SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2006年6月26日

#25 川村 拓也 『ファーストスクラムがすごく重要』

◆初スタメンで怪我しても前向きに考える

—— 「好きな色は?」という質問に「オレンジ」と答えていましたが、オレンジは好きですか?

オレンジは明るい色なので好きですが、とくに好きだということでもないです。ただオレンジは、赤みたいに目にちかちか入ってこないような色だという気が僕にはするんで、服とかを見ても明るいのを選ぶときも赤とかでなく、オレンジ色のを見たりしちゃっていますね。

—— オレンジが好きなのは巨人ファン(野球)?オランダファン(サッカー)?

いや、どちらもとくに好きではないです。

—— 今年初スタメンのオープン戦(クボタ)で怪我をしました

初スタメンだったんで、どうしてもここでアピールしたいな、というのがありました。結果的にこうなってしまって、しょうがないと、今はもう前向きに考えています。

川村 拓也_画像1

—— 具体的にどんなプレーでの怪我だったんですか

スクラムを組んで、僕が覚えているのは、踏ん張った時に外れた感覚がありました。MRIを撮ったら、前十字靭帯が切れているということでした。やった時はすごく痛かったですよ。

—— 怪我には強い方ですか

大きな怪我はそんなにしたことないですね。去年、半月板とかをやったりしていますが、ここまで大きいのはそんなにないので、怪我はあまりしない方ですね。

—— 何か秘訣がありますか

特にないですね。気をつけることはしていません。

◆田舎育ちなのでおっとり

—— 短気ですか?

短気だと思いますが、あまり表には出しません。例えば、いま短気を出したら逆にシンビン(※1)を取られて、すごくチームに迷惑をかけるとか考えて、短気を表に出しても無駄だなと思うんです。でもホントに頭にきた時には、陰で見えないところで表に出すこともあります。

※1:シンビン=不正なプレーを行った選手が10分間の一時的退場を命じられる事(Sin=違反・罪悪 Bin=置場・物を入れる大箱)

—— それは何か表に出して失敗した教訓があるとか

川村 拓也_画像2

表に出して失敗したということはないですけど、やっても無駄なんだな、というのは、先輩たちのプレーを見てても、他のチームの試合を見てても、やったことによって、チームの流れが変わるし、チームに迷惑かけるのがわかるので、そこまでやったことはないですね。

—— 性格は大人しい?

結構おっとりしているような性格だと思います。2人兄弟の次男坊ですが、小さい頃は喧嘩していたけど、田舎育ちなのでおっとり、というところがあるかもしれません。

—— 大人しい子がラグビーを始めたきっかけは

最初は親です。僕から始めたわけではありません。太りだした小学校高学年から始めました。何かスポーツをやらせたかったらしいんですが、太ってきたんで、やるんだったらラグビーか相撲のどっちかにしろと。地元がラグビーが盛んなところだったので、相撲へはいかなかったですし、施設や環境的にも相撲という選択はなかったと思います。

◆ぶつかるというのが新鮮

—— そうやって始めたラグビーは?

楽しかった。ボールを持って前へ出て当たる、単純なんですけどそれがいちばん楽しくて...。当たって、ぶつかり合うのがいいんですね。とくに何をどうしたからというのでもなく、ただぶつかるというのが、小さい頃からあまり経験がなかったので新鮮でした。チーム自体は弱かったんですが、友達もいっぱいできたんで、楽しかったです。人より体が大きかったというのもあったし、足はその時から遅かったし、万年プロップです。

—— 中学でもラグビーを?

飯豊(いいとよ)中学に入って、バスケットをやりました。ラグビーは北上市のラグビースクールでやっていました。小学校6年生の時からラグビーはこのスクールでやっていたんです。バスケはそのころとくに流行っていたので、弱かったけど3年間やりました。バスケもラグビーも両方楽しかったんで、両方やっていました。

—— そして高校ですね

川村 拓也_画像3

黒沢尻工業高校、地元の高校でラグビーが強く、僕が1年の時に花園へ出ました。2、3年の時は、北條(純一)のいたところ、盛岡工業に負けました。ラグビーがやりたくてその高校に入ったし、中学でもラグビー部があったら、バスケでなくラグビー部に入っていたと思います。

◆奥が深いな、楽しいなぁって思った

—— 高校でも楽しかったんですか

楽しいっていうより、結構奥が深いなと思いました。それまで理解できてなかったところがいろいろあるんだなぁ、これはまた楽しいなぁって思いました。ポジションによってタイプがぜんぜん違う、太っているのもいれば、パスを放れる人もいる、身長が高いのもいれば、走れる人もいる、いろんなことができるのが15人一緒になってやる、そういうところが楽しいと思いました。だんだんラグビーに興味を持ち始めて、中学の時には91年のワールドカップとかも、いろいろわからないなりに、テレビで見たりしていました。

—— その頃の憧れの選手とかいますか?

その時は吉田義人(※2)とか、すごい人がいましたから、僕らより身長が低いのに、世界で動けるんだということを見ていました。

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※2:吉田義人=元日本代表WTB/明大-伊勢丹-コロミエ-三洋電機-福岡サニックスボムズ/現・横河電機ヘッドコーチ

—— 大学時代は

大学自体がフォワード主体のとくにスクラムを重要視しているチームでした。そこではラグビーというものの深さより、スクラムというものに、すごくいろんな考え方があるんだということを知りました。もちろん社会人になれば、当たりとかは大学時代に比べるものがないほど、すごいんですけど。

◆テレビから清宮さんの闘争心が伝わってきた

—— 憧れの吉田選手と一緒にプレーしたことは

一緒のチームで1回だけ、大学の時にたまたま関東代表に呼ばれて、その時一緒にいました。ただただ、すごいなぁーっと。清宮さんとか、永友(洋司/サントリー前監督)さんとかも、一緒にプレーできるんだなぁと思った選手でした。

清宮さんは、日本選抜の試合を見た時に、すごい人だなぁと思いました。花園が改修されて、工事が終わった柿(こけら)落としの試合で、初めてオックスフォードに勝った時でしたが、清宮さんはナンバーエイトかフランカーで出ていて、闘争心というのがテレビを見てても伝わってきました。

—— 清宮監督の現役時代とはかぶったんですか?

1年だけでしたが、嬉しいなぁ、すごいなぁって感じでした。

—— そしてまた監督として戻ってきた

とくにその辺に関しては意識していません。昔のすごい憧れのプレーヤーが今は監督だということですが、監督にはついていくだけで、そこは誰が監督でも変わりません。

◆スクラムをコントロールしたい

—— 自分のセールスポイントは?

いいところ、というか、こうしたいというところは、スクラムをコントロールしたいですね。いろいろ駆け引きがあるけれど、ファーストスクラムの印象の相手チームへの与え方とか、相手に勝つためには、すごく重要視している部分です。

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とにかく1人1人が負けると、絶対に影響が出てきます。1人でスクラムを組んでいるわけではないので、個々がその闘いに勝っていれば、間違いなく勝つことができますから。

—— 相変わらず、ぶつかる楽しさがありますか?

今は楽しいっていうより、その時々に勝ちたいという気持ちの方が強いんです。スクラムは結構きついし、しんどい面もあるんですが、こいつにはどうしても勝ちたい、来た相手には絶対に勝ちたいという気持ちです。もちろん痛かったり、体力的にもやっぱりしんどいところはありますが、ここで勝っておけば間違いなく相手チームにプレッシャーがかかるし、試合の流れも変わってくると思って、その1つ1つのセットプレーが重要だと思ってやっています。

◆去年の初スタメンが嬉しかった

—— これまででいちばん良かった試合は?

去年、初めて先発で出たリコー戦です。スクラムも押せていたんで、初めてのスタメンだし嬉しかった、というのもあります。ずっと6年ぐらいかかってきたんで、嬉しかったし、個人的にも結構勝っていたと思います。

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—— サントリーに入ったのは?

仕事とラグビーを両立させている点がしっかりしていて、前々からそのことは聞いていて、ラグビーも強豪のチームでしたので、入りたいなと思っていたら、声が掛かりました。

実際に入ってみると、レギュラー取りたいなとは思っていましたが、いろいろ参考にできる人たちがいっぱいいて、みんなに持ち味があって、そのいい部分を見つけたいなと思ってました。例えば、シンさん(長谷川)のヒットする間合いとか、その後のチェイス(※3)とか、後は角度とか。今は1番なんで、結構1番を参考にしています。

※3:チェイス=スクラムで当った後、そのまま前に足を掻いていくプレー(用語解説=中村直人コーチ)

◆先発で出たい

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—— さて怪我していますが今年の目標は?

必ず先発で出たい。そしてチームが優勝できるようになること。

—— 怪我して帰った日は奥さんに何と言われました

「えっ!?」って言ってました。

—— 手術はまだ先ですか?

1か月後ぐらいだと言われています。ちょっとリハビリしてからの方が、手術した後のリハビリが違うそうです。筋力トレーニングをしておいて、手術をして、やはり落ちて細くなるけど、した後のリハビリがぜんぜん違うとのことです。前向きに考えてやっています。

(インタビュー&構成:針谷和昌)

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