試合日程・結果

GAME

FIVB世界クラブ男子選手権大会2023 予選ラウンド

開催日時
2023年12月 6日(水) 17:00 (日本時間20:30)
会場
コラマンガラインドアスタジアム
サンバーズ
サンバーズ

3

  • 25-23
  • 25-23
  • 25-16

WIN

0

ハルクバンク
スポーツクラブ

試合経過

12月6日、「FIVB世界クラブ男子選手権大会2023」がインドで開幕した。5月に行われたアジアクラブ選手権大会で、日本勢として初の優勝を果たしたサンバーズが、アジア王者として初めての"クラブ世界一決定戦"に挑む。

 予選ラウンド初戦の相手は、ヨーロッパ代表のハルクバンク スポーツクラブ(トルコ)だ。

 第1セットは緊迫感漂う立ち上がり。サンバーズはスパイクミスが出て先行されるが、藤中謙が冷静に相手コートの角にスパイクを決めて最初の得点を決めると、ムセルスキーが相手のクイックをシャットアウトし3-3と追いついた。その後、サーブで崩され、切り返されて5-8とリードされるが、藤中謙がショートサーブで崩して相手のミスを誘い、追い上げる。創造力豊かなテクニシャンとして世界的に有名なフランス代表のイアルバン・ヌガペトを筆頭に、ハルクバンクは巧みな選手が多く、ボールを相手コートに返す際にも何か仕掛けてくる。そんなトリッキーなプレーにポイントを取られる場面もあり12-16とリードされた。

 しかしサンバーズも負けていない。立ち上がりからいつも通りの冷静なプレーを貫く藤中謙が好守備を見せ、大宅が巧みにブロックを利用して得点につなげる好プレーで流れを引き寄せる。国際大会の経験豊富な小野寺のクイックや、藤中謙のスパイクで攻撃のリズムを作り、佐藤がブロックを決めて16-18。さらに、相手にミスが出て19-19と追いついた。リリーフサーバーとして入った兪のサーブからムセルスキーがカウンターアタックを決めて21-20と逆転。さらに、アラインが強烈なサーブでエースを奪い24-22とセットポイントを奪うと、最後はムセルスキーの強烈なスパイクで締め、逆転でセットを先取した。

 藤中謙は、「(ヌガペトが)引き出しが多い選手というのはわかっていたけど、相手が何をしてくるかというより、自分たちに何ができるかというところを意識してやっていたので、相手のプレーはあまり気にならなかった。1セット目を取り切れたのはすごく大きかった」と振り返る。

 第2セットはその藤中謙のブロックで流れを引き寄せると、大宅のディグから、藤中謙がツーでバックアタックを叩き込む、ヌガペトのお株を奪うプレーでブレイクし4-2と先行。佐藤、小野寺のクイックで勢いに乗る。サーブレシーブが崩され苦しい場面は、ムセルスキーが確実にスパイクを決めて相手にブレイクを許さず、藤中謙の巧みなスパイク、アラインの力強いパイプ攻撃など、相手に的を絞らせない攻撃でサイドアウトを重ねていく。中盤、クイックがブロックに捕まり追いつかれるが、大宅は再びクイックを使い、佐藤がそれに応えて力強いスパイクを叩き込み、アラインのブロックで18-16と再び先行。終盤追いつかれるが、最後は藤中謙のブロックで接戦をものにし、セットを連取した。

 第3セットはハルクバンクのサーブに崩されリードされるが、藤中謙のサーブで崩し、佐藤がダイレクトスパイクを決めて追いつく。先行されても、小野寺のクイックですぐに流れを引き戻し、アラインのブロックで同点。相手に流れを渡さない。

 中盤、藤中謙が巧みなショートサーブでエースを奪い11-10と逆転。さらに、藤中謙が右手1本でヌガペトのスパイクを拾って粘り、最後はアラインがブロックで仕留めて連続ブレイク。その後も、佐藤や藤中謙の好守備をムセルスキー、アラインが立て続けに得点につなげて14-10と引き離す。粘りの連続得点はまだ終わらない。リベロの藤中颯も、ブロックタッチのボールを体を投げ出して左手1本で拾い、ムセルスキーが得点につなげて16-10。さらに、ネットぎわの攻防が続いたメガラリーをアラインのスパイクで制して17-10。とにかくボールに食らいつき、落とさないサンバーズは怒涛の8連続得点で一気に点差を広げた。粘りに根負けしたかのように、終盤はハルクバンクにミスが続く。アラインが緩急をつけたサーブで連続エースを奪って22-13と大差をつけ、セットカウント3-0で勝利。サンバーズが白星スタートを飾った。

 一番の勝因はボールを落とさない粘り強いブロックディフェンスだろう。山村監督は、「ブロックとディフェンスの関係性は、今季のリーグでテーマに挙げているところ。世界に対しても、うちのブロックディフェンスが機能するということが証明できたのかなと思います。初の世界クラブということで、選手たちのモチベーション、パフォーマンス、集中力すべてが高く、タフな試合でしたが最後まで集中力を切らすことなく、今までの経験をすべて出し切り、自分たちのバレーができた」と手応えを語った。

 そのディフェンスの中心となり、再三好プレーを見せた藤中謙は言う。

「(ディフェンスは)特にすごかったとは思っていないですけど、自分の仕事の一つなので。あまり数字には表れない部分かもしれないですが、それが点数につながったのは良かった。ブロックがすごく機能していたのでやりやすかった。普段の僕らの試合や、楽しむということを最初に考えながらプレーできたし、内容的にも僕らがやりたいことができた。それは勝ち負けよりも先に嬉しい部分でした」

 第1セットは最初劣勢に立たされたが、藤中謙の巧みなサーブやスパイクで次第に相手の勢いをそぎ、流れを引き寄せた。

 セッター大宅のトスワークも冴えた。アラインが、ムセルスキーの14得点を上回るチームトップの15得点(スパイク9、サーブ3、ブロック3)を奪うなどバランスのいい得点配分で、ミドルブロッカーの攻撃も要所で効果的に決まった。

 大宅は、「どこで真ん中を使うかというところを考えながらやっていた。相手はコミットブロックが多かったので、ミドルの本数的にはまだ使いきれていないところもありましたが、小野寺も佐藤もしっかり決めてくれたので相手に印象づけることはできたと思うし、要所でパイプも通せたので、そこは良かった」と振り返る。

 世界クラブ選手権という初の舞台で、ヌガペトや、オランダ代表オポジットのニミル・アブデルアジズなど代表選手を多く抱えるハルクバンクを相手にしても"普段通り"戦えた理由を藤中謙はこう語る。

「初めてという感覚はあまりなかったし、まあ対戦する機会は少ないチームですけど、Vリーグでも、相手に世界的に有名な選手がいるというのは日頃経験できていることなので、あまり普段と変わらない気持ちで入ることができたし、焦りを抱くこともありませんでした」

 大宅はむしろその環境を楽しんでいたと話す。

「無我夢中でした。緊張よりは素直に楽しかった。いろんな選手がいる中で試合ができたこと自体が幸せなこと。緊張するだろうと思っていたけど、みんなの顔を見て安心してプレーができていた。チームとして戦えた結果かなと思います」

 次戦は南米代表のサダ クルゼイロ バレー(ブラジル)と対戦する。

「明日はさらにレベルが上がると思うので、ひるむことなく、自分たちのバレーに自信を持って戦うだけ。今日のように粘り強く戦いたい」と大宅は意気込みを語った。

2023/24シーズン

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