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サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2013年3月12日

サンゴリアス ラグビー大辞典 #039 『バックス』

サンゴリアスやラグビーを語る上で、必ず出てくるラグビー用語やサンゴリアス用語。そんなワードをサンゴリアスのあの選手、あのスタッフならではの解説で分かり易く解説するコーナーです。
 
 
「バックス」(解説:有賀 剛)
 
バックスとは、9番から15番までの7人のことを言います。スピードとスキルと球技センスが問われるポジションです。それらがないと、相手を抜けない、トライが取れない、そういうポジションです。仲間同士の連携もありますが、今のラグビーでは、バックスはスピードとスキルとタイミングが問われています。
 
バックスにもそれぞれ役割があるので、バックスの中でもその選手に合ったポジションがあると思いますが、その全てで絶対的にスピードが必要とされています。そしてスキルには、例えばキャッチングスキルで言えばボールのキャッチの仕方ひとつとっても、パスのもらい方が上手い選手とヘタな選手がいて、そこでセンスがあるか無いかが分かります。ポジション、キャッチングスキル、タイミング、深さ(相手との間合い)、それらを含めて仲間との連携が取れないと上手くいきません。
 
スキルに関しては、繰り返し練習をすれば上手くなることはあると思いますが、センスはある程度、生まれ持ったものも大きいと思います。体が大きい、小さいというところに加え、若い時にそこで判断されて、フォワードをやれ、バックスをやれ、と決められているケースが多いと思います。バックスでコンタクトつまりタックルが好きな選手もいて、そういうディフェンシブな選手はセンターが合っています。ディフェンスでもスピードがなければ、相手について行けません。またスキルフルな選手は10番とか12番が合っています。より走りが得意な選手は、11番、14番になります。

 
バックスとフォワードを比べてみると、どちらかと言うとバックスの方が我が強い選手が多いと思います。自分のイメージと自分の成功体験を持っていて、それを共有するのには時間がかかる感覚があります。フォワードも例えばスクラムなどに対してこだわりを持っていると思いますが、とくにプロップの選手に代表されるように、温厚な方が多いのではないでしょうか。バックスは最後にポイントを決め切らなければというポジションなので、我が強い選手が多いのかもしれません。
 
フォワードは人のぶつかり合い、バックスは人の抜き合いなので、バックスの喜びは、抜く時の快感だと思います。そのために仲間とタイミングを合わせ、チームとして連携します。1人で動いているということは殆どなくて、常にユニットで動いています。3人、4人でムーブを作りながら、そこにパスとスピードとタイミングがそろって、初めて良いアタックができます。ですから我が強いとは言え、協調性がないと成功できないんです。
 
バックス同士がお互いにチームメートのことをよく知っているチームは強いと思います。「こいつはこういう時にこういうプレーをする」、「あいつはこういうプレーが好きだ」、ということを知っているチームが良いチームだと思います。感覚だけでやっていて、2人とも同じところを走っているとか、まったく合わないケースもあります。そういう場合は、もうちょっと練習しないといけないということです。
 
バックスの楽しさは、人の抜き合いに加えて、ちょっと華があるところかもしれません。目立つプレーがバックスの方が多くて、見えないところで仕事をしているのがフォワードなので、そういう部分でバックスの方が人の目につきやすいのかもしれません。でも「ラグビーはフォワード」です。フォワードが負けたらラグビーになりません。フォワードが球の取り合いで負けたら、バックスはタックルするしかなくなります。スクラム、ラインアウト、ブレイクダウンの部分が大切ですから、ラグビーはフォワード次第です。僕らバックスはフォワードありき、フォワードに頑張ってもらわないと目立てないですし、活躍できません。

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