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響35年〈色絵薄墨草花文洋酒瓶〉の誕生は、1998年にさかのぼります。十三代今泉今右衛門氏の仕事に深く魅せられた当社デザイナーは、思いきって「ウイスキーのボトルを色鍋島で創ってください」と氏にもちかけてみました。はじめ、「和の器にウイスキー?」と訝っていた今右衛門氏も次第に熱意にほだされ、構想に着手。しかし、なかなか満足のいくデザインに辿りつかず想を練る時間が長く続きました。
今右衛門氏が気品あふれる六面取りボトルの想を得て、ついに試作の〈色絵薄墨草花文洋酒瓶〉を焼き上げたのは、2000年初夏のことでした。当社チーフブレンダーは有田のお宅に伺い、かねて用意の試作ブレンドを試飲していただきました。試作ブレンドを詰めた瓶の蓋を開けた瞬間に、部屋いっぱいに拡がった華やかな香り。もともとウイスキー好きの十三代は、ひと嗅ぎして、その思いもかけなかった香りに驚きます。そして、完成した筈の洋酒瓶をじっと見つめながら、心に響くものに呼応して、自信作にさらに赤絵の雲地文を加えることを決意。「これで中味と器のバランスがとれるからね。」と微笑みました。
十三代のこの鋭い感性の跳躍を目のあたりにして、心を揺り動かされたブレンダーは、山崎蒸溜所への帰途、さらに一樽、伽羅を想わせる秘蔵ミズナラ樽の原酒を加えることを思いつきます。かくて、かつてない日本の美酒としてサントリーウイスキー響35年ができあがりました。
巧みの技の出会いは、ここで終わりません。今右衛門氏の作品に感銘を受けた感銘を受けたパッケージデザイナーは、このボトルを「響17年」のラベルと同じ手漉きの楮和紙を使用した立体包み紙でくるむことを考えつきます。これは、絵付けする前の白い磁器の風合いをイメージしてつくったもので、〈色絵薄墨草花文洋酒瓶〉を卵の殻のように末永く慈しみ、優しく暖かく包むのです。
こうしてアートの火花が静かに散った仕事は完成し、ここに、響35年〈色絵薄墨草花文洋酒瓶〉限定150本が誕生しました。
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