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「蒸溜所で聞いた、ウイスキーの愉しみ方」~ブレンダー編~

2022年9月21日

こんにちは、水野めぐみです。
今回は「蒸溜所で聞いた、ウイスキーの愉しみ方」をお届けします。
この連載では、蒸溜所の案内係がつくり手にウイスキーの愉しみ方を聞き、蒸溜所便りの読者の皆さんが、さらに充実したウイスキーライフを送るヒントとなるような情報をお伝えしていきます。


蒸溜所で聞いた、ウイスキーの愉しみ方 ~ブレンダー編~ブレンダーの輿石さんに話を聞きました


※写真はすべて撮影時のみマスクをはずして撮影しています


今回インタビューしたのは、山崎蒸溜所でブレンダーをしている輿石さん。
ウイスキーづくりでのブレンダーの役割は、新しい香味の創造や品質の維持、将来を見据えた原酒づくり、原酒の在庫管理などです。
まずは、実際にどのようなことをしているのか教えてもらいました。


■山崎蒸溜所での仕事について
水野「輿石さんは普段、ブレンダーとして山崎蒸溜所でどんな仕事をしているんですか?」
輿石「ウイスキーの中味を設計しています。樽から出てきた原酒のテイスティングを行い、それぞれの個性を見極めます。そして複数人いるブレンダーのチームで意見を出し合いながらバランスよく原酒を組み合わせ、製品をつくりあげています。」


多彩な原酒を前に。ブレンダーの仕事はオーケストラの指揮者にも例えられます。多彩な原酒を前に。ブレンダーの仕事はオーケストラの指揮者にも例えられます


このように仕事でテイスティングをしている輿石さんに、ウイスキーの好みの飲み方やマリアージュについて聞きました。


■お気に入りのスタイルとマリアージュは?
水野「お気に入りの愉しみ方を教えてください。」
輿石「僕はストレートかロックスタイルでウイスキーを愉しむことが多いです。ウイスキーは味わいだけでなく香りも愉しみたいお酒です。原酒の状態や熟成感を香りから感じたいと思うと、ストレートやロックが分かりやすいからなんです。」
水野「じっくりと香りも愉しむのがポイントですね。マリアージュはどのような組み合わせで愉しんでいるんですか?」
輿石「飲みやすくバランスの良い香味のウイスキーとビターチョコレートを合わせるのが好きです。チョコレートを2~3粒つまみながらウイスキーをゆっくり愉しむことが多いですね。」
水野「チョコレートにもこだわりがあるんですか?」
輿石「はい。甘さが印象的なミルクチョコレートよりも、高カカオのビターチョコレートがよく合います。チョコレートのビターな味わいは口の中でしばらく残ります。そこでウイスキーを口に含むと、チョコレートの余韻と相まってさらに香りや余韻を感じるんですよ。ウイスキーとチョコレートは、旨味を感じるところが似ているので、相性が良いんですよね。」


ビターチョコレートとのマリアージュが輿石さんのお気に入りビターチョコレートとのマリアージュが輿石さんのお気に入り


輿石さんは普段ウイスキーを愉しむ時も原酒の状態を感じたり、マリアージュでは余韻のことも考えて組み合わせを愉しんでいるんですね。ブレンダーならではのこだわりを感じました。
では、どのような時にウイスキーを愉しんでいるんでしょうか。


■お気に入りの飲用シーンとは
水野「普段はどんなシーンでウイスキーを愉しんでいるんですか?」
輿石「自宅でテレビを見たり音楽を聴いたりしながら、頭をからっぽにして愉しんでいます。職業柄日頃ウイスキーと向き合っているので、あまり複雑な香味のウイスキーだと、思考が仕事モードになってしまいます。考え込んで疲れてしまうので、プライベートで愉しむときにはあまり何も考えず『ああ、おいしいなあ』と思えるような、飲みやすいウイスキーを嗜んでいます。」


ブレンダーによって紡ぎ出されたサントリーウイスキーの数々ブレンダーによって紡ぎ出されたサントリーウイスキーの数々


続いて輿石さんにウイスキーの魅力についても聞きました。


■ブレンダーの考えるウイスキーの魅力
水野「ウイスキーの魅力についても教えてください。」
輿石「僕が思うウイスキーの魅力は、香りと余韻です。原酒が樽で熟成していく間に、少しずつ香りや味わいが変化していく様子を見ているのは、ブレンダーとして携わっていて面白いです。また、熟成することで香りが華やかになってくるのが、ウイスキーの1番いいところだと思っています。」
水野「熟成の過程を見られるのはブレンダーならではですね。」
輿石「はい。そして原酒の個性を確認し、どう使っていくのかを考えるのがブレンダーの1番大事な仕事です。複数人いるブレンダーの中で意見が違うこともあります。答えはひとつではありません。どの原酒を将来に残し、どの原酒を今、製品を構成する原酒として使うのかを考え判断する作業は、僕たちの腕の見せどころだと思っています。」
水野「ブレンダーは、1日100種類以上の原酒をテイスティングすることもあると聞きます。原酒の個性は全て人の味覚や嗅覚で判断しているんですか?」
輿石「デジタル化というのはありません。ほぼ全てアナログです。もちろん機械でも近いところまでなら原酒の個性を判断できるかもしれません。しかし、サントリーウイスキーならではの香りの綺麗さや余韻の長さ、キレの良さは、人の手で丁寧につくりあげないと実現できないと考えています。ウイスキーを最後に愉しむのは機械ではなく、人ですからね。」


サントリーウイスキーは人の手で丁寧につくりあげられていますサントリーウイスキーは人の手で丁寧につくりあげられています


インタビューの最後に読者の皆さんへのメッセージをもらいました。


■読者の皆さんへメッセージ
輿石「山崎蒸溜所は創業開始からまもなく100年目を迎えます。この長い歴史の中で生まれたいろんな原酒をもとに、さらに多彩な原酒をつくり続けていきます。皆さまから、サントリーウイスキーを愉しんでいただけているといった声を聞くと、感謝の気持ちでいっぱいになると同時に、なんとか皆さまの元にお届けしたいと思っています。これからも人の手で丁寧につくりあげられたサントリーウイスキーを愉しんでいただければ嬉しく思います。」


ブレンダーという職業柄、テイスティングの際の感覚に影響がでないよう、平日は香りの強いものを避け、淡白な食事で過ごしているという輿石さん。
休日はスパイスからこだわったカレーライスをつくったり、ニンニクをたっぷりと加えた自己流ペペロンチーノなどの料理を作って気持ちをリフレッシュしているそうです。


今回はブレンダーの輿石さんに、普段のウイスキーの愉しみ方を教えてもらいました。
皆さんもぜひ試してみてくださいね。



【お知らせ】工場見学の営業に関する最新情報は、山崎蒸溜所ホームページにてご案内しています。ご来場前に必ず、営業日・時間、予約方法等のご確認をお願いいたします。「山崎蒸溜所ギフトショップ」へのご来場には、「山崎蒸溜所ツアー」または、「山崎ウイスキー館見学」のご予約が必要です。

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