。

○試合後コメント

山村 宏太 監督

本日もご声援ありがとうございました。まずはチームの目標であったメダル獲得を達成することができ大きな喜びとともに安堵しております。今日の試合はいつもと同じプレイができず苦しい展開が多かったと思いますが、それでも勝ち切ることができたのは成長につながったと言えます。今大会のメダル獲得は世界に通じると改めて発信することができ自信にもつながりました。今大会の結果で日本バレーボール界の起爆剤となるはずです。この結果に満足せずVリーグ制覇を目指し、また世界に挑戦する権利を得たいです。

大宅 真樹 選手

「応援ありがとうございました。世界クラブ選手権大会は、苦しい場面が多くタフな試合が続きました。しかし、仲間が信じて私のトスを打ってくれたので感謝しています。素晴らしい仲間と日本チーム初となるメダルを獲得できたのは財産になりましたし、最高にうれしかったです。もう一度、このチームで世界を舞台に戦うことができるように頑張ります。引き続き応援よろしくお願いいたします。」

小野寺 太志 選手

「応援ありがとうございました。3位決定戦勝つことができて嬉しいです。試合の入りは決して良くはなかったですが、試合の中で修正できたことや気持ちを切らさずに戦うことができたのが勝利の要因だと思います。今日世界を相手に勝つことができたので、さらに日本のバレーボールは世界に通用すると自信がつきました。今後も目標を高く世界で活躍できる選手になれるように頑張ります。今後も応援よろしくお願いします。」

藤中 颯志 選手

「応援ありがとうございました。昨日の敗戦は悔しかったですが切り替えて戦うことができました。ハルクバンクとは予選で戦って勝つことはできましたが、チーム全員が油断せず戦うことができたから勝つことができたと思います。個人としても世界のトッププレイヤーと戦うことができて貴重な経験ができました。また、この大会に出場することができるように頑張ります。」

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