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サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2012年12月11日

サンゴリアス ラグビー大辞典 #013 『ノックオン』

サンゴリアス ラグビー大辞典 #013 『ノックオン』 サンゴリアスやラグビーを語る上で、必ず出てくるラグビー用語やサンゴリアス用語。そんなワードをサンゴリアスのあの選手、あのスタッフならではの解説で分かり易く解説するコーナーです。
 
 
「ノックオン」(解説:長友泰憲)
 
“ノックオン”を僕に聞くんですか。「そう来たかぁ」という感じですが(笑)、“ノックオン”とは、僕もよくしてしまいますが、ボールを前に落とすことです。これはよくあることですから、それを練習して、いかにしてミスを少なくするかというのが、大事だということです。そういうことです、分かってはいるんですよ(笑)。
 
ノックオンしてしまった時は、「うゎ~っ」って感じです。とりあえず「うゎ、やっちゃったよ」って落ち込む感じです。ディフェンスの時に相手にタックルに入った時に相手がボールを落とした場合のノックオンだったら、プレーも止まるし向こうの勢いも止まるので良いんですが、自分が攻めている時に落としてしまった時は「やってしまった~」という感じです。チームみんなで大事にボールを繋いできたところで落としたりしたら、みんなのことを考えながら「うゎ~。ごめんなさい」という感じですね。
 
ノックオンしても次のプレーがありますから、すぐに切り替えなければいけないんですが、そこが難しいですね。そういう時はとりあえず上を向いて「よし!行くぞ!」と言い聞かせて切り替えます。上を向いて「宇宙は広いんだな」と感じながらやります(笑)。「空はこんなに青くて広いんだから、そんなこと考えているのはちっぽけだ」と言い聞かせて切り替えます。実際はちっともちっぽけなことじゃないんですが、宇宙に比べたらちっぽけなことだと思いながら、気持ちを切り替えます。

 
ノックオンをしやすい状況は、ボールが滑りやすい時です。夏、みんなの汗がボールについていて滑りやすくなるとか、雨の日もそうですね。それ以外では、空中のボールを相手と競り合ってキャッチする時に競っている相手の選手を見てしまってボールを最後まで見ていなくて落としてしまう時もあります。体は先に行こう行こうとしていて、ボールを見ていなくて落としてしまうことがあります。前を見るのはキャッチしてから出ないとダメですね。まずはしっかりとボールをキャッチしなければ次は無いですから。それと、もともとボールが楕円球ですから、ちょっと滑りやすいというか、いじわるな形ですよね。
 
僕の嫌な思い出というか、痛恨のノックオンは、去年の日本選手権準決勝、花園ラグビー場での神戸製鋼戦でのノックオンです。自陣深くからずっとサントリーがボールを繋いで攻めていて、みんな集中してボールを継続して敵陣のゴール前まで攻めてきたんですが、そこで右サイドのゴール前で僕にボールが回ってきて、そのボールをキャッチしたらあとはトライするだけというシーンだったんですが、なんとそこでノックオンしてしまいました。ここでトライを取っていたらチームが勢いに乗るという状況だったんですが、反対にそのボールを神戸に拾われてしまって、そのまま一気にカウンターで持って行かれてトライされてしまいました。その時は本当に「負けたら責任とって辞めよう」と思いました。この試合で負けたら準決勝敗退でシーズンが終わりという試合で、頭が真っ白になったというか「もうダメだ」と思いました。このノックオンから立ち直るのには、結構時間がかかりました。難しかったですね。その時の試合のビデオがあれば、ノックオンした後の僕の顔色を見てもらったらすぐ分かると思います。血の気が引いて真っ白な顔をしています(笑)。
 
 
ノックオンをしないコツは、ひたすらボールを触っておくこと、そしてキャッチする練習と「常に落としたら終わり」ということを意識しながら練習することではないでしょうか。

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