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これまでの社会との対話

サントリーグループの品質保証体制

サントリーグループは、より安全・安心な商品の提供を通じて、お客様から一層の信頼を獲得するため、品質保証体制の継続的な改善・強化に取り組んでいます。その一環として、この分野で高い見識をもつ高岡美佳氏を、品質保証の中核拠点がある「商品開発センター」にお招きし、意見交換を行いました。当日は、お客様視点と科学的根拠に基づく品質保証体制について全般的な説明を行った上で、中味設計ラボや包装試験室、分析ラボなど、商品開発センター内の各部門を、現場の担当者へのヒアリングを交えながら見学いただきました。その後、「すべてのプロセスにおけるお客様視点の品質保証」「拡大するビジネス領域に対応した品質保証」の2テーマについて、ディスカッションを行いました。

  • 開催日:2014年4月3日
  • 場所:サントリー商品開発センター(神奈川県川崎市)

有識者

立教大学 経営学部 教授
高岡美佳氏

サントリー

平島 隆行
サントリーホールディングス(株) 執行役員 品質戦略部長
池田 博
サントリーホールディングス(株) 品質戦略部部長
谷口 貴之
サントリービジネスエキスパート(株) 品質保証本部副本部長 兼 安全性科学センター長
原田 雅己
サントリービジネスエキスパート(株) 品質保証推進部長
折井 雅子
サントリービジネスエキスパート(株) 常務取締役 お客様リレーション本部長
北桝 武次
サントリーホールディングス(株) コーポレートコミュニケーション本部 CSR推進部長

Part 1:すべてのプロセスにおけるお客様視点の品質保証

サントリー
サントリーグループでは、お客様からの一層の信頼を獲得するため、お客様視点の品質保証に取り組んでいます。その実態をご理解いただくため、先ほどまで、お客様から寄せられたご意見やご要望をもとにした品質分析や商品改善などの現場をご覧いただきましたが、まずは率直なご意見をお聞かせいただけますか。
高岡
各部門の方々がどうすればもっと品質が良くなるか、どうすればお客様からのご指摘がなくなるかということを突き詰めて考え抜く姿勢を持って品質保証に取り組んでいることが理解できました。消費者の一人として安心すると同時に、「ここまでやっているのか」と驚かされました。なかでも感心したのが、お客様からの声を起点とした取り組みです。お客様が購入されてから実際に消費されるまでの「タイムラグ」は、食品メーカーが品質を管理できない期間です。そこで何が起きているかを把握するために、お客様の声を吸い上げることが重要だということが、改めて分かりました。
サントリー
「お客様の声を活かしたい」という思いは、私どもにとって常に身近な思いとしてありましたが、より組織的に推進するために、2002年に「お客様センター」に隣接して「マーケティングサポートセンター」を新設しました。そこから、お客様の声を事業活動に活かすというミッションが明確化しました。
高岡
1つ気になるのが、サントリー商品を購入した「お客様」だけで良いのか、という点です。ISO26000では中核課題として「消費者課題」を掲げていますが、サントリー商品を買っていない方々も含めた「消費者」全体についてはいかがでしょうか?
サントリー
サントリーでは、老若男女すべての消費者がお客様という考えがベースにあり、「お客様」と「消費者」を厳密に区別してこなかったかもしれません。ですから、今、ご指摘いただいた「消費者」すべてを「お客様」と捉えており、実際に「お客様センター」に寄せられる年間10万件近くの声には、サントリー商品を購入されてない方からのものも含まれています。また、ソーシャルネットワーク(SNS)で呟かれている声も分析対象にするなど、広く消費者全般のご意見・ご要望を品質改善に活かしています。とはいえ、誤解を与えかねませんので、そうした定義をきちんと外部の方には伝えていきたいと思います。
高岡
消費者すべてをお客様と捉え、その声をもとに品質を、そして満足度を高めていくというのは素晴らしい考えですので、そこが伝わらないのはもったいない気がしますね。ただ、それだけ多くの声を集めていると、どう分析し、どう対処していくかが重要になると思います。
サントリー
例えば品質に関して検討する場として、毎週火曜日に役員も参加する「リスク検討会」を開催しています。ここでは、お客様の声に加えて、生産や開発、品質管理を担当する各部署からの声、さらには他社製品も含めた品質トラブル事例などの社会情勢も共有しながらリスクファインディングを行い、迅速に実際のアクションへとつなげています。
高岡
品質保証やお客様対応、環境配慮といったリスクマネジメントは、手間もコストもかかるものですから、きちんと実行するためには、役員が会議に毎回参加して、コミットするということが重要になります。その点、役員が毎週参加しているというのは、非常に有効だと思いますし、だからこそ、実際の改善につながっているのだと思います。何か、そうした具体的な事例はありますか?
サントリー
例えば、ペットボトルの賞味期限の表示は「2014.09.19」となっていますが、以前は西暦の下2桁のみで「140919」と表示しており、なかには「平成14年」と誤解される方もありました。そうしたお問い合わせが多かったことから、現在の表示に改善したところ、お問い合わせの数も減りました。
高岡
なるほど。資料にある、お客様センターへのお問い合わせの数の変化は、こうした課題解決の成果もあるわけですね
サントリー
おっしゃる通りです。他にも、ペットボトルを分別する際にラベルが剥がしづらい、という声をもとに、ミシン目を入れて剥がしやすくしたという事例もあります。その後、お客様から「お陰様で剥がしやすくなりました」との声をいただき、大変、励みになりました。
高岡
消費者起点で企業が改善に取り組み、その改善が消費者にリサイクルを促す要因にもなるというのは、すばらしい成果ですね。先ほど話したISO26000の「消費者課題」が求める、社会と企業の連携による社会課題解決の好事例と言えるでしょう。そうした取り組みを今後も実践していくためには、消費者の声に耳を傾ける一方で、社会に発信していくことも重要になると思います。
サントリー
私どものWebサイトでは、お客さまセンターページの1コーナーとして、お客様の声を元にした改善事例を紹介しています。このページのような情報発信を、より積極的にしていく必要があるということですね。

「お客様の声をいかしました」

高岡
CSRブランディングという観点で申しますと、自分の声が改善につながったという実感を持っていただくことが、「自分が役に立った」とう参加意識につながり、それがCSRブランディングに通じていくのだと思います。その意味では、こうしたサイトを通じて「消費者の声を受ける」「分析する」「フィードバックして改善に活かす」「その結果を広報する」というサイクルがきちんと回っていることを一体として伝えていくことが重要なのではないかと思います。
サントリー
ありがとうございます。ご提案をふまえてWebサイトを活用していけば、お客様や社会とのより良いコミュニケーションになると思います。

「サントリーの品質への取り組み」

Part 2:拡大するビジネス領域に対応した品質保証

高岡
事業のグローバル化が進むなかで、品質保証体制にもグローバル化が求められます。海外各地で品質保証のノウハウを持った人材を育てていくことが重要になると思いますが、文化も習慣も異なる現地従業員を育成するのは大変なのでは?
サントリー
技術的な面だけで言えば、現地従業員に日本まで研修に来てもらって、日本での手法やプロセスを実際に見て、習得することでレベルを高めることはできます。ただ、品質保証で重要な「マインド」については、やはり、それぞれの現場で、現地の従業員と一緒になって取り組んでいくなかでしか共有できない難しさがあります。
高岡
確かに、品質保証というものは技術や制度だけではなく、取り組むスタッフ一人ひとりの意欲が重要になりますよね。具体的には、どのように取り組んでいるのでしょう?
サントリー
例えば、2004年に設立した上海品質保証センターでは、ウーロン茶を中心に、中国産原料の品質保証に取り組んでいます。そこでは、自分たちの業務が、いかに日本国内のお客様の安心や信頼につながっているかをフィードバックすることで、スタッフのモチベーションアップにつなげています。
高岡
なるほど。今の話題は、日本市場から見た、海外原料での安全・安心の取り組みですが、海外市場における安全・安心についてはいかがでしょう?
サントリー
そこで難しいのが、国ごと、地域ごとに品質や安全・安心に対する意識や要求レベルが大きく異なるということです。地域ごとに求められるレベルを現地の従業員と、彼らの品質保証活動をサポートする日本の従業員がしっかりと共有して「ローカル・ジャスト・スペック」を実現していく必要があります。
高岡
そのためには、海外でも日本と同様の、お客様の声を集める仕組みづくりが大切になりますね。
サントリー
その通りです。そこで近年では、海外の各拠点のコールセンター機能を強化し、お客様の声をしっかりと聞くようにしています。また、先ほど挙げたSNSも活用して、現地の品質に対する要求把握はもちろん、飲料や酒類全般に関するニーズ把握にもつなげたいと思っています。
高岡
ビジネス領域の拡大には、今話題に上った「地域の拡大」だけでなく、「事業分野の拡大」もありますが、例えば、化粧品事業を展開するうえでは、酒類や飲料とは違った品質保証のあり方が求められると思います。
サントリー
私どもでは、品質保証の根本となる方針や考え方については、事業を問わず、ぶれない「軸」を持っていますが、具体的な取り組みレベルでは、個々の領域ごとに対応していく考えです。このため、例えばコールセンターについても化粧品専用のものを立ち上げています。また、品質を管理するうえでも、化粧品には「使用感」など独特の価値観がありますので、サントリーにとってそのような新たな領域においては、外部の知見や人材も活用しながら、お客様の期待に応えていく考えです。
高岡
外食事業にも、また異なる難しさがあると思います。例えば、調理やサービス提供、お客様への対応など、すべてをアルバイトも含めたスタッフが各店舗で行うため、品質本部によるコントロールが利かないケースが多いのでは?
サントリー
その点は私どもでも意識していて、現在、個々の店舗の品質にまつわるお客様の声を外食グループ各社の本部が集めて、情報やノウハウを共有しようと努めています。何か品質にかかわる問題が生じた場合に、店舗内でタイムリーに解決できるような能力を養ってもらうのは当然ですが、その問題や解決策などに関する情報については、店舗内だけにとどめず、外食グループ各社での共有化に努めています。
高岡
そうした店舗間で情報を共有し、全体で再発防止に取り組む仕組みがあれば、安心できますね。
サントリー
外食事業においては、同じ会社の店舗同士だけでなく、とんかつの「まい泉」、サンドイッチの「サブウェイ」など、外食グループ会社同士で情報を共有する機会も設けて、グループ全体でリスクマネジメントに取り組んでいます。
高岡
少し視点を変えると、今後は「地域」や「事業分野」の拡がりへの対処に加えて、例えば高齢化社会の進展など、社会全体の大きな変化にも対処していく必要があると思います。
サントリー
社会構造の変化は、あらゆる事業分野に影響を及ぼします。今、例に挙げられた高齢化については、飲料では「キャップが開けづらい」「飲みきれない」といった声が出ていますし、外食では「食材を細かく切ってほしい」とか、これまでは意識しなかった点に目を向ける必要が出てくると思います。そうした声に対応するなかで、高齢化対策に関するノウハウを積み上げれば、日本はもちろん、これから高齢化していくアジア各地にも展開していけると考えています。
高岡
消費者の中には、不満を感じてもそれを指摘してこない方も少なくありませんので、そうした「サイレントマジョリティ」の要望をどう汲み取るかが重要になります。先ほど言われたSNSを使った市場分析などが対応策の一つになると思いますので、ぜひ頑張ってもらいたいですね。
サントリー
本日は社内だけでは気づかないご指摘をはじめ、さまざまな点で貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。いただいたサジェスチョンを少しでも具現化できるよう、取り組んでいきたいと思います。

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