今回ご紹介する2本は、世界の5大ウイスキーの中でも力強さが特長のアメリカンウイスキー。どちらも主原料はとうもろこしで、アメリカンウイスキーの中で最もポピュラーなバーボンウイスキーに種別されます。
『ジムビーム』は、売上世界No.1※を誇るバーボンの定番。『メーカーズマーク』は、ハンドメイドに徹したプレミアムバーボンとして広く知られる名品です。
それではさっそく、バーボンの魅力がたっぷりと分かる、
ウイスキーフライトをはじめましょう!
※2015年販売数量(IMPACT NEWSLETTER Feburuary 1&15 2016号より)
17~18世紀、スコットランドやアイルランドからの移民によってウイスキーが持ち込まれ、穀物の生産に適した北アメリカ大陸の特性を活かした独自のウイスキーづくりがはじまりました。激動の時代をくぐり抜け発展してきた背景には、ビーム一族の存在が欠かせません。
『ジムビーム』のラベルには、創業から220年以上、7代にわたってバーボンをつくり守り続けてきた名匠たちの肖像画が記されています。1973年に世界No.1バーボンの座を獲得してから現在に至るまで、その座が揺らぐことがないというのには驚かされますね。代々受け継がれるビーム家秘伝のレシピでつくられた『ジムビーム』の味わいは、世界中で多くの愛好家を愉しませています。
たらりと垂れた封蝋が印象的な『メーカーズマーク』。瓶詰めしたあと、ひとつひとつ手作業で蝋に浸し、丁寧に封が施されています。つくられているのは、ケンタッキー州北部の小さな町ロレットにあるメーカーズマーク蒸溜所。その風光明媚な美しいたたずまいは、アメリカの「国定歴史建造物」に指定されています。
「S Ⅳ」のマークは、230年以上の歴史をふまえ、ウイスキーづくりを本格的にはじめたサミュエル家3代目から4代続いていることを示しています。よく見ると、円を描く線がわずかに途切れている箇所がありますね。これは、戦争や禁酒法の影響で生産ができなかった苦難の時期を表しています。
時代の荒波を乗り越えたアメリカンウイスキーは各地で発展し、さまざまな種類のウイスキーがつくられるようになりました。種類によって原料の比率や蒸溜・熟成の方法などが細かく定められています。『ジムビーム』や『メーカーズマーク』に代表されるバーボンウイスキーの特長をみてみましょう。
バーボンウイスキーを定義する3つの条件
原料の51%以上が
とうもろこし
穀物類を使ってつくられるアメリカンウイスキーにおいて、その半分以上がとうもろこしであることが条件。80%以上の場合は「コーンウイスキー」と呼ぶ。
アルコール80%未満で
蒸溜
原料を糖化、発酵させたものを円筒式の連続式蒸溜機で蒸溜するバーボン。その際のアルコール度数は80%未満と定められている。
内側を焦がした新樽で
2年以上熟成
バーボンの熟成には「チャー」と呼ばれる内側を焦がす処理をした新樽を使って2年以上の熟成期間をもつことが義務付けられている。
この3つの条件を満たすものでないと、バーボンウイスキーと名乗ることはできません。
主にケンタッキー州でつくられていますが、この地方特有の「ライムストーンウォーター」と呼ばれる硬水や、良質なとうもろこしの香味がよく活きています。
アメリカでクールな酒といえば「バーボン」。『ジムビーム』は時代を超えて愛されてきました。グラスに注ぐと、穏やかながら主張あるスパイシーな香りとバニラやキャラメルのような香りが漂います。味わいは甘くて軽やか。樽由来の苦味や酸味がやさしく広がります。ジムビームの伝統は、ケンタッキー州の硬水を使った仕込みと、75年以上受け継がれる酵母「ジャグ・イースト」。心地よい飲み口の中に芯のある香味が活きるのは、ビーム家秘伝のレシピだけがなせる業です。
“甘く香ばしいパンのよう”と例えられるスイート&スムースな味わいは、ライ麦の代わりに良質な冬小麦を使っているから。このレシピはパンを焼くことで究められたといいます。封を切ると、メイプルシロップやバニラ、オレンジのような甘い香りが感じられます。口に含むと、やわらかい果実のような甘みと奥行きのある熟成香が広がり、余韻も心地よく残ります。荒々しく無骨なバーボンの印象を覆すような、マイルドでリッチな味わいをご堪能ください。
1/8にカットしたレモンをキュッとしぼってグラスの底に落とし、氷をたっぷり入れてから『ジムビーム』を注ぎます。よく冷えたソーダを注いでひと混ぜすればハイボールの完成!バーボンの力強い味わいを、ひときわクールにお愉しみいただけます。お料理をあわせるなら、豪快に焼きあげたスペアリブやチキンを。スパイスやハーブを効かせて、大人っぽくアレンジするのもおすすめです。
ふくよかな甘さが愉しめる『メーカーズマーク』は、スライスしたオレンジを添えたハイボールがおすすめ。果実のフレッシュさを添えた華やかな味わいは、食後に愉しむのにもぴったりです。マリアージュメニューには、バニラアイスクリームやパンプディングなど、『メーカーズマーク』の香味に似たものをあわせるのがポイント。オレンジピールのほろ苦さもよく合います。
原料に由来する甘さや香ばしさ、内側を焦がした樽で熟成させたコクのある味わいなど、バーボンならではの魅力や個性の豊かさを体感していただけたのではないでしょうか。
戦争や禁酒法などの苦難に見舞われ、時代に翻弄されながらも力強くアメリカに息づいてきたバーボン。開拓者たちの情熱に乾杯!といきましょう。
自分好みのウイスキーが発見できるウイスキー専門店「日比谷BAR WHISKY-S III」がオープンしました。世界の5大ウイスキーをはじめ、さまざまなウイスキーフライトを気軽にお試しいただける、はじめてのコンセプトショップです。