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サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2015年1月 6日

サンゴリアス ラグビー大辞典 #194“特別編”『ファーストスクラム その1』

サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
 
 
「ファーストスクラム」その1(解説:小澤 直輝)
 
 
ファーストスクラムは、とても重要です。チームとしてもその試合の流れを決めますし、レフェリーに対しても「どっちが優勢か」ということを示すことになりますし、相手にとってもプレッシャーを受けたら「あ、次にスクラム組む時に嫌だな」と思ったり、逆に「行けるな」と思わせてしまったりするので、何においても“印象”になりますので、最初のスクラムは大事です。
 
いちばんダメなのが「ファーストスクラムでペナルティを取られる」という状況です。印象も悪く、ボールも相手に渡ってしまいます。「ペナルティをしないようにスクラムを組もう」ということは、両チームお互いに心掛けているところだと思います。そして相手に押し込まれないようにということも、両チームとも思っていることだと思います。
 
故意でなくても、落ちてしまったりとかアーリープッシュだったりとか、やってしまうことがありますが、レフェリーの印象が悪くなります。その流れで2回目のスクラムも同じ感覚で笛を吹かれてしまうと、試合を通して良くない印象を持たれてしまうことになります。
 
アーリープッシュは、こっちが「行ける」と思っていても、相手との兼ね合いですから、タイミングを合わせないといけないところを、ボールが入る前に押してしまうという反則ですね。
 
でも、そういうことが起こってしまった場合、試合を通して修正していけるというのは、セットプレーの良いところでもあります。レフェリーによっても組み方とか距離感とかが違うので、スクラムにしてもラインアウトにしても、回数を重ねていく毎に、フィットして行くと思います。相手との組み方も傾向が分かってきます。

 
ある程度、最初のスクラムで「あ、今日はいけるな」と思った日は、フォワードみんなでコミュニケーションを取って、試合中に「こっちを押し込んでペナルティを取りにいこう」というような話はします。こちらが不利な時にも改善する方法があるので、それは話し合いながら試合中にどんどん改善していきます。
 
ファーストスクラムを組む時にいちばん大事にしていることは、僕たちがやってきたプロセスです。しっかり8人のパックでまとまって、ロックの重さ、バック5の重さを感じて、良いセットアップをするということで、それを意識しています。
 
最初は相手がまだどうなのか分からない状態なので、いつも練習でやってきたのと変わらないセットアップをやるということを、心掛けていますね。相手が強いと良いセットアップが出来ないということが起きますから、そこは考えながらですね。もし悪いスクラムになったら、「プロセスのこういう面が悪かったんじゃないか」と話し合ったりします。
 
いちばん最初に前3人がバインドして、そこからロックが入ってフランカーが入って、ナンバー8が押さえてというのがスクラムを組む前の流れですが、今は前3人だけの強さでなくて、8人の重さで組むということをずっと心掛けています。それがやっぱり大事なことだと思います。

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