水は、人間のからだを構成する上で、とても重要な役割を担っています。水分を摂るのとほぼ同量の水分を排泄して、体内のバランスを保っていますが、体重のわずか1%程度の脱水が起きただけでのどの渇きを感じ、4~5%失うと吐き気や頭痛などの症状が出てくるといわれています。ですから、水分補給は、のどの渇きを感じる前に行うことがポイントです。
たとえば、朝起きたとき、お風呂あがりなど1日の中で時間を決めて、コップ1~2杯(200~400ml)の水分を摂ると、無理なく1リットル以上の水分を補給することができます。でも、1度に大量の水を飲んだり、冷やし過ぎた水を一気に飲んだりするのは胃腸に負担がかかるので要注意です。夏の暑い時期は、洋服が汗でぬれるくらいになったら多めに水分を補給しましょう。
水分・ミネラル補給のためにミネラル量や浸透圧が調整された飲料を飲むことで、汗をかいて出ていった水分だけでなく、一緒に排出されてしまったナトリウムやその他ミネラルも補うことができます。
+7℃は体温を超えうる危険な温度!
熱中症リスクが高い環境に。
高さが低くなれば、地面の照り返しの影響で気温が高くなることは認識していました。しかし70cmの高低差で7℃も差があった実験結果にはびっくりしました。子どもを想定した高さ80cmの気温は38.2℃と、体温を超える温度です。
もともと子どもは、体温調節機能が十分発達していないため、うまく汗をかけず、体内にこもった熱を効率的に外に逃すことができません。また、全身に占める水分の割合が大人よりも高く、体重に対する体表面積も大人より広いため、気温の影響を受けやすいのです。子どもにとって、体温を超えるような気温は、極めて熱中症リスクが高い環境だといえるでしょう。そして照り返しは目に見えないため意識しづらい難しさがあり、今回の結果に怖さを感じました。
実際、私には幼い子供がいますが、予想気温24℃の日に自分の感覚で長袖を着させたところ、子どもが暑そうにしていた経験があり、大人と子どもの熱に対する感度の差を実感しました。
特に幼い子どもは、大人より地面に近く熱中症リスクが高い状況下にありながら、自分の状態をうまく説明することができません。周囲の大人は「こども気温」を意識し、大人の感覚よりもさらにシビアに子どもの熱中症対策をすることをお勧めします。
多胡安那さん プロフィール
2013年より株式会社ウェザーマップ所属。熱中症予防管理者/指導員。テレビ・ラジオ・WEBメディアでの天気コーナー出演、ニュースの執筆などを担当し、熱中症に関するコラム執筆や講演も多数。防災士などの資格も取得し多方面で活躍中。