試合日程・結果

GAME

2022年アジアクラブ選手権大会 決勝

開催日時
2022年5月20日(金) 18:30(現地時間)
会場
イラン・テヘラン
サンバーズ
サンバーズ

2

  • 25-21
  • 28-26
  • 13-25
  • 20-25
  • 12-15

LOSE

3

イランA

試合経過

 2022アジアクラブ選手権決勝。サンバーズは、日本チーム初のアジア制覇を目指し、イランのテヘランペイカンと対戦した。この試合が、長きに渡った今シーズン最後の試合となる。

 試合の立ち上がり、完全アウェイの雰囲気の中、柳田が相手コートの奥にノータッチエースを突き刺す。ムセルスキー、柳田のスパイクでサイドアウトを重ね、柳田のブロックで7-5と先行。その後、相手のブロックなどで逆転されるが、中盤、大宅が好守備を連発し、それをムセルスキー、柳田が得点につなげて14-12とリード。さらに、相手のスパイクミスやムセルスキーのブロックで16-12と点差を広げた。予選リーグで対戦した際はペイカンのサーブにサーブレシーブを崩され苦しんだが、この日は藤中、喜入を中心にしっかりと対応して返し、サイドアウトを重ねていく。リリーフサーバーの西田のサーブで崩し、大宅のディグから、藤中が打つと見せかけてブロックを引きつけるフェイクトスを披露し、ムセルスキーが悠々とスパイクを決めて18-13と点差を広げた。終盤には藤中が1枚で相手のオポジット、ニミル・アブデルアジズをシャットアウトして21-15と引き離す。ペイカンのサーブに崩されて22-20と追い上げられるが、大宅のディグから柳田がツーでバックアタックを叩き込み、藤中が2本目のブロックを決めて引き離し、セットを先取した。

 第2セットはペイカンの強烈なサーブに押されて0-2と先行され、セッターのミルサイード・マルーフラクラニにツーアタックを決められ1-4とリードされた。それでも、小野の好守備を柳田が巧みなスパイクで得点につなげ3-4と追い上げる。その後もブロックを利用した柳田のスパイクや、ムセルスキーの高さのある攻撃でサイドアウトを重ねてついていく。中盤、ミスが出て点差を広げられるが、大宅は小野、彭のクイックや藤中のパイプ攻撃を使って攻撃を立て直す。彭のサーブで攻めて相手のミスを誘い13-15と追い上げ開始。リリーフサーバーの鍬田が強力なサーブを打ち込み、柳田がブロックで仕留めたり、相手にミスが出て17-17と追いついた。さらに、高橋結の好守備から、柳田が3枚ブロックをものともせずカウンターアタックを決め20-19と逆転。デュースに持ち込まれ、ミスで24-25と逆転されるが、小野が巧みなショートサーブでエースを奪い26-25と逆転。最後は相手にスパイクミスが出てサンバーズが競り合いを制し、優勝に王手をかけた。

 しかし第3セットは、サンバーズのスパイクがブロックに捕まり0-2と出遅れた。藤中が正確にサーブレシーブを上げ続けるが、相手の好守備やブロックに阻まれて0-4とリードされる。ムセルスキーのスパイクや柳田のパイプ攻撃でサイドアウトを立て直すが、中盤、サンバーズのスパイクをブロックタッチから切り返されたり、パイプ攻撃がブロックに捕まり4-11と点差を広げられた。サンバーズは二枚替えで栗山、西田を投入し、藤中に代わり鍬田がコートに入る。柳田の強力なサーブで崩してブレイクするが、終盤、ブロックに捕まって連続失点し、大差をつけられセットを奪われた。

 第4セットの立ち上がりも、フランス代表イアルバン・ヌガペトの強力なジャンプサーブに崩されて0-3と先行された。それでも、ムセルスキーのスパイクで連続失点を切り、彭のクイックやムセルスキーのスパイクでサイドアウトのリズムを立て直す。小野が鋭いサーブを立て続けに打ち込んで反撃のきっかけを作り、柳田、彭のブロックで仕留めて7-7と追いついた。しかし中盤、サービスエースを決められたり、ミスが出て10-14と再びリードされた。ムセルスキーのブロックなどで13-15と追い上げ、リリーフサーバーとして入った鍬田がサーブで攻め、小野の鋭いクイックで切り返し15-16と迫った。ところが、彭のクイックがブロックに捕まったり、ムセルスキーのスパイクを拾われて切り返され16-20と再び点差を広げられる。終盤、柳田のサーブで崩し、藤中がダイレクトスパイクを決めて追い上げるが届かず、セットを連取され、デュースに持ち込まれた。

 第5セットは互いにサイドアウトを奪いあう展開。サンバーズはムセルスキーのスパイクを軸に、小野のクイック、柳田のパイプ攻撃でサイドアウトを重ねていく。リリーフサーバーの鍬田を始め、サンバーズは好サーブを打ち込むが、相手のサーブレシーブが堅くブレイクを奪えない。小野がブロックにマークされながらもクイックを決め10-10。ここまで互いに相手にブレイクを1本も許さない。しかし10-11からサンバーズのスパイクがブロックに捕まり、初めてブレイクされ10-12とリードされた。相手のショートサーブに揺さぶられ、再びブロックに捕まり11-14とマッチポイントを握られた。最後は小野のサーブがアウトとなり、ゲームセット。
 2セットを先取し、アジア制覇と今季三冠まであと一歩に迫ったが、惜しくも届かなかった。

 主将の大宅は「非常に悔しい負け方。ただただ悔しい」と声を絞り出した。
 予選リーグでのペイカン戦はサーブレシーブを大きく崩されたが、決勝の1、2セット目は、相手の強力なサーブにもサーブレシーブ陣がしっかりと対応し続けた。ネットから離れたところからでも大宅が積極的にクイック、パイプを使い、真ん中を軸とした攻撃でリズムを作った。
「やっぱり相手のサーブは強いので、ドAパスを返すのは本当に難しい。Bパスぐらいからでも真ん中を使っていかないとディマ(ムセルスキー)1本になってしまうので、勇気を持って使っていけた」と大宅は言う。
 しかし第3セット、「明らかに相手のギアが上がった」と山村監督も選手も口を揃える。相手サーブの威力がさらに増し、それまでミスが多かったオポジットのニミルが本来の決定力を発揮し始めた。強力なサーブに崩されたり、それまで決まっていた攻撃が相手のブロックディフェンスに捕まりサイドアウトに苦しんだ。逆にサンバーズのサーブは機能せず、ブレイクのチャンスが減り展開が逆転した。
 山村監督は、「相手は追い込まれてプレッシャーもある中、ああいう場面で自分たちの力を発揮する底力や経験値があった。実力では向こうが上。うちは先に2セット取ったことによってどこかで『行けるんじゃないか』という思いが出て、バランスが崩れたんじゃないか」と語る。
 それでも収穫は多かった。山村監督はこう続ける。
「クラブチームとして国際大会に出られたことは間違いなくプラスの経験。イラン代表に世界のスターが加わったようなチームと戦えた。本当に選手たちがうらやましかったですよ。その中でここ(決勝)まで来られたし、現時点で足りないもの、勝ち切るために必要なものも見えたと思う。スピードで相手を撹乱することや、すべての選手がバランスよく攻撃力を発揮できないと、ディマ1枚になると厳しい。その中でも今大会は小野が、小さくてもスピードで相手の脇を丁寧に抜いていけば決まると証明できていた」
 試合後に行われた表彰式では、大会のベスト6に選ばれたムセルスキー(ベストオポジット)と柳田(ベスト1stアウトサイドヒッター)が表彰された。
 柳田はこの日も高い確率でパイプ攻撃を決め、レフトからも、相手ブロックに吸い込ませる巧みなスパイクなどで要所で得点を重ねた。ペイカンのミドルブロッカー、セイエドモハンマド・ムーサビエラギやセッターのマルーフは、柳田が日本代表で過去に何度も対戦した相手だ。
「ナショナルチームの時に、セイエド選手のブロックを僕はどうやって攻略してたかな、と昔の記憶を思い出しながら戦っていました。彼の場合は遅れてきた時に、あえてちょっと下に落として打つと、意外と吸い込んでくれる。今日は上手くリラックスして、視野を広く持ってやれていたと思います。ただ、3セット目から取り返してくる、相手のキャリアがある選手たちの意地というか、壁というのも感じましたし、やっぱりバレーボールがうまい。特にマルーフ選手やヌガペト選手。彼らの判断能力や対応能力は素晴らしい。(大会直前に合流した)即席のチームでもあれだけ戦えることが、トッププレーヤーと言われるゆえんなのかなと感じました。
負けて、悔しさはあります。でもやれたこともあったかなと。バレーボールを楽しんで、リラックスして、集中して、ファイトして、いろんな感情を自分なりに表現してバレーボールをするのが一番いいんだなと、今日改めて思いました」
 やりきったという清々しさも漂う。

 昨年10月16日にVリーグ開幕戦を迎えてから約7ヶ月。長いシーズンが幕を閉じた。シーズンの最後に触れた"世界レベル"が、選手たちの意識を活性化する。
 リベロの高橋結は、「こういう舞台を経験して改めて、人生をかける、今の自分のすべてをかける価値がある場所だと感じた。トップの世界は紙一重。練習の中での、『こんぐらいでいいや』みたいなプレーや意識がこういう場で勝敗を分けるんだなと痛感しました。こういう戦いの中で、自分は迷いというか、『絶対にできる』と信じきれない部分もあった。そういうところを詰めていかないと」と語った。
 大宅は試合後、コートサイドに立ち尽くしながら、東亜大学時代の恩師からもらった「うまいセッターより、いいセッターになれ」という言葉を思い出していた。
「技術的にうまいセッターはたくさんいるけど、やっぱり最後に勝たせられるセッターに成長したいと思った。相手のセッターのマルーフ選手は、試合中ずっと冷静で、周りがよく見えていた。コートにいるだけで周りが安心すると思う。僕は考え込んでしまったり、1本のミスで不安定になることがある。自信をつけるためには、もっと練習するしかない。今日は相手ブロックが高いし、前に出ているし、その中でブロッカーを振りたいというトスになっていた。スパイカーを信用して、ここぞという時に100%で打ってもらえるトスを心がけていかないと。そこの1点の厳しさを突きつけられた。この経験を生かすも殺すも自分次第だと思うので、頑張らなきゃいけない」
 Vリーグ優勝、黒鷲旗優勝、で今季が終わっていたとしたら出会うことのなかった感情や課題に、今大会で出会えたことで、来シーズンに向けて、選手たちが自分自身に課すものはより高く、シビアになった。その先にはきっと、リーグ3連覇、そしてアジア制覇へのリベンジが待っている。

2021/22シーズン

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