100余年の歴史を体感。サントリー日本ワインの原点「登美の丘ワイナリー」へ行ってみた【前編】
100余年の歴史を体感。サントリー日本ワインの原点「登美の丘ワイナリー」へ行ってみた【前編】

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100余年の歴史を体感。サントリー日本ワインの原点「登美の丘ワイナリー」へ行ってみた【前編】

23.04.26

サントリー日本ワインの原点・山梨県甲斐市にて、100年以上の歴史を持つ「サントリー 登美の丘ワイナリー」が2022年9月、体験・体感型ワイナリーにリニューアルしました。サントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ推進部 久次米ひかりがオフィスを飛び出し、そんな歴史ある日本ワインの生産現場をレポートします。

体験・体感型へとリニューアルした「サントリー 登美の丘ワイナリー」

眼下に広がる甲府盆地と富士山を眺めながらワインを楽しむことができるワインテラスや、試飲もできる素敵なショップといった施設の充実とともに、各種ツアーを用意して体験・体感型ワイナリーにリニューアルした「サントリー 登美の丘ワイナリー」。

サステナビリティ活動の情報開示を担当している立場として、さまざまな取り組みを行っている登美の丘ワイナリーの現場を見たい! と機会をもらい、100年以上にわたってバトンがつながれてきたサントリーワインの原点である山梨県にやってきました。このワイナリーに立ち、感じた空気や学んだことをお伝えしたいと思います。

目の前に甲府盆地が広がる「富士見テラス」も整備されました

訪れた日は気持ちの良い秋晴れ。標高500mの朝の空気を胸いっぱいに吸い込むと、カラダの隅々までキレイになりそう! 朝は肌寒かったものの、太陽が高くなるにつれて気温は上がり、暑いぐらいに。この寒暖差がぶどうの品質を上げ、理想的なぶどうを育てるんですね。

豊かな自然のなかを熟成庫まで、曲がりくねった山道をツアーバスで下ります

まずはツアーバスに乗り込み、1950年代に山をくりぬいてつくった熟成庫を見学する「ワイン熟成庫ツアー」へ。ちょっとしたサプライズは道の途中にある「スイッチバック」。険しい山道は昔の車では登り切れず、急なカーブでは折り返すようにバックで坂道を下ったそう。あえてこのスイッチバックを残すことで、長い歴史に思いを馳せる演出となっています。

最初の扉をくぐった入り口のモニターで、まずはワインづくりの行程を学んでから、さらに二重扉を開いて熟成庫に一歩入ると、そこはひんやりと心地良い空間。熟成庫内は、エアコンも活用していますが夏でも温度は16℃前後、湿度は60%と、ワインに理想的な環境になっています。ワインを熟成するのに理想的な空気は、人も居心地がいいものでした。

貫禄の熟成庫は今でも現役

樽1つの容量は225Lで、750mlボトルだと300本分

静謐な空間には、静かにデビューの時を待つワイン樽がずらり。ワインはぶどうそのものの味わいを楽しむお酒。だから熟成には、香りを主張しすぎないフレンチオーク(楢)製の樽を使うのが主流で、樽はわざわざフランスから買い付けられます。

樽で熟成したあとは、「瓶熟成」の工程へ。ボトルのなかでも味わいが変わるのは、ワインならでは。そのメカニズムはいまだに解明されていないそうで、ちょっと神秘的ですね。瓶詰めされた熟成庫には、1960年代の「シャトーリオン」を始め、このワイナリーで生み出されたそれぞれの年の代表的なワインも、未来のつくり手に歴史を継承する資産として大切に保管されていました。フラッグシップワイン「登美」、貴重な貴腐ワイン「登美 ノーブルドール」、少量生産の「ワインのみらい」シリーズなど、多彩なラインナップに日本ワインの進化を実感することができました。

樽から瓶詰めされたのち「瓶熟成」されます

熟成庫ツアーの終盤に展示される日本ワインたち

さまざまな日本ワインをテイスティングできます

熟成庫ツアーの最後は、出発点となったテラスに併設されているワインショップで、登美の丘ワイナリーをはじめ日本各地のつくり手が丹精込めた日本ワインのテイスティングです。飲み比べをすることで、品種や産地により違う「テロワール(ぶどう畑の土壌、地形、畑ごとの微妙な気候の差など、ワインづくりに影響をあたえる自然の要素)」を体感できます。

テイスティングカウンターは熟成庫ツアーに参加しなくても利用できます(有料)

ほかにもお得に日本ワインを試飲できるコーナーも(有料)

この日は、日本固有の品種「甲州」を原料とした白ワイン3種をテイスティング。見た目は同じでも、育った場所や樹齢により、味わいがまったく違うのが驚き! 若木のぶどうだけでつくられた爽やかさ、古木ならではのまろやかさ、冷涼地で育った深みのある味わい――。おいしさのなかの個性までしっかり味わえるのも、テイスティングの醍醐味ですね。和食との相性がいい日本ワインの繊細さ、優しさを実感することができました。

ワインショップには、ここでしか買えない数量限定の貴重なワインも

「登美の丘ワイナリー」で体験ツアーに参加し、空気や風、日差しを感じながら、本当に気持ちのいい1日が過ごせました。この空気を、商品を通じてお客様にも届けられるのだとうれしく感じられました。ここで育ったぶどうたちなら、おいしくなるのも納得です。生産地を気軽に訪ねられるのも、日本ワインならではの魅力。みなさんもぜひ足を運んで、ワインの味わいを生んだ風土を体感してください。

また今回の体験で、ワインには「土」「水」に加え、「人」も深くかかわっていることをあらためて実感することもできました。そのレポートも、後編としてお届けしますのでお楽しみに。

(後編に続く)

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サントリー 登美の丘ワイナリー

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