アカトンボ
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「夕焼け小焼けのアカトンボ」の歌で親しまれているトンボ
赤いトンボは、実は何種類もいるのですが、夏に「天然水の森」のような山の中で見られるアカトンボは、アキアカネという種類です。
ひと昔前まで、アキアカネは、田んぼの稲が黄金色に色づくころに、空を覆うように群れ飛んでいました。その姿が、次第に少なくなってしまったのは、農薬や温暖化の影響といわれます。
田んぼ生まれのトンボ
アキアカネは、平野部の稲刈りあとの田んぼの水たまりや浅い池のそばにある草むらなどで、ハート型になって交尾を行います。
このハートの形を10分ほど続けて交尾が終わると、オスメスがつながったまま飛翔して水面に移動し、メスが水面を叩くようにしながら産卵するのです。一匹のメスが産む卵の数は2,000個程度といわれています。
産み付けられた卵は干上がった田んぼの泥の中で越冬し、春に田んぼに水が張られるのを待って孵化し、ヤゴになります。その後、ミジンコやオタマジャクシ、小魚などを食べて成長し、7月ごろに羽化して、トンボになります。
暑さが大嫌い
羽化したアキアカネは、田んぼの周辺でたくさんの昆虫(その中には、カメムシやウンカのような田んぼの害虫も含まれます)をせっせと食べてくれます。そのまま、田んぼに居続けてくれれば言うことはないのですが、残念なことに、アキアカネは、大の暑さ嫌い。気温が30度を超える土地では生きていけません。そのため、彼らは一斉に山や高原に移動し、夏の暑さを避暑地でやり過ごします。その間に、ゆっくりと成熟し、お腹の色も地味な茶色から鮮やかな赤へと染まっていくのです。
こうして赤く成熟したアカトンボが、生まれ故郷の田んぼに戻り、命のサイクルをつないでいくのですが、実は、近年の温暖化が、このサイクルを乱しています。産卵期になっても、平地の田んぼが涼しくならないのです。そうなると、暑さ嫌いのアキアカネは、平地まで下りることができません。
有機水田の心強い味方のはずが・・・
「天然水の森 阿蘇」では、「冬水田んぼ」(休耕する冬の時期に水田に水を張る農法)を利用した水源涵養活動を進めています。
その「冬水田んぼ」の有機栽培水田では、害虫対策として、アキアカネやカエル、ツバメ、クモなどの天敵の力を借りています。特に収穫前後の時期には、大食漢のアキアカネの到来を待ち焦がれているのですが、今後は、あまり期待できないのかもしれません。
「夕焼け小焼けのアカトンボ」と歌っても、子供たちには、何のことか分からない時代が来つつあるのでしょうか。
「冬水田んぼ」の活動を見る








