サントリー ワイン スクエア

登美の丘ワイナリー通信

ワインづくりの現場から

ぶどうづくり

D-3,4区画の大規模造成も完了しました。

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前年の2015年末から、登美の丘ワイナリーで標高がもっとも高い(600m)ところに位置する眺望台の西側のD-3,4の区画で行なっていた大規模造成もようやく完了しました。

かつて先輩方がぶどう栽培作業がしやすいようにと南向きの斜面に等高線に沿ったように段々のテラス形状にされてた土地の形状を、傾斜地の元のような姿に戻し、シャルドネを棚仕立てにしていた区画でしたが、この期に垣根仕立てにしてシャルドネを植え付けようとしています。

 

昨年、ぶどう樹を引き抜き造成を開始した頃のレポートをさせていただきましたが(「よりよい品質を追究するために、ぶどう畑ごと造り変えています。」を参照ください。)、その後も毎日毎日精力的にワイナリーのスタッフが大型の重機を駆使して、地形を元の傾斜地に戻す大造成を行なってくれていました。

テラス状になっていたところの土を斜面に沿うように削り、剪定した枝と果汁を絞りとった後のぶどうの皮や種を一緒にして完熟させた有機堆肥を敷き詰めて、そして表土をさらに敷いて整地するのですが、傾斜地でもあり、非常にたいへんな作業でした。

 

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3月に入ってからは、垣根仕立てのための支柱建てとワイヤー張りの作業です。

土地の傾斜に沿って南西方向に向かって21本の畝をつくるように、しっかりと測量して、1本1本金属の支柱を6m間隔になるように打ち込んでいきました。

 

支柱を打った後のワイヤー張りの作業も、かなりの傾斜地で、なおかつ1つの畝の長さが60mをゆうに超えるので、かなりたいへんです。

まず1本の太いワイヤーを地表から80cmの高さで張ります。これは、将来的に結果母枝(けっかぼし=ぶどうの実をつける新しい枝の元となる枝)を固定するものとなります。太さが2mmを超える太い針金を60m以上ひっぱりながら斜面を歩くのだけでもたいへんです。針金が絡まったりしないように数人でケアしながら行ないます。

畝の長さだけ針金をまず置いてから、高さを上げてから端と端の支柱に結びつけて、ちょうど真ん中くらいにグリップルという接続器を取り付けて、引っ張りながらたるみのないようにします。

針金は金属ですが、剪定の時にはひげで巻きついたぶどうの枝を力ずくで引き抜くときに少しづつ伸びたりします。そして徐々にハリが緩くなってきます。

なので、真ん中にたるみを修正するための接続器を設置するというわけです。

 

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そして、結果母枝を固定するための一番下の針金を配置したその上20cm、さらに30cm、さらに30cm、さらに30cmと合計4段、支柱を挟むようにして2本のワイヤーを張っていきます。

これは将来的に成長していくぶどうの枝をこの2本のワイヤーの間に入れてあげて、栽培管理がしやすいように、たとえば強風が吹いても枝が折れたりしないようにしてあげるのです。

でも、この設置作業も実は1本の時以上にさらにたいへんです。

まず傾斜地を重い針金を引っ張りながら注意しながら60m以上の勾配のキツイ坂道を往復するわけです。

そのようにしてまず針金を置いたら、両サイドからスタッフが2本の針金を引っ張りながら支柱に加工された穴に高さを揃えて通しながら、たるまないように中央で接続器を取り付けます。この作業を繰り返し繰り返し行なって、ようやく1つの垣根の準備ができます。

このD-3,4の区画では21本の垣根を設置します。

 

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撮影しながら一緒に畑を往復して息を切らしていると、「まだここはマシなほうだよ」と古参のスタッフは苦笑いして話しかけてくれますが、畑の傾斜地を上がったり下がったりするのだけでも、本当にゼイゼイ言ってしまいます。

昔の先輩がテラス状にしたのが思い偲ばれます。

でも、降った雨を速やかにぶどう畑から排水するためには、登美の丘のもとの傾斜のほうがいいのです。

わかってはいても、これからの作業がたいへんだろうなぁとついつい思ってしまいます。

「ぶどうによいと思うことが最優先、人間はそのために汗をかく」というわけです。

また、この垣根栽培のための支柱やワイヤーは、この春に植え付けるシャルドネには幼木の段階ではまだまだ無用なものですが、3年後以降の仕立てを見据えて、この垣根栽培のための支柱やワイヤー設置を行ないました。

本当にぶどうづくりというものは、つくづく時間を要するもので、その先をちゃんと見据えた畑づくりが重要になるというわけです。

登美の丘ワイナリーの自家ぶどう園で、富士山を望む南向きの斜面のいい畑がまたできました。

ここのぶどう畑でできたシャルドネのワインを早く味わってみたいものです。

 

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登美の丘のシャルドネを100%使用した、登美の丘を代表する白ワイン

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