営業畑から一転! 50年続くサントリーの愛鳥活動に携わって【後編】
営業畑から一転! 50年続くサントリーの愛鳥活動に携わって【後編】

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営業畑から一転! 50年続くサントリーの愛鳥活動に携わって【後編】

23.04.26

1973年に始めた「愛鳥活動」を進めていく先々で、素晴らしい野鳥保護活動団体の皆様に出会いました。その仲間に入れていただき、何かお手伝いできないかと始まったのが1989年に設立した「サントリー世界愛鳥基金」です。前編から引き続き、サントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ推進部 天然水の森グループ 愛鳥活動担当 髙井奈緒美が「サントリーの愛鳥活動」をご紹介します。

コウノトリやトキなど、絶滅危惧種保護活動を支えた「愛鳥基金」の誕生

愛鳥活動を続けるなかで、夢を持って真摯に活動される保護団体の方々が直面していた経済的な厳しさを知り、サントリーは1989年、創業90周年を記念して「サントリー世界愛鳥基金」を設立しました。1990年から助成を開始し2023年までに延べ494件、約6億円の贈呈を続けています。

現在、基金には3つの部門があり、最初に始めたのは国内外の希少種などを守る「鳥類保護団体への活動助成」です。2つ目は、活動のすそ野を広げるための「地域愛鳥活動助成」で、身近な鳥類保護・観察活動を行う学校のクラブやボランティア団体といった地域グループに対し、観察のための双眼鏡などの購入費用を助成しています。一番新しいのが3つ目の「水辺の大型鳥類保護」活動への助成です。水辺の生態系ピラミッドの頂点であり、人間の身近にいたコウノトリ、トキ、ツルなどの大型鳥類がすめる水辺の環境の整備、再生を行うための助成です。

野生復帰が進むコウノトリ

トキの保護活動団体にも助成を続けています

助成先から、「活動初期の助成金が本当に助けになった」という生のうれしい言葉をいただくこともありますが、絶滅危惧種の復活には長期にわたる保護活動が必要です。関係者の努力と応援を続ける人々の思いがようやく実り、近年コウノトリ、ガン、トキの復活が確認されつつあります。サントリー世界愛鳥基金も当初からの応援団の1つとして、この成果を大変うれしく思っています。保護活動がより大きく広がり、その成果を見守れることは応援者の一人として大きな喜びです。

それまで営業部門が長かった私が環境活動に携わったのは10年ほど前のことですが、活動を通じてサントリーの自然への思いに気づき、働くことへの誇りにつながりました。サントリー愛鳥活動の50年の間には、存続さえ危ぶまれた大変な時代が実はありました。そうした時代でも、担当者が頑張ってバトンをつないできたのが愛鳥活動です。「継続は力なり」と言いますが、私もしっかりバトンを受け取って、さらに羽ばたかせて次世代へ引き継いでいきたいと思っています。

スマホで使える世界最大の野鳥観察データベース「eBird

グローバルに普及活動を積極的に考え始めたなか、野鳥保護団体から情報をいただき出会ったのが野鳥観察データベース「eBird」です。「(公財)日本野鳥の会」が、アメリカのコーネル大学鳥類学研究室と日本のポータルサイト「eBird Japan」オープンに向けて準備をされていたところでした。

「eBird」は、コーネル大学鳥類学研究室が運営する世界最大の科学研究プロジェクト。スマホがあればどこでも野鳥観察記録がつけられ、自分の記録を投稿すれば世界のビッグデータの一部になり、投稿せずとも日本の野鳥のホットスポットや世界の鳥の生態を見ることができる素晴らしいツールです。サントリーは「eBird Japan」のメインスポンサーとして申し出をし、「日本野鳥の会」と一緒に推進しています。

また、「eBird」とともに、eBirdに蓄積される野鳥観察情報を利用する野鳥識別アプリ「Merlin(マーリン)」もリリースされています。アプリのデータベースは世界共通で、各国の専門家が窓口になっています。日本では「日本野鳥の会」がeBird Japanの公開に伴い「Merlin」も日本語化しており、図鑑代わりに楽しむこともできます。
eBird Japan公開以降、日本の野鳥観察データは急速に増えています。今後データが積み上がって、世界的な調査研究や保護活動に活用されることを期待しています。研究者だけでなく、市民もバードウォッチングをしながら参加できるのは、とても楽しく意義のあることだと思います。

「eBird」も「Merlin」も、誰でも無料で利用できます

「eBird」での観測画面と、「Merlin」での野鳥データベースの確認画面

バードウォッチングを楽しむ方が増えるなか、「この活動をずっと続けていきたい」という思いで、野鳥のいる環境について考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。「お気に入りの鳥の姿が見えないけど、環境が変わったのかな?」など思いを馳せることが、環境を意識し、次の行動につながる第一歩となるかもしれません。そういう意味でも野鳥観察に「eBird」はとても良いツールだと思います。別の魅力があるサントリーの愛鳥活動サイト「日本の鳥百科」と併せて、ぜひ楽しんでいただければ幸いです。

▼関連リンク

サントリーの愛鳥活動

eBird Japanポータル

eBirdの詳細、使い方はこちら

撮影協力/東京港野鳥公園
*東京港野鳥公園には(公財)日本野鳥の会のレンジャーが常駐しています

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